ひとりぼっちの追跡
これまでのふりかえり
ナマエさんっていう人と楽しく冒険してたんだけど、ある日突然いなくなっちゃった。親しい人からその理由を全て聞いたんだけど、なんか深刻な話だったよ。話を聞いて、自分なりに考えて、ボクはナマエさんを追いかけるって決めたんだ。
ママさんが言うには、ナマエさんは北の方に向かったらしいけど、具体的な目的地までは知らないみたい。とりあえず北だな。北エリアの都市・ノルトフに行けばなにか分かるかな。うーん、知らない土地に一人で行くのは不安だ…いきなり心細くなってきた。
どこまで行ったんだろ、ナマエさんは歩いて移動してると思うから、魔法で飛べるボクの方が速いはず。きっと追いつけるよ。
しばらく飛んでたら、細い街道の岐路が見えてきたよ。あ、人が立ってる。ちょっと聞いてみようかな。
「こんにちはーすいませーん。ちょっとお尋ねしたいんですが…」
すっ…とボクから見て右の方を指差す。え、まだ何も言ってないんですけど。
なんだか変わった雰囲気の人だ。全身白い服を着てる。頭に頭巾みたいなのをかぶってて顔はよく見えない。こういうのなんて言うんだっけ、たしか…白無垢?に似てる。たぶん女性かな。
通りすがりのヒーラーさんかと思ったけど、それにしては神々しいが過ぎる。この人ちょっと只者じゃないよ。どこぞの聖女様か…いやもはや女神様とか観音様級?でもそんな人がこんな人通りのない道端で、しかもたったひとりで何も言わずに立ってるって、まるで幽霊みたいにも見えるな。なんにせよ神秘的なかんじだ…
え、どうしよう。これなんのイベント?こっちに行けってことかな。でもそっちは北じゃなくて東の方だし。イベントに乗っかるのも楽しそうだけど、今はナマエさんを追いかけなきゃだしなー迷うーー。
「えと…こっち?この先になにかあるんですか?」
しーん。あーこの人しゃべらない系か。靱負さんみたいだな。もし指差してる方と別の道に行ったらどんな反応するんだろ、ちょっとためしてみよ…
じりじりとカニ歩きしながら真反対の方に行ってみたりして…
あ、びくってしてる。指差してる手がぷるぷるしてる。さっきまでのミステリアスなかんじはどこに行ったのかな?
さらに遠のいてみたりして。じり…じり…
あ、つかつかと早足で近づいてきた。
「あっちだにゃ」
「あっちだにゃ!?」
ネコ語だとっ!!?くっ、完全に予想外!
この距離と角度だとお顔がよく見える。真剣な表情だけど、すっごい美人さんだなー。
なんかこの反応、ナマエさんの関係者の可能性が濃厚になってきた。こりゃあっちに行くっきゃないね。
「分かりました、行きますよ。あっちですね」
すん。最初のかんじに戻った。今さら取り繕ってもなー。
というわけで不思議な人が指差した右の道を進む事にしたよ。
なんかあの人、ちょっと靱負さんっぽかったなー。でも語尾は にゃだったしな。謎だ。
…ん?靱負さん?あ、そうだ…
バーン!
「ごめんくださーい!」
椅子に座ってるナマエさんが首だけこっちに向ける。真顔のナマエさん。
「まずごめんくださいが先ニャ、いきなりバーンはダメニャ」
「ナマエさんだってこの前いきなりバーンしてたじゃないですか」
東といえば靱負さん家があったのを思い出して、この前のお礼をしなきゃと思って寄ってみたら大当たり。ドッキリ大成功だね。
「まったく、来るのが遅いニャ。待ちくたびれたニャ」
「またそんな強がり言うー。絶対予想してなかったでしょー、へっへっへ、ボクの勝ちですね」
「勝ちとか負けとかないニャ。それで?ここに何しにきたニャ?」
「そりゃーまあ、靱負さんに会いに来たんですよ、親善試合のことでお世話になったし。あれ?ナマエさんひとりですか?」
「ゆっきーはちょっと川に柴刈りに行ってるニャ」
「川じゃ柴は刈れませんよ。まあいないんなら待たせてもらいましょうかね。
…ナマエさん、ママさんから話は全て聞かせてもらいましたよ」
「はー、余計なことを…。で、文句でもいいに来たのかニャ?言いたいことだけ言ったらとっとと帰るニャ」
「文句は言いますよ。でもその前に、ボクもナマエさんのやりたいこと、手伝わせてください」
「ほーぅ、話は全部聞いたって言ったかニャ、オイラが何をしようとしてんのか分かってるかニャ?」
「はい!ボクも魔王討伐のパーティーに加えてください!」
つづく




