悪い魔女が勇者に?
前回のあらすじ
人里から離れたところにある小さな家にやってきたよ。そこは恐ろしい魔女の棲家だった。どうやらナマエさんはこの人を仲間に入れたいみたい。
「スカウトだって?何を言うのかと思えば…。ワタシは人間が大キライなんだ、いいからさっさとこの城から出て行きな!それとも、お前達を人形にしてやろうかねぇ…?」
城?城って、このファンシーでかわいいおうちのことですか?なんかぬいぐるみとか人形が飾ってあるけど、人形好きなのかな、人形使い系の魔女なのか、へぇー。
「人形!いいニャー望むところだニャ、やれるもんならやってみるニャ!」
そういってボクの背中をぐいっと押して後ろに隠れるナマエさん。
「ちょ、やめて!ボクを盾にしないでくださいよこの人でなしっ!
ほんとにちょっと待ってください!四天王の話はどうなったんですか?準備って言ってましたけど、四天王を倒すためにこの人が必要ってこと?」
「そーだニャ、魔女シードル。親善試合で見かけて、見た目がパンチ効いてたからちょっと気になってあのウサギどんにオマエサンのこといろいろ聞いたニャ。試合じゃ実力は出せなかったけど、なにやらおもろい業が使えるんだってニャ。だから魔王を退治する勇者の軍勢に、オマエサンを誘いにきたニャ」
ウサギどんって…薩摩の人みたいになってるよ。
「四天王を倒す?魔王を退治する??勇者の軍勢ぃ???フン、さっきからなにを言ってるんだい?どうしてワタシがそんなことしないといけないのサ、とんでもないコトだヨ。やりたきゃ自分達だけでやるんだネ」
「またまたー、オマエサンもやりたいはずだニャ。親善試合に出たのは強制参加じゃなくてオマエサンの意志だったって聞いたニャ。人間嫌いなふりして、ほんとは他人から認められたい承認欲求の強い魔女だってのがバレバレニャ」
「んなっ!なにを言ってるんだい馬鹿馬鹿しい!あれは憎い人間共を痛めつけるために参加したまでサ。承認なんてとんでもないコトだヨ!」
「ほーほーそうかニャ。まあそういうことにしておいてやるニャ。で、そんなオマエサンに朗報ニャ、魔王を倒すととっても良いことがあるニャ。それはなにかニャ〜?…はい正解はっ!」
「いたっ!LP減るほど叩かないで!自分で説明してくださいよもー…
えー魔王を倒すとですねぇ、たくさんの人が困るんです。魔王は魔物を生んでるから、魔王がいなくなると魔物が出現しなくなってゲームが破綻しちゃうんですって。これまでの話を聞いてたかんじ、シードルさんってきっと人間を排除したいんですよね、魔王を倒したらゲームやめちゃう人が続出するんじゃないですか?」
まーシードルさんのことまだよく分かんないけど、ナマエさんを手伝うって決めたしね、アシストしてあげようかな。
「そういうことニャ!」
ビシッ!こっちに両手で指を差すナマエさん。こっちも指を差しかえすよビシッ!
「魔王を倒した者は世界中からめちゃくちゃ注目されるニャ、良い意味でも悪い意味でも…まあほとんど悪い意味なんだけどニャ。承認欲求も満たされるし、嫌がらせもできるニャ。
そんでオイラ達はそんな注目とかどうでもいいし気にしないヘンタイ集団なのニャ。オマエサンとは利害が一致するニャ」
「いやヘンタイで一括りにするのやめてもらっていいですか」
「…ホッホッホ、豪気だコト。ワタシは嫌われるのが大好きなんだ、人間共を苦しめられるなら魔王を倒すのも悪くないかもネ」
お、ノってきたよ。話が通じるワルモノでよかった。よし、もう一押しくらいで落ちるんじゃね?
「…やめた」
「へ?ちょっと、ナマエさん…?」
「やっぱダメニャ、やめやめ。オイラ達は強いヤツを求めてるのニャ。けどオマエサンはな〜んかパッとしないというか、つまんないニャ。さっきからずっと待ってるけど全然人形にしてこないし、口ばっかり強いこと言ってるヤツに限ってじつはザコだって相場は決まってるニャ。あーあ、期待外れだったニャ。もういいニャ、アンタはそこでひとりでメシでも食ってたらいいニャ、どーぞごゆっくり」
ええーーーーなんでそこで突き放すの!?普通に仲間になる流れだったじゃん。もー無駄に煽るのはやめましょうよぉー…
「オヤまあ、面白いコトを言うネこの人間は。このワタシが弱いだって?ワタシが本当に恐ろしいってコトを見せてやるわ…さあ怖がるがいいっ!」
あーもう勝手にして。どうぞごゆっくりっ!
つづく




