おしゃべりあそばされるまおーさま
「あ、すいません、その前にちょっとだけいいですか?」
「…」
「まーたオマエサンはすぐそうやって話の腰を折るニャ。さっさとやろうニャー」
「まあまあ、だって魔王と会話できるんですよ?こんな機会も機能もめったにないじゃないですか。
で、魔王様にお聞きしたいんですけど、どうして人間やエンプを襲うんですか?食べるため、とか?」
「マヌケな質問w」
「むっ!選んじゃいけない選択肢えらんでた人にまぬけとか言われたくないんですけどー」
「異な事を聞くな。食べる為 か、フン、人間らしい発想よ。我等は所謂"食事"を必要としない。他の生物の肉体を取り込みエネルギーに替えるとはなんと度し難い事か。では問うが、貴様達は我等同胞を食うのか?」
「あー魔人とかは食べないですねぇ。倒すと消えちゃうんで」
「生かしたまま齧り取ればよかろう」
「ええーそれはちょっと、抵抗があるなぁ」
「はて、死肉しか食わんのか。生きていようと死んでいようと肉は肉であろう。どう違う?」
それは、なんというか…倫理観?これは説明しにくいなぁ…
なにが好きとか嫌いとかじゃなくて、そもそも"食べない"人と食べ物の話をするのは無理があるか…うーん分かり合うって難しい…
「えと、ごめんなさい、話戻しますけど…食べるためじゃないならなんで殺すんでしたっけ?てかぶっちゃけやめてくれません?」
「なぜ殺すのか…考えた事もなかったわ。ときに貴様は、なぜ死を畏れ抗おうとするのだ?なぜ生きようとする?」
質問を質問で返すんじゃあないよ。まあ応えますけど…
「そりゃあ死ぬのは嫌でしょ。本能的に、生きようとするのは当たり前です」
「それだ。まさしくその一言に尽きる。答えは出たな、そういう事だ」
…ぇどゆことー???さっぱりなんですけど。こわいわーこのひと。
「はーしょーもな。いいかニャ?オマエサンはなんで魔物を狩るのかニャ?」
「なんでって…魔物は人間に悪さするし、害をなすものは遠ざけないとでしょ」
「そう、コイツらは敵ニャ。敵は殺すものニャ。それだけのことニャ」
「敵って…誰が決めたんですか?食べるためじゃないなら殺しあう必要もないと思うんですけど。こうやって言葉もかわせるわけだし」
「んニャー相変わらず頭ん中お花畑だニャ。何言ってるニャ?このままおててつないで仲良くやれって?それってすげー不完全燃焼ニャ。そんなエンディングはクソつまらんニャ。ラスボスを倒すためにオイラはここに来たんだけど、オマエサンは違ったのかニャ?」
「いやいや、もちろんそのつもりでしたけど、なんかゲームの言いなりになってる気がしてきて、これでほんとにいいのかなーって思ったんです。悪を倒して一件落着なんてありきたりじゃないですか、他のエンディングがあればそっちも見てみたいって思いません?
魔王さん、ちょっと思いついたんですけど、よかったらボクといっしょにこの世界を見て回ったりしませんか?人間を殺す以外にも、新しい発見とか、楽しみが見つかると思うんです」
「…貴様、名はなんという」
「え、あ、レビンと言います」
「そうかレビン。貴様はもう黙れ。これ以上の会話は最早無意味だ。理解しておらんようなのではっきりと言おう。我は人間共を滅ぼしたいのだ。理由は無い。我が命ある限り、人間を殺す事を止めることは適わぬ。
我を倒す以外のエンディングと抜かしておったな。そこで跪き頭を垂れよ、我が貴様にエンディングを与えてやろう」
「いやそれバッドエンド!!
んんんーーなるほど、はい、分かりました…さっきも言いましたけどボクだって死ぬのは嫌です。向かってくるならしょうがないので、自己防衛させてもらいますね」
「我が領域へ侵入し、眠りを妨げておきながら、あまつさえ『向かってくるならしょうがない』とは、なんと面皮の厚い奴よ」
うう、返す言葉もないっす…
「で?」
「いやー、どんなに言葉を尽くしても分かり合えないもんは分かり合えないっすね。あはは、あー、説得失敗です…」
「で?」
「で、えーっと…み、みんなで魔王を倒しましょう!わぁ〜〜ぃ…
え?」
「ごめんなさいは?」
「…ごめんなしゃい。くそー」
「オイw
あーあぁ、おかげで大変有意義な時間を過ごせたニャ、」
「お、それはよかったですね」
「うるさいニャ皮肉だニャ。キサマはもう黙れww
ハイ、というわけで当初の予定通り、魔王を討伐するニャ!」
「はーい!」
「ふんっ!まったくいつまで待たせるんだい!魔王の首はワタシんだヨッ!」
おお!シードルさんが単騎で行ったぁ!
「あーらら、堪え性のないばーさんだニャ」
シードルさんお得意の土魔法発動!いきなり最大火力の嵐のような飽和攻撃だ!圧倒的物量!
砂煙で魔王の様子はよく見えないけど、どうかな…?
「やったか!?」
ナマエさん、それ言いたいだけでしょ…
もはやお約束の展開。
はい、ふつうに立ってますね魔王。
あ、姿が変わってる。頭の上半分が紫色のクリスタルで覆われてて角みたいなのが生えてる。侵食されてる?やっぱ寄生型かぁ。
「なにをしておる。次だ、かかってこい」
つづく




