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13話

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13話


「あち〜〜のぉ〜〜」


季節は夏、気温は最高40℃を越えようという猛暑、場所は外。

大魔王様は、今日も今日とて買い物に出かけている。

今日はスーパーやコンビニではなく、商店街にいく予定だ。


肉、魚、野菜、商店街には専門店が並ぶ。我らが大魔王様はとても愛想が良いので、皆に物凄く可愛がられ、おまけをめちゃくちゃ貰えるのだ。


「いつもすまんの。責任をもって美味しくいただくのじゃ」


「また来てね〜やみちゃん。おばちゃんあなたみたいな娘が欲しかったのよねぇ」


「おう若いの!これももってけ!誰も買わんが、これがいっちゃん美味いぞ!煮付けにしな!」


「うおお、見た目がグロいのぉ。じゃがおっちゃんが言うからにはほんに美味いんじゃろうなぁ」


「ほらこれ、新商品の試作よ。食べてみてくれない?」


「うむ、これは……辛いのぉ!クセになる刺激じゃ!何段階か辛さがあってもよいかもじゃな」


行く先々で声をかけられる大魔王様。魔界で引きこもってたとは思えないほどにコミュ力が高いのである。とくに年配の方々には大人気で、普段は仏頂面の店主ですらにこやかになるそうな。


「ふう、これでは目的地に着く前に荷物がいっぱいになるのお。生物だけは冷却魔法で保護しておいてじゃな……よし、到着じゃ。おーい!とおるー!おるかー!おらんかー!」


「いますよ〜……ああ、やみちゃんか」


「ああとはなんじゃ!買い物に来てやったぞ」


「はいはいいらっしゃいませ。で、今日は何がいるの?」


彼女の名は透。商店街の片隅で、カメラ屋を営んでいる。知る人ぞ知る、というような隠れ名店なのだ。


「今日はのー、撮影用の照明と、動きに強いカメラが欲しくての。なんぞ見繕ってくれい」


「あーはいはい。じゃあ……そうね、照明はこれ。色味を変えられるやつ。光量もなかなかだよ。カメラは……これかな?余裕があるならこっちでもいいけど、コスパは微妙。どうかな」


「うむ、高い方にしておこう。道具には金をかけた方がいいんじゃ」


「うんうん、わかってるねぇ。じゃ、お会計は……よし、いつもありがとう」


「うむ。ところで、今夜は空いてるかの?」


「空いてるよ。寧ちゃんの家にいけばいいのかい?」


「そうじゃ、話が早いのお。久しぶりに機材の調整をば頼みたいのじゃが」


「報酬は美味しいご飯、ね。お腹すかせていくよ」


「うむ、待ってるのじゃ!」


「気をつけて帰るんだよ?」

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