タゲるは狙う
今日も絶賛ボッチだよ!街の外で独りでレベリング(レベル上げ)中だよ。
その後も何回か知らない人にパーティー組んでって頼んでみたけど惨敗だよ。あーつらい…
「おいそこのチビ、探したぜ!」
うっわ、絵に描いたようなチンピラだ。え ボクなんかしたっけ?探したぜって言われてもボクは用事ないんで、すいませーん逃げまーす…
「おっとどこ行くんだ?オレらとちょっとお話しようぜぇ」
絵に描いたようなチンピラ3人に囲まれた!こわい!いじめダメぜったい!
「お前あの白猫にからまれてクエスト行ってたろ。どうだったんだ?」
あの白猫って、どう考えてもナマエさんですよね。推しとお近づきになると同担に妬まれちゃうみたいな?いや絶対違うな…
「どうと言われましても…。べつにふつうですよ。え、なんなんですか?」
「ああふつうぅ!?あいつムカつくだろ、人をバカにしやがってよ!」
いやあんたらと比べたらナマエさんの方が全然いい人なんですけど。
なんて怖いから言わないけど。
「オレたちゃよ、あのクソネコをシメるためにあいつに恨みのある奴らを集めてんだよ。お前も手伝え、あいつが泣きわめく所見てえだろ?ヘヘヘ…」
「だっさ!ひとりじゃかなわないから徒党を組んで襲うんですか?そういうのほんとムリなんで!あんたらの仲間になるなんて絶対イヤです!」
あしまった、またやっちまった。
思ってることがそのまま口から出ちゃうんだよね、悪いくせだ。これのせいで何人友達失ったか…
「んだとテメェ善人ぶりやがって!お前から先に痛い目見せてやるぜぇっ!」
それにしてもすごいなこの人たち、ここまでチンピラゼリフがすらすら出てくると逆に気持ちいいな。劇団のひとかな?
あーやべーなぐられるーおやじにもぶたれたことないのにー
「ぐわあぁっ!」
おお?殴りかかってきたチンピラAが転がっていった。
あれ?ナマエさんだ。
「テメェやりやがったな!」
「はあ?なんもしてないニャ。ふつうに歩いてただけでぶつかってきたのはそっちニャ。人にぶつかったらなんて言うのかニャ?」
「うるせえ!こっちは4人だ、いまここでやっちまうぞお前ら!」
4人って、あれ?ボクも頭数に入れてる?いや違うよ?!
ナマエさんめっちゃこっち見てるし!ちがうちがうちがうちがう!!!!
「おらぁ!」
ナマエさんの近くにいたチンピラBが突進して剣を振り下ろす!ナマエさんそれを半身でかわすと同時に腹にパンチ!流れるような動作!わーチンピラB吹っ飛んだ!
あ、この前トレントが飛んできたのはこれかー。異常行動じゃなくてナマエさんが攻撃してたんだねー。
うおっ!?ナマエさんが真っ黒いオーラに包まれて、目が赤く光ってる!なんかのスキルかな?
あ、チンピラCが魔法を放ったけど…ナマエさん消えた!
「ぐわぁぁー!」
最初に転がされたチンピラAが一瞬でボコボコにされた!またぐわあーって言ってる!
ナマエさんいつのまにかチンピラCの後ろに!腰に腕を回してつかんだ!これは…!
投げたーーーージャーマンスープレックスーーー!
からのスリーパーホールドだぁー!!
ナマエ選手、瞬殺です!まさに電光石火、あっという間の出来事でしたっ!!
いやーナマエさんが戦ってるとこちゃんと見たの初めてだけど、やっぱ強いんだなー本物だなー。
対人戦も手慣れてたなー容赦なかったなー。PKはうそだと思ってたけど、この人ヤってんなぁ。そう考えるとちょっと怖くなってきたな…
「あとはオマエサンだけだニャ」
タゲられてる!?しぬ!!
「ええーーうそうそうそうそ!!!ちょっ!ボクです、レビンですよ!ほら!この前パーティー組んだでしょ!この人たちは仲間じゃないです!むしろいじめられてて!」
「んん〜?あーそういえばなーんか見たことある顔だニャ。たしかそう、バナナが大好きなさっちゃんだニャ」
「いやレビンだっつってんでしょ!たしかにバナナあげましたけど!ボクが好きなのはバナナじゃなくて梨です!梨はあげませんよ!」
「梨が大好きなさっちゃん?完全にはじめましてだニャ。」
「さっちゃん忘れて!大丈夫ですか?モウロクしたんですか?ヒーラー呼びましょうか?」
「待てよ、その毒舌…
あーあ完ペキに思い出したニャ。あの時のクソ雑魚土下座ショタ野郎だニャ。」
「…全部事実!!!
逃れられない残酷な事実を突きつけるのやめてもらえますか?」
つづく