仲間割れ
「フィジカァーーーールッ!」
「はいはいー!〈フィジカルブレイク〉!」
デューン
「はぁ…ナマエさん、敵のLPあとどれくらい?」
「あーあとちょい」
「ほんとに!?さっきもあとちょいって言ってましたよね??」
「うっさいニャ、あとちょいっつったらあとちょいニャ。ハイ離れて」
うー、けっこう時間経ったけどまだ倒せないのかな…
敵の行動パターンはほぼ分かったからいいかんじに攻めてるんだけど、こっちもかなりアイテム使っちゃったんだよね。そろそろ次行かないとまずいんですけど…
ガコォン!プシューーーーー
げっ!また天井のゲートが開きそう!うわー大量の敵が降ってくるやつじゃん!
お?シードルさんがおばあちゃんを解除して、手が光ってる!あれだ!
でたぁ!巨大ヘビ!!縦穴の中につっこむ!そしてとぐろを巻いて自分の体でふたをしたっ!
ゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴン!!ゴゴゴゴゴゴ!!
なんか中で暴れ回ってる音する。大丈夫かな…
「長くは保たないヨ!なんとかしな!」
「げ!ナマエさんっ!」
「ちょっと待つニャ!ゆっきーもストップ!」
え!?なんで?あっ、ナマエさんが棒を装備!武器に暗褐色のオーラが集中する!ひとりでやる気なの?!手伝わなくて大丈夫そぅ??
「〈巧克力球棒〉!!」
ガキィーーーーーン!!!!!
バリバリバリ…ドドーーーーン!!!!
おおーーー!ボス倒したぁーすごーーい!!ふぃー、天井の方も間一髪だったね。
む?ボスの体の中にあった紫の光が消えてない…?それどころか強くなって…おぁ、地面が揺れる!わぁあぁ床も壁も天井も亀裂が入って…あらー崩壊したぁ!!え、生き埋めになるの?あっ、画面が暗転した…
しんだ…これで終わり…?
あ、生きてる。
おお〜なんじゃこりゃ。銀河?ブラックホールのなか?亜空間っぽいオープンなところに飛ばされたよ。
ファーージャジャーーン!そしてパイプオルガンの荒々しい曲。この雰囲気、いよいよ真打ち登場ですね!あードキドキするぅ〜!
きた、特殊カット。まずは魔王様の足元からパンして…
…ん?え、一般人…?ええー!じつは魔王様って人間だったの
待って、この人見たことある!パッケージとかCMとかに出てた名も無き戦士じゃん!リンクルーツがどんなゲームかイメージしてもらうための概念的な存在が、じつはラスボスだったのかー。えらいこっちゃ!うわぞくっとした!
「待ちわびたぞ、勇者のロールよ…」
しゃべった!敵キャラがしゃべるのって初めて。
ん?ロール…?勇者の"ロール"って、ひっかかる言い方だなぁ。
「お待たせしたニャ。そう!オイラこそ、勇者のロールだニャww」
認めちゃったよ。ロールでいいんすかあんた。
「この場で貴様等を討ち滅ぼすのは容易い。だが、少々惜しくもある。我は力を欲する。故にチャンスをやろう。勇者共よ、我が軍門に下れ。さすれば命は保障してやる。さあ応えよ…!」
おっとーゆさぶってくるなぁ。盤外戦ってやつか。あ、選択肢出た。魔王に服従しますかーだって。そんなもんノーに決まってるでしょ!なめんなよー!
《YES 1, NO 3》
はいでた。空気読めない人が一名いらっしゃるよ。
「ナマエさ〜ん」
「はーあ?なんでオイラって決めつけるニャ?まったくひどいヤツがいたもんだニャ、今までみんなでガンバってきたのに、ナカマを裏切るなんて〜ww」ぷーくすくす
白々しい…まじでいらっとするわ。
「ひとりか。まあよい。では残りの3匹をこの場で殺せ。生き残れば合格としよう。さあ勇者共、殺し合うがいい」
うーわ仲間割れさせるやつだ。やり方が汚いぞ!
ナマエさんどうするつもりだろ、ごくり…
あ、こっち見た。クククッ…いやな笑い方。
え、まじ?ウソでしょ?いやこのひとならやりかねない、おもろいこと最優先だから。
「プッ…ギャハハハハハハハハwww ビビってる〜だっせ〜wwww」
最悪。なにが面白いの?全然笑えないんですけど。
「いやーついね、こういう絶対選んじゃいけない選択肢を選ばずにはいられない性分なんだニャw」
「『いやついね』じゃないんすよ。一人用のゲームだったら好きにしたらいいですけど、みんないっしょにやってるんだからだめに決まってるでしょ!アホですか?まじでもー空気読んでくださいよ!」
「はあぁ〜?なんでオマエサンの言うこと聞かなきゃいけないニャ?空気なんて読まないニャ!さーて、まおーサマのために勇者共を血祭りにあげてやるニャww」
「もおおお!!!ナマエさんのバカいい加減にしてくださいっ!!これじゃ魔王の思うツボだよ!やだもぉー…ねえーいっしょに魔王を倒すって約束したじゃないですかぁ!ボク ナマエさんと戦うのいやなんですけどぉ〜〜〜ううううう〜」
「え〜ぇ、もーすぐピーピー泣くニャ〜。これだから泣き虫は…ん?」
「イジワルしたらだめ」
「…ハァーーーー…ハイハイ」
《YES 0, NO 4》
「ちょっとからかっただけニャ。ま、冗談はこれくらいにして、よぉ〜しみんなで魔王をぶっ倒すニャ!」
「…」無視。
「もぉ〜ゴメンてー!機嫌直すニャー。ニャンニャン。怒っちゃやーよww」
なに!?ちょ、顔すりすり!ネコが甘えてくるやつ。くぅぅぅーーこれはずるい!
「あの…わ、わかりましたから!ちょっとぉ…んっ…
ふー…てか、ふつうに謝ってくれるんですね、びっくりした…
ぐすっ…しょうがないなー、いいよ、許してあげる。ナマエさん、いっしょに魔王をぶっ倒しましょう!」
「機嫌直んの早っw チョロいニャw」
「も〜またそんなこという!もっかい泣きますよっ!」
「なにその脅しw」
「えへへへへへ」
「…茶番は済んだか?それでは貴様らを屠り、次の勇者のロールを待つとしよう」
つづく
おまけ
「ナマエさぁん、マザーにとどめをさしたスキル、あれなんだったんですか?」
「ああアレ?巧克力球棒、中国語ニャ。チャオコリーはチョコレートで、チョーバンはバットだニャw」
「それチョコバットじゃん!だがしぃ!!はっ!だからオーラが茶色だったんだ。必殺技が駄菓子って…なんで??」
「なんで???w そりゃーオマエサン、チョコバットうまいじゃん」
「いや、え?どゆこと??誰もスキルに美味さとか求めてないから。スキルの評価基準バグってますよ。
それと、チョコバットの前にみんなにストップって言ったのはどうして?」
「うむ、それは…オイラがボスにとどめを差したかったからだニャ!というわけでアイツはオイラが仕留めたのニャー!ニャーッハッハッ!」
「あーなるほど、さっきの四天王のとき一体もとどめさしてなかったの根にもってたんですね。なんというか…小さいですね、器が。誰がとどめさしたとかべつにいいじゃん。ナマエさんはそういう子どもっぽいところがあるから直した方がいいと思 痛っ!」




