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ボッチパーティー  作者: 巧レ以
81/107

変わらないもの


「『消えるマント』、どうだったかニャ?」


「なんか思ってたんと違ったわー。あたし透明人間向いてないかも。ずっと()()でなんかつまんなかった。ムダに疲れた」


「まあそんなもんニャ、このゲームではヒトのもん盗めないしエロいこともできないし、味方からは見えないし、魔物は普通に攻撃してくるし、じつは見かけ倒しのクソハズレアイテムニャ」


「おまけに脱いだらなくなっちゃうんでしょ?まじ終わってる〜」


「そ、だからこその"消える"マントニャ、消えるのは使用者だけじゃなくってアイテム自体のことも指してるニャw」


「ナマエさんなんでこんなの持ってたんですか?どこで手に入れたの?」


「さ〜あねぇ〜ヒミツニャ」






「なーさん、あんた変わっちまったよ。毒気がなくなったというか丸くなったというか、昔はもっとギラギラしてたのに、がっかりだわ。いつからそんなショボい奴らとつるむようになったんだよ…挙句、魔将石を他人に預けるなんて正気か!?バカすぎんだろ!」



ヨータさん…?あなたの方が変わっちまったよ、おじいちゃんキャラどうした?



「まあまあヨータクン落ち着くニャ、素が出すぎニャww オマエサンは全然変わってなくてウケるニャw」


「でたよ、久々に呼ばれたわその名前。これだから昔を知ってる奴らに会うのは嫌なんだ…もうゲーム始めて何年経ったと思ってんだ、こちとらとっくに社会人だっての!ガキの頃とは違うんだよ!」



え、けっこうお若い方なんだね、ヨータさんの中の人って…




「…実際、あんたは根本的な部分では何にも変わってなかったよ。他の人間を巻き込んで迷惑を省みず、自分だけ快楽に浸るただのピエロだ。お前らもオモチャにされてるだけなんだよ、目を覚ませ、早くこの人から離れろ、その方が身のためだ」



え?そんなこと急に言われてもなぁ…



「ナマエさん、ボクのことオモチャだと思ってます?」


「真顔で聞くかニャそんなことww まーそーニャー、おもろいヤツだとは思うけど…んー、オイラは別にオマエサンのことを求めたことはないニャ。そっちが勝手についてくるから遊んでやってるだけニャ、イヤなら消えたらいいニャ」


「いや〜…?ボクもべつにいやじゃないというか…ナマエさんといっしょにいると面白いし楽しいから一緒にいたいなぁとは思いますけど…」




あ、なんか急に恥ずかしくなってきた。なに言わせんですかもー!


「よ、ヨータさんはどうなんですか!?昔は仲良かったんですよねナマエさんと。なんで離れちゃったんですか?オモチャにされるのがいやだったの?」



「…ふぅむそうさのぉ、昔はただ普通に楽しかったんじゃ、そう、純粋に…」


お、スイッチ入った。おじいちゃんキャラ オン。



「だんだんレベルが上がってきて、欲をかいてギルドをこしらえたんじゃ。なーさんに声をかけて加入して貰ぅたが、ギルドを大きくする活動はもう一切、これっぽっちも手伝うてはくれなんだわww それでも共に楽しくやっておった。

少しずつ仲間も増えていき、色々あったがイガシで一番のギルドになった。あの頃は勢いがあってのー、活気に満ち溢れておったわ。

西の四天王"クラーケン"を倒してから、なーさんは次の四天王を狙うと言い出しての、そしていずれは魔王を打倒すると…じゃがワシは、それには応じんかった。どんどんエンディングに近づいてるようで、この世が終わるようで、それが嫌だったんじゃよ。ワシはこのゲームに人生かけとったからな。

そして、なーさんはギルドを去り、独りで行動するようになったという訳じゃ」



「へーそうだったんですかぁ。人に歴史ありですねぇ。

今はどうですか?またナマエさんといっしょに冒険したいなーって思います?」


「いや、いやいや、思わんな。なーさんが魔王を倒す意志は曲げんじゃろうし、ワシも譲る気はない。何を勘違いしとるんか知らんが、なーさんに付いていかなかったことを後悔とかは全然しとらんよ、そこは別にええんじゃ。

ただのぉ…ぶっちゃけ、もうマスターは、辞めて自由になりたいなぁと思ったりはする。あ、これ内緒だから。しー。

マスターだ老師だと担がれて最初は心地良かったんだけど、だんだん窮屈になってきてね。みんなの思い描く理想のマスターとして振る舞わなきゃいけんプレッシャーがもうとにかくダルいんよ。深く考えずに発した言葉が勝手に解釈されて伝わったときとか、あーこれはヤバいなって思って…

この師弟プレイを卒業したいってずっと思ってんだけど…そこはね、ワシが始めた物語だし、皆から期待されちゃったらね、無下にもできないでしょ、っていう…」


「ふえー、そうなんですか。ボクあんまり期待されたことないからよくわかんないけど…自分の気持ちを裏切るよりはましなんじゃないですかね?」


「青臭いことを抜かすのぅ。他人と協調することを覚えねば信頼を失うぞ。それ即ち敵を作るという事じゃ。お前さんは信頼を失うのを怖くはないんか?他人から善く想われたくはないんか?」


「あーんーそうですね、善くは想われたいですけど…どんなにお願いされても嫌なもんは嫌なので、ボクは『ごめんけどむり』ってすぐ言っちゃいますね。そういうのって、相手の勝手じゃないですか、その人の都合のいいようにボクに期待して、期待に応えなかったら失望してボクが悪いみたいな感じになる…やーそういうのって心底嫌いです。

まあそんなんだからボクって友達いな…少ないんですけどね…けどそんなボクのことを認めてくれる人がいるんです、ほんの数人ですけど。それが本当に信頼できる仲間だなって思います。その仲間がいれば他の有象無象からなんて思われてもへっちゃらですよ」


「ほー、えらい達観しておるのぉ。人生何回目じゃて」


「ん〜?どうでしょう、前世とか知らないんで、この人生は1回目ですよ。

ナマエさんはどう思います?自分を殺してみんなの期待に応えるのがいいのか みんなに嫌われても自分を貫いた方がいいのか…まあ聞くまでもない気がしますけど」


「そりゃあ〜決まってるニャ、全ての期待を裏切ってからがパーティーの始まりニャwww」


「うわでた、あははは、迷言ありがとうございますw」


「話終わった?長すぎるニャーもううんざりだニャ。そんなどうでもいいことより、もっと大切ななにかを失ってることに、早く気づいた方がいいと思うニャ…」










スルト!!!!!!!!!










つづく









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