勇者勢
「んじゃー今日からオマエサンも"勇者"の一員ニャ」
「勇者?」
「魔王を討とうとしてるヤツらを勇者勢っていうニャ。反対に魔王討伐反対派は怯者ニャ。まあこっちが勝手に呼んでるだけだけど」
「勇者…へへ、なんかムズがゆいですね。その勇者勢って、いま何人くらいいるんですか?」
「まあボチボチいるニャ。東を除いた西南北のプライムは魔王討伐に賛成してるニャ。まあ、とりあえず?おおむね?渋々?ほんとは嫌だけど?賛成してくれてるニャ」
「大丈夫ですかそれ、簡単に裏切られそうですね…。東以外って、西のアイボリーフォレストも?なんか仲が悪そうなのに」
「魔王を倒すことと、オイラと仲良いかどうかは無関係ニャ。ってかべつに仲悪くないニャ。あそこはじつはまだ交渉中ニャ。あのひげ貴族はパラディン気取りのカッコつけ野郎だから勇者になりたいみたいだけど、なかなか団員をまとめるのに苦労してるみたいニャ。ここが一番しぶってるニャ。顔もしぶいし」
ひげ貴族って…シュナウツァーさんだな。
「南は仲良しですもんね。ママさんもナマエさんのやることを止めないって言ってましたよ。北は?どんな情勢なんですか?」
「ほとんどのヤツらは怯者勢だけど、今のプライムギルドはこっち側だニャ。元のプライムを蹴落として勇者勢のギルドをその席にすえてやったニャ」
「え、そんなことやったんですか、ナマエさんが?やりますねーバイオレンスですねぇ。
東は魔王討伐に反対なんですか?なんとかなりません?」
「あそこはゴリゴリの武闘派だからなんともならないニャ。アイツらは積極的にジャマしてくるニャ。何を言っても無駄だから全て蹴散らすニャ」
「ふーむなるほどー、だいたい分かりました。一緒に戦ってくれるかどうかはおいといて、ひとまずこちらの意志を理解してくれてる人はぼちぼちいるんですね。ちょっと安心しました。
ところで、魔王ってどんなかんじなんですか?何人いたら倒せるんですか?」
「さー何人なら倒せるのかニャ…まったくわからんニャ、逆に教えてほしいニャ、ねえ何人なら魔王を倒せるニャ?」
「いやボクが聞いてるんですよ。頼りないなー…
え、もしかして、誰も魔王と戦ったことないとか…?」
「だってまだ発生条件を満たしてないニャ。まずは四天王を全て倒さないと、戦うどころか姿すら拝めてないニャ」
「おーうそこからですか。まあでもラストだけ参加してもつまんないですからね、四天王、倒しましょう!あと2体ですよね?」
「うむ、北と南の四天王が残ってるニャ。今の目標はそこニャ。まずは四天王を倒す戦力を集めるのニャ!」
ガチャ。
あ、靱負さんが帰ってきた。
「こんにちはーお邪魔してまーす!靱負さん、一緒に魔王を倒しましょう!」
あ、固まった。いつもの無反応じゃない、しっかり困ってるな。
あ、首がちょっと動いた。ナマエさんの方を見てる。
「魔王を倒すと世界が平和になりすぎて武器はただの飾りになるニャ。鍛冶屋はお払い箱ニャ」
ちょっと!そんなこと言ったら靱負さんの存在意義が…
こく。
え、うなづいた!?いいの!?
「よし、勇者確保ニャw」
「…ま、まあ、靱負さんが仲間になってくれるんならなんでもいいです。一緒にがんばりましょうね、靱負さん。
あそうだ、ここに来る前に、真っ白い服を着ためっちゃおごそかな感じの女の人がいて、その人がナマエさんがいる方向を教えてくれたんですけど、あの人も勇者ですか?」
「ん?真っ白いヒト?だれそれ、全然知らないニャ」
「まじすか!なんかネコ語しゃべってましたけど、ほんとに知らないんですか?とぼけたふりしてじつはナマエさんのサブアカとかじゃないんすか〜?」
「サブアカとかめんどいのはやらないニャ。やってたとしても自分の居場所をバラすわけないニャ。アホかニャ」
「じゃあ靱負さんのサブアカ?」
「いやー、オマエサンが通るかもしれない道に先回りして、初めて見せるサブアカで待ち伏せしてたって?無理があるニャ。だいたいゆっきーがオマエサンをここに導くメリットがないニャ。やっぱアホだニャ」
「ええ〜〜あの感じは絶対関係者だと思ったんですけど…じゃあいったい誰なんだろ…」
「ふぅむ、ネコ語で厳かな女ねぇ、そんなヤバそうなやつ知り合いならすぐ分かるけど…オイラのことなんか言ってたかニャ?」
「いえ、特になにも。いきなり東の方を指差して、『あっちだにゃ』ってただ一言…」
「はあ?それだけで勇者かニャ?そりゃオマエサンの勘違いだニャ。ソイツが指差したのはオイラの居場所じゃなくて別の目的があったんだろーニャ。あーあ、残念ながらその真意は伝わらなかったニャ。かわいそーにww」
うえっ、そんなバカな…ボクの勘違い?やばっ。
「まあそんな与太話はおいといて!さっそくこれから3人でノルトフに向かうニャ!」
「え〜これからですかぁ〜?ちょっと待ってくださいよ、いま着いたばっかりなんですから休憩したいです。あ、お土産があるんですよ、闘技場前の屋台で出てたやつ、みんなで食べましょう。靱負さんすいません、なんかお茶とかってあったりします?あ、いれるのボクも手伝いますよっ」
「…ほんとそういうとこだニャ」
つづく




