中央闘技場
バーニングキャラバンのアジトで謝罪した後の話ー
「はいこれ、親善試合の観戦チケットなんだけど、レビンちゃん見に来られそうかしら?」
「えっ、はい、予定は空けてましたけど…チケットもらっちゃっていいんですか!?」
親善試合は映像配信で見ようと思ってたんだけど、観客として生で見られるんなら断然そっちの方がいいな。けどチケットってけっこうお高いのでは…
「もちろんよ、レビンちゃんはなーちゃんのお弟子さんなんだし、うちの子だと思ってるから、ぜひ受け取ってちょうだい。ついでに試合の前日に会場まで馬車を出すからいっしょに行きましょっ」
「おおーーやったー!ありがとうございます、ママさん。はああ〜、楽しみですねぇー」
「尊い…」
それから6日後、親善試合の会場となる"中央闘技場"に、キャラバンの人たちと馬車で向かってるよ。
大陸の中央に近づくにつれて草木がなくなっていって、いつの間にか黒い地面が剥き出しになってる。この世のものとは思えない景色ってかんじ。天気もどんよりしてるし、なんか呪われてるよねここ…。
低いけど裾野の広い山の山頂に…まあ山頂っていうか山の中央がくぼんでて盆地みたいになってるんだけど、そこに中央闘技場があったよ。典型的な、いわゆる闘技場らしい闘技場だ。だいぶ古そう。イベントがないときはこんな山のまんなかにぽつんと建造物があったらなかなか不気味だと思うけど、いまは闘技場のまわりにたくさんテントが建ってる。宿泊用のテントとか、出店もあるな。出張版サウルスみたい。フェスみたいで賑やかだなー、天気悪いのが残念だけど。
はい、サウルス御一行様のテントに着いたよ。
「あれ?なんで部外者がいるニャ?」
「部外者て、またそんな嫌味を言う…。ママさんに招待してもらったんですよ」
ナマエさんはひとりで先に来てたみたい。あいかわらず団体行動できない人だなー。
「ナマエさんはひとりでなにやってたんですか?」
「んニャーちょっとニャ、ほかのエリアのやつらんとこに遊びに行ってたニャ」
「お、敵情視察ですか、他のエリアの出場者って、どんなかんじなんですか?」
「敵情視察ってほど大層なもんじゃないニャ。敵とも思ってないし。
西はまあいつも通りニャ。前衛はナイト、中衛がウィザードで後衛がヒーラーのカビくさい戦法ニャ。北はやる気がなくてつまらんニャ。東はまだ来てなかったニャ」
「北はやる気ないんですか?どうして?」
「ノルトフってところはいっつも抗争しててしょっちゅうプライムが変わるニャ。前の頭は親善試合もノリノリのおっちゃんだったけど、今のはとにかく秘密主義で自分の力を誇示しないタイプのヤツニャ。なんならギルマスを他のヤツにやらせて本人はここに来もしないって話ニャ。その影の支配者は自分の都市での商売の方が大事だから親善試合はテキトーにやるって言ってたニャ」
「へぇー、インテリヤクザって感じですねぇ。ところで東の人達って強いんですか?」
「…前から思ってたけどオマエサンってあんまり攻略サイト見ないヒト?」
「はい、見ません。公式が出してる動画とかCMとかリンクルーツ関連のニュースとかは見ますよ。けどそういう攻略情報とかに頼るのはちょっと、抵抗があるというか…自分の力で解決したい派なんです」
「頑固っていうかもうそれ縛りプレイニャ。マゾー剣士だニャw
はいはい東ニャ。東はこの親善試合、毎回優勝してるニャ。個の力が強いから、シングルスとダブルスは絶対落とさないニャ。それくらいは常識だから、東って強いんですかぁ〜とか聞くとバカがバレるニャw」
なにをうっ!?誰がバカだ。
「ここ数年はずっと東が一番でその次が西ニャ。北と南は弱いニャ。けど、今回は何を隠そうオイラがいるニャ!シングルスは全勝ニャ!」
「おおー強気な お言葉。ナマエさんなら東のシングルス代表にも勝てるんですね?」
「ん〜?まぁそー ニャあ…知らんけど」
「あれ?即答で『オイラが勝つに決まってるニャ!』とか言うと思ったのに、なんだか歯切れが悪いですね。もしかして…」
「は?全然ですけど?全然アレに決まってるニャ。あ、アレで思い出したんだけどーかき氷のシロップって味全部同じらしいよ?はーなんか腹減ったからメシいくニャー」
「いやちょっと、なにそのうっすい雑学!そんなんでへぇ〜ってなるかあ!話のそらし方下手かっ?!え、東のシングルスさんってそんなにやばいの?どんな人なんですか?」
「しらね〜」
「名前はマスター・ヨータさん。イガシのプライムギルド『猿掠山飛影寺』のマスターよ。ほんとバケモノよねあの人。異次元的な強さなんだから」
あ、いつの間にかグランディスママさんが近くにいて会話に入ってきた。
「昔なーちゃんも親善試合に出たことがあったわよね、あの時はイガシの代表で。はー懐かしいわぁ〜。明日はマスターとなーちゃんが闘うところが見られるのかしら。楽しみね〜」
「フン、まだ対戦カードは出てないニャ、あのサル山のジーサンがどの枠から出るかは明日にならないと分からんニャ」
「そうなのよねー、気まぐれにダブルスに出たりトリプルスに出たりするからねあの人。やだぁトリプルスだったら私死んじゃうわ、はっはっはっはっ」
ボクが知らない昔話、いろいろあったんだろうな。良いなー。
「あそうそう、ごはんの支度ができたから呼びに来たんだった。さあ、みんなでごはん食べましょ」
というわけでサウルスのみなさんと楽しい夜を過ごしました。みんなでにぎやかに騒ぐのはやっぱいいもんだな。明日も楽しみ〜。
つづく




