名言と迷言
お、グランディスさんいた。ヴァーミリオンさんもいっしょじゃん、今しかない!
「先ほどは…すみませんでしたぁー!!」
『バーニングキャラバン』のアジトにやってきたよ。謝ると決めたらスピードが命!後になればなるほど謝りにくくなるからね。だから〈飛行〉スキルも使ってトップスピードで駆け寄るよ!
「あらーレビンちゃん、よかったー心配してたの。そんな謝らなくてもいいのよ、大丈夫、誰も怒ってな」
「ああてめぇー!よくものこのこ現れやがったな!お前には言いたいこ」
「だーいじょーぶよーレビンちゃん、誰も怒ってないわぁーそうでしょ〜?」
ヴァーミリオンさんの口を塞いで…っていうか顔の下半分をアイアンクローで握り潰そうとしてる?おっかねー…このゲームでそんなアクション見たことないよ…
「ん?なんで出場決定者を殺そうとしてんのかニャ?」
「まー、なーちゃんも来たのね、もしかしてレビンちゃんを呼びに行ってくれたの?助かるわぁ〜」
「そんなんじゃないニャ。ここに来たのはコイツの意志だニャ、オイラはヒマだったから来ただけニャー」
「んふっ。レビンちゃん、ちゃんとごめんなさいするなんて立派よ、えらいわね。降参しちゃったのは残念だったけど、あの戦いっぷりは本当にとっても素晴らしかった。男の子ですもんね、勇ましかったわ」
「いやーそんな、全然ダメでした。最後のスキルでMPがゼロになっちゃいまして、ヴァーミリオンさんの体力が残ってる時点で勝ち目がないなーと思って、諦めたんです、すいません」
「なんだそりゃ!MPがゼロにならなきゃ勝てましたってか?!こっちだってなぁまだまだ力を残してたんだ、勝った気になってんじゃねぇよ!あたしは負けてねぇからなっ!」
「ほらっ、ももたろサンに言いたいことあるんでしょ、気持ちをぶつけてやるニャ」
「……ちょっと、ナマエさん…」
「さっき練習したニャ、大丈夫、キミならできるって信じてるっ」
「やめてくださいまじで」
「おいさっきからなにゴチャゴチャ言ってんだ!」
「いやこのヒトがね、オマエサンのこと"負け犬"だなんていうもんだからオイラは止めてたんだニャ」
「んなんでボクが負け犬って言いたい人になってるんですか!?陰謀だっ!」
「誰が負け犬だぁぁー!!」
「しずかにしやがれぇぇぇぇーーーー!!!!!」
ひぃーー鼓膜がやぶれるー!
「ブハハハハハwww 豹変したニャw」
よくこの状況で笑えますねナマエさん…。さっきまで顔を真っ赤にしてたヴァーミリオンさんが凍りついてるわ。
「とにかく、ルールはルールよ、MPを回復する手段なんてなかったし、たらればの話をしたってしょうがないの。レビンちゃんは降参して、勝ったのはあなたよバミリちゃん。だからもっと堂々としてなさい。ふたりとも、もしあの戦いで悔しい思いをしたのなら、いじけるんじゃなくて、もっと強くおなりなさい。もう悔しい思いをしないようにね」
すごい、はっとさせられる。なんかドラマに出てくるお母さんのよう。お母さんオブお母さんだ。
「なーちゃんもイジワルしないで、ふたりの健闘を讃えてあげて。お願い」
ふてぶてしい態度で軽く手を挙げるナマエさん。まあこれ以上憎まれ口をたたかないだけましか。
「はぁーい、じゃあ仲直りね。握手して」
はいどうぞ!すぐ手を差し出すボク。
チラッとグランディスさんの方を見て、軽くため息をつくヴァーミリオンさん。
ちょっと嫌そうに、だけど力強く手を握ってくる。
「ありがとうございました。あの時は夢中だったけど、とってもワクワクドキドキしました。楽しかったです。親善試合、がんばってください」
「ああ、あたしも楽しかったよ。またいつかやろうぜ。そのときは完膚なきまでに叩きのめしてやるからな」
というわけで無事謝ることができました。あーよかった。
とりあえず宿に戻ることにしたよ。
「なんかすっきりしてるとこ悪いけど、まだ言いたいことがあるニャ」
「もーなんですか、全部丸くおさまったしいいじゃないですか」
「ダメニャ言わせてもらうニャ。
必殺技のことだけど、残念ながらオイラの真意は伝わってなかったニャ」
「え、スキルを創作するってことじゃなかったんですか?」
「それだけじゃ不十分ニャ。たぶんオイラの考えた通りだったらふつうに勝ててたニャ」
「ええ〜、いやもうこれ以上はどう考えてもムリでしたよー」
「スキルを作る時、材料はどうしたのかニャ?」
「リンと魔石ですか?手持ちほとんど全部つぎ込みましたよ」
「それだけじゃ足りないニャ。もっと増やす方法があったニャ」
「げ、それってまさか…」
「そう!オイラの言う必殺技とは!"課金"のことだったのニャー!」
「うわでたー課金!そんなの身も蓋もないっすよー。これはボクの成長物語なんです、課金で強くなるなんてそんなのファンタジーじゃないですよ!」
「ハイでたーーこれだからファンタジー野郎はクソザコなんだニャ。リアルマネーでさくっと強くなるほうが人生の成功者ってかんじニャ。理想なんて現実の前では無力だニャ」
「うーわ、ドン引きですよ。そんな汚い方法で強くなって満足ですか!?ナマエさんはこのゲームにいったいいくら使ったんですか言ってみろ!」
「いや、オイラは無課金勢なんで」
「そんなことだろーと思ったよっ!!!」
つづく




