マジックバッグ
前回までのあらすじ
ノルトフに来たよ。みんな反社会的な人達だよウソだよフィクションだよー。とにかく会う人みんな怖そうな人達ばっかり。ナマエさんは用事があるみたいなんで、マジックバッグが入手できるクエストを靱負さんとふたりで進行中。
ガーン!ザザザザザ…
おおーっとスケルトンの大群に囲まれちゃった。面白くなってきやがったぜ!よし、いっちょやってやっ
ぐっ
む、腕を掴まれた?
え…?靱負さん…?
見つめ合うふたり…
「"鰹鳥"」
ズバババババッ!
何かが空から高速で落ちてきて瞬く間に原型がなくなるスケルトン達。やりやがったな…
あーこれね、ボクが知ってるトワイライトシリーズ。紙飛行機みたいな形をしてて、山なりに飛んだりターゲットを中心に旋回したりして、最初は低速で飛んでるんだけど、あるとき変形して軌道を変え、ターゲットに向かって一気に急加速して突き刺さる投擲武器。トワイライトの代名詞、鰹鳥。
さっき腕を掴んだのは、危ないから動くなってことだったのかな?何かが始まるかと思ったよ。ボクのことを認識してて守ってくれたのはうれしいけど、それは置いといて!
「もぉー靱負さん!ひとりで全部やらないでくださいよ!ボクだって遊びたいんですけど!」
靱負さんが少し首を傾げる。お面をしてるから表情は分からない…いや、たぶんお面してなくても無表情だろうな。でも武器を体にしまい、もう攻撃する意志はないみたい。
あーあ、ほんとにもうこれでクエスト終わりなのかな…
ゴゴゴゴゴ…ッ!
地響きだ!お!ボス戦じゃね?靱負さん手出ししないでくださいねっ!きっ!にらんでみる。
靱負さんは一瞬こっちの方に顔を向けて、一歩下がる。よーしそれでいいよー。
ドドドドドドドッ!
現れたのは巨大なゴーレムだ!土偶っぽいデザイン。さすが伴神、テイマーといえばゴーレムだよねー。
あ、ちなみに伴神っていうのは、このクエ
ぎゃあー目からビームぅぅー!ちょっ、解説はあと回し!まずはボスを倒さなきゃ!
通路は狭かったけど、このボスエリアの広さなら自由に飛び回れるぞ!
ビームを華麗にかわし、ナイトのダッシュ攻撃スキルで斬り裂く!おーし いいかんじー!へへっ、にぶいにぶい、ボクの敵ではないわ!どどめだ!
「〈エクスカリバー〉!」
ドドーン!
一刀両断!よっしゃ勝ったー!靱負さーんやりましたよー!あ、拍手してくれてる!あの靱負さんが反応を!?うれしーありがとーー!!腕を引いてくれた件といい、ちょっと成長してるなー。
あそうそう、伴神ってのはテイマーのクラス神のことで、今回のクエストは伴神からの試練的なやつだよ。もひとつ余談だけど、テイマーは野生の生き物とかを契約して従わせるだけじゃなく、自分でイチから従魔を創れるんだって。それを通称ゴーレムっていうよ。
はい、クエスト達成ー。神殿に戻ってきたよ。さーてこれでアイテム収納数が
あれ?変わってない。なんで?んん?
あ、装備品欄にマジックバッグが入ってる。もしかして装備しなきゃいけないの?クエスト完了したら勝手に収納数が増えるもんかと思ってたよ。装備ね、こうかな?
お、きたー収納上限解除。いやでもなー、このマジックバッグって…
だせぇぇー…
うえーなんでこんな変な色なの〜?えまじかー、どうコーデしてもファッションが死ぬんですけど。これまじで公式デザインなの?伴神さんセンスなさすぎ。ないわーこれはないって…
「ブフーッwww うわうわ、自称おしゃれ上級者ニャw その小物を使ったテクニックw マネしたくないニャーw ちょっとこっち来ないで、仲間だって思われるニャwwww」
神殿を出て、エウクリプト商会のオフィス兼ホテルに戻ってきたよ。ナマエさんはサスピリオルムさんとの話が終わってたみたい。ロビーでくつろいでたところ、ボクを一目見て飲んでたコーヒーを噴き出しやがった。
「ちょっとー!バッグのダサさいじるのやめてくださいっ!好きで身につけてるんじゃないんすからねこんなもん!はぁー神殿からこっちに歩いて戻る間もなんかチラチラ見られてる気がして恥ずかしかったー…。このバッグなんでこんなにダサいんですか?みんなみたいにデザイン変えたいです!」
「いや、もう、そのままでいいんじゃないかニャw なんていうか、イケてる?マブい?ナウい?みたいなかんじニャww」
「おい全部死語っ!バカにしやがって!」
あとで聞いた話によると、ジョブが仕立て屋の人なら手に入れたマジックバッグを素材として、普通のバッグにマジックバッグとしての機能を持たせることができるんだって。なにそのムダなワンクッション、めんどくさいシステムだな。
「そういやオマエサン、ずっとマジックバッグ欲しがってたけど、もしかして今日初めて手に入れたニャ?」
「そうですよ。靱負さんと一緒に行ってきました。ほとんど靱負さんがひとりでやっつけちゃったんですけどね」
「あんな低レベルクエ、一人でいけるニャ。ってかよりにもよって、ゆっきーとあのクエに行ったのかニャ。ゆっきーはマジックバッグを山ほど手に入れるために死ぬほど周回したらしいニャ。そんでそのマジックバッグの山は、ゆっきーの"着るマジックバッグ"の素材になったらしいニャ」
なるほどねー、だから敵の位置とか覚えてたんだ。執念がすごい。
「んじゃ、出発するニャ」
「仕立て屋さんですねありがとうございます」
「いやちがうニャ」
つづく




