北エリアの支配者とフタリボッチクエスト
そこには小柄なウサギの獣人が立っていた。
血の濃さは、真ん中くらいかな?でも鼻は動物の鼻だ。そばかすがある。そこはチャームポイント。目はジト目で赤と青のオッドアイ。目の下にクマ?しわ?みたいのができてる。髪はショートで蛍光グリーンと暗めの青のハーフアンドハーフ。毒々しい。ダブルのスーツを着てるけどほっそいし小柄だから似合ってないなー。
かわいいって聞いてたんですけど、イメージしてたのと全然違うな。見た目も喋り方もめっちゃ禍々しいんですけど。関わったらガチでダメな人種だ。
「今日もゴキゲンだニャー。ちょっと話があってきたニャ。あ、コイツら魔王倒したいんだって、ハイごあいさつ」
「あ、はいあのー…れ、レビンといいます。よろしくです…」
「…」
「あ、こっちのしゃべんないのはゆっきーだニャ」
「あいあい、よろしくね〜〜サスピリオルムだよぉ〜。あ、ダンナぁタバコくれよ、アレがないとだめなんだよぉ〜〜〜」
「ニコ中かニャw ほどほどにしとくニャ」
そういってナマエさんがタバコの箱を投げてよこす。ええ〜ナマエさんタバコとか持ってんの〜?なんかやだなぁ…
サスピリオルムさんがうれしそうに一本取り出してくわえた。そしてタバコをぽきぽき食べ始める。あ、あれ、シガレット型の駄菓子なんかい。ちょっとなごむー。
「でぇ?あんたらが魔王倒すって?…殺してやろうか?」
「誰が誰をっ!?いやーそのー…ノルトフのプライムギルドさんは魔王討伐に協力的って聞いてたんですけど…」
「ああ…?誰が好き好んでこの商売を終わらせたいんだよぉ、チッ、クソが…」
なんかボソボソ言ってるけどそれ口に出しちゃダメなやつじゃね?
「あれー?ドンー、また独り言が出てるニャ、なにか言いたいことがあるのかニャ?」
「……ダンナぁ〜とっととクソ魔王ぉぶち殺して、クソつまんね〜へいわな世の中にしましょ〜…ねっ」
にっこーーーめっちゃキュートな笑顔。何この人こえーーー…
「ハイまあこんなもんかニャ。ドンと2人で話すから、オマエサンらはなんかてきとうに観光…はオススメしないから、クエストでも行ったらいいニャ。あとで合流するニャ」
「はーい、失礼しまーす…」
ひー怖かった。あの人苦手だなー、まさか一緒に旅したりしないよね…
ひとまず靱負さんと一緒に神殿の前に来たよ。靱負さんに声かけても返事はないけど、ちゃんとついてきてくれるんで一応届いてはいるみたい。いろんな意味で影みたいな人だなー。
神殿…っていうか刑務所みたい。高い塀に囲まれてて、正面には格子のゲートと守衛室がある。飛行禁止みたいな貼り紙もあるし。物騒な神殿だな…
守衛さんに通行証を見せて中に入る。中はまあ普通だ、他の神殿と変わらない。ここはゲーム設定上いじれないんだね。
えーっと、クエストクエスト…いろいろ面白そうなのあるけど…あ、
「そうだ、ボクまだマジックバッグ持ってないんですよ。親善試合のことでバタバタしてて後回しにしてたら忘れちゃって。靱負さん一緒にそのクエ行きましょう!いいですか?」
無反応だ。ってことはオッケーってことだな、うん。
はい『伴神の財宝』クエスト受注ー。パーティーメンバーはレビンと靱負!くぅー靱負さんの戦闘が久々に見られるぅー!
さっそくダンジョンに向かおう!まずはマップで目的地の確認…あれ?うしろ?神殿の奥?
ここに入るのは初めてだ。7つの祠?みたいなものが祀ってある。そのうちのひとつが光ってる。あそこを調べるのかな?
シュゥゥーン
ワープした!あっという間に知らない空間に到着。移動時間がかからないって楽ちんだな、ラッキー。
さて、どこだここ?ダンジョンっぽいところに来たぞ。荒い石積みの迷宮みたいなところだ。それとも岩壁を掘ってあるのかな。暗いけど、ところどころにロウソクが灯ってる。古典的というかベタなダンジョンだなー。
でもちょっと困った、狭いと〈飛行〉スキルがあんまり役に立たないんだよねー。まあとりあえず進むか…
お、スケルトンだ。きもー。よーし靱負さんに作ってもらったこの剣で…
「"崩月"」ギギギ…
え?
バキッ!ガラガラ…
ええっ??あ、靱負さんが弓矢で瞬殺したんだ。いつの間にかまた黒いお面をかぶってるし。いやあのーちょっと、ボクの活躍が…
ってかそんなことより靱負さんしゃべった!?たしか ほうづきって聞こえたけど、その弓の名前かな。武器のことになると靱負さんしゃべるんだ。
崩月、真っ黒い大きな弓だ。何箇所か滑車とか歯車が付いてるしいろんなところがトゲトゲしてる。やばいデザインだな。弦を引くとギギギっと金属をひっかくような耳障りな音がして、さらに強く引くとボリッと骨が折れるような音がして弓が変形するよ。まさかハンドルの部分が外れて外側に開いていくなんて、まったくどんな機工なんだ。言葉で説明しにくいよ!
この弓もトワイライトシリーズなのかな。ボクが知ってるトワイライトじゃないけど、伝説の武器をたくさん持ってるんだろーなー。
その後も敵が現れた瞬間に靱負さんが先手を取り続ける。矢は左腕の中に右手を突っ込んで取り出してる。ほんとに体中どこからでもアイテムを取り出せるんだね。
やばい、ボクなんにもさせてもらえないんだけど…なんなら敵が現れる前に矢を放ってない?未来が見えてんの…?
しばらく進むと分かれ道がいくつかあったけど、靱負さんは迷うことなく進むべき道をひとりでどんどん進んでいく。そうか、靱負さんこのクエストやったことあるから道を覚えてるんだ。きっと敵の配置とか出現するタイミングも覚えてるんだな。それにしても記憶力ハンパなくない?
お、開けたところに出たよ。いよいよボス戦かな?そしてボクにも出番はあるのかな?
つづく




