苦悩するカッカ
前回までのあらすじ
魔王討伐推進派の『勇者勢』と討伐反対派の『怯者勢』の衝突が激しくなってきたよ。ボクら勇者勢は劣勢だから、仲間を募るために西の都市・ウェルスタンにやってきて、そこのプライムギルド『アイボリーフォレスト』のマスター、シュナウツァーさんに会いに来たよ。
あ、シュナウツァーさんが窓の外を眺めてらっしゃる。後ろ姿も優美だな…
「よぉー来てやったニャ。そんなところで日向ぼっこしてないで四天王討伐の準備をするニャ。ほら、とっととみんなに号令かけるニャ」
「…昨日、東の国より使者が来た。共に四天王の討伐を阻止するようにと言ってきたよ…」
「あぁん?それでどうしたのかニャ?もちろん馬糞でも包んでお持ち帰りしてもらったんでしょ?今ごろあっちのヤツらはお土産が届いて大喜びしてるニャww」
振り返って、黙ってナマエさんをにらみつけるシュナウツァーさん。まー馬糞はいただけないっすよねぇ…怒ってるなぁ…
「今がどういう状況なのか解っているのか?貴様のせいで世界は大混乱だ。皆、これまで通り暮らしていきたいだけだというのに、何故それを壊そうとする?」
大きなため息をついてイスに座るシュナウツァーさん。そして頭をかかえちゃった。なんかちょっと芝居がかってるな…
「はぁー?混乱上等ニャ、そっちの方がおもろいニャ。なに悩んでんのかニャ、みんなってヤツがそんなに大事かニャ?」
「皆の希望を叶えてこその盟主なのだ!ヒル・ジャイアントを討伐した後何が起きたか知っているか?西エリアに強い魔物が出現しなくなり、強さを求める者達がこの地を次々と去っていった。貴様には解るまい、共に戦った戦友達を見送ることしかできない寂寥の思いを!」
「あぁーーめんどくさー、ちょっとキャラに入り込みすぎだニャ。オマエサンはギルメンの奴隷かニャ?やりたくないことはやらないでいいニャ。何のためにゲームやってるニャ?他のヤツらなんて関係ないニャ、オマエサン自身はどうしたいんだニャ?」
「…フッ、滅私奉公こそナイトの真髄、私の願望など取るに足らん物だよ」
「ほらー願望がダダ漏れだニャ。どうしたい?って聞かれて『四天王を守るためにナマエを殺すカッカ』って即答しないってことは、『ほんとは四天王や魔王を倒して英雄になりたいカッカけどみんなから嫌われたくないカッカ〜』って言ってるようなもんニャ、これだからかっこつけカッカはっ!」
なにその語尾、気になって内容が入ってこないんですけど…
「なっ…!いいか、物事はもっと複雑だ、皆は魔王軍を滅ぼすことを望んではいない。しかし魔物の脅威は排除したい。これは矛盾ではないのか?四天王とて魔物には違いないのに、それを守るというのは…騎士として、平和とは、正義とは何なのか判らなくなる…
お気楽なドラ猫には理解できまいよ」
いがみあう二人。んーシュナウツァーさんも素直になれないかんじだし、ナマエさんももっと言い方選んだ方がいいと思うなー。むむむ、どうしたもんかね…
「とまあ、ここまでがテンプレニャ、前回の話し合いもだいたいこんなかんじで並行線だったよニャ?で、それからナマエサンいろいろ考えましたニャ。そしてついに決めたニャ、このギルドをオイラがもらってやるニャ!」
「ッ! なんだと?」
「オイラがここのギルマスをやってやるってことだニャ。オマエサンは晴れてお役御免、縛りから解放されてムダな悩みともおさらばニャ。どこでも好きなところに行って好きにやっていいニャ、オマエサンの夢だったヒゲ屋さんをオープンしても誰も文句言わないニャ。これでみんなハッピーニャ」
「何を言っている!くだらない夢をでっち上げるな!お前がアイボリーフォレストのマスターだと!?笑わせるな、そんなこと許されるわけがない!」
「だからぁー許されるとか許されないとかどーだっていいニャ。むしろ許されまくるニャ。いいかニャ?さっき状況がわかってるのかって聞いてきたけど、ちょー分かってるニャ。なぜ??それはこの状況を作ったのはオイラだからだニャ。あの動画のおかげで自分も四天王討伐に加わりたいってヤツはワンさか増えたニャ。今ならみんな動くニャ。このオイラがみんなを動かしてやるニャ。
というわけでその席はオイラがもらってやるニャ。オマエサンはこの天下分け目の時代にどっち付かずで日和見してたらいいニャ。
ウェルスタンのPGM・NAMaE閣下…なぁちょっとオシャンティーじゃね?ww」
「…私は………」
「閣下、発言してもよろしいでしょうか?」
つづく




