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ボッチパーティー  作者: 巧レ以
25/107

バクラヴァの味

はー…空が青い。いい天気だなー。





ドサッ



来たか。顔を見なくてもあの人だって分かる。



「なにそれ、なに食べてるニャ?」


「なんでしたっけ…バクラヴァってやつです」


「へー、おいしいかニャ?」



「味わかんないっす」


「あっそ。

全然食べてないニャ。食べ物を粗末にするのは良くないニャ、食べ物に失礼だニャ」


「一口食べましたけど、なんかもういいです…。ナマエさん食べます?あげますよ」


「いやーいらないニャそんなもん」


「…食べ物に失礼ですよ」


「ニャハハハハハww あ、へーいウェイター、バクラヴァひとつちょーだいニャ」


注文すんのかいっ!





「ボクが落ち込んでると思います?」


「んあー?さー落ち込んでないんじゃない?落ち込んでんのかニャ?」


「いや全然、元気ですよ。ただ、逃げてきちゃったのはよくなかったなーって思います。ヴァーミリオンさん怒ってたなー…はぁ〜あ」


「そんなのムシしたらいいニャ」



「ボクが逃げ出してからどうなりました?」


「んー?どうなりましたって、どうもなってないニャ。オマエサンが逃げ出す前、サウルスの代表選手だったやつが、オマエサンが逃げ出した後、代表選手になっただけニャ。つまり世界はなーーんも変わってないニャ」


「壮大ですねぇ、世界って…」



「あそうニャ、あのエクスカリバー?見たけどよく分からんかったニャ、攻撃範囲が伸びて威力を上げた武器攻撃スキルってことかニャ?」


「あーあれはですねぇ、ウィザードのスキルなんですよ。武器攻撃力に魔法攻撃力を上乗せして、ダメージが入る直前に相手に〈メンタルブレイク〉、魔法防御ダウンのデバフがかかる仕掛けです。消費MPもけっこう高くて、ここらへんの魔物なら一撃で倒せます。魔物だったら、ですけど…


必殺技といえば、ナマエさんが教えてくれた"技名を大声で言う"作戦、効果ありましたよ。エクスカリバー!って叫んだら相手の動きがあからさまに悪くなりましたからね。ナマエさんの言う通り、オタクの人はつい反応しちゃうんでしょうね。あのときは必死でしたけど、いま思い出すとかなり笑えます、あははは…」


「あーあれね、そりゃよかったニャ」





必殺技か、あーあ、思い出すと胸が痛い…







「すいません、負けちゃいました…。


ナマエにいろいろ教えてもらって、靱負さんにすごい剣も作ってもらって、必殺技も考えて、いっぱい いっぱいがんばって、がんばったのに…」


声が震える…なにこれ…おかしいな…


「しし…しかも、潔くやられるんじゃなくて、降参するなんて…」


情けない、恥ずかしい…








「…驚きだニャ。ってか怖っ。言っとっけど、そういうことあんまり言わない方がいいと思うニャマジで」



「え…?」


「ああー、どうしよっかニャ。教えてやろうかと思ったけど、オマエサンのそのブサイクな泣き顔見てたらおもろくて、言うのやめようかニャw」



涙が込み上げてきてたけど引っ込んだわ。


「こんなときでもあいかわらず最低ですね!なんなんですか、言いたいことがあるんならはっきり言ってください!」



「まーしょうがない、教えてやるニャ。

オマエサンはさっき、負けちゃいましたって言ったニャ、ブサイクなツラでw

でもそんなこと思ってるのはオマエサンただひとりだニャ。あの場にいたヤツらはみんながみんな、勝ったのはオマエサンの方だって思ってるニャ」



え?どういうこと?だってあの時エクスカリバー放ったらMPがなくなって、あのまま続けてても絶対負けてたよ?だから降参したんだけど…



「まだわかんないのかニャ、バカだニャー。オマエサンの飛行攻撃に相手は手も足も出なかったニャ。苦し紛れに奥の手を出してもオマエサンのエクスカリバーには敵わなかったニャ。LPが残ってるとかそういうことじゃなくて、あの勝負はアイツの完敗だったニャ。もっと胸張ったほうがいいニャ」



あー…



はああああ〜、は、恥ずかしい!さっきとは違う恥ずかしさだ!ひいいいい〜!



「それなのに勝ち逃げするなんて、あの桃太郎の面目はまるつぶれだニャ。そっちが勝ったのにボク負けちゃいました〜とか言いふらしてるとすっごいヤなかんじニャ、なかなかエグいことしてるニャ。無自覚だからさらにタチが悪いニャw」


「いやあああ!ちょっ、どうしましょう!うわあああ〜ボクはなんてことを!いやいやぜんぜんそんなつもりはなくてっ!」


「アハハハハハw きょどりすぎニャww

別にどーもしなくていいニャ、もしアイツがつっかかってきたら、この負け犬が!って言ってやったらいいニャ」


「なんちゅうひどい…そんなこと言うわけないでしょ、そんなんだからみんなから嫌われるんすよ…」


「でもそんなこといって、ほんとはオマエサンもそんなんが好きなんでしょ〜?」


「好きっ!?いや好きとか……ま、まあ、嫌いってほどじゃないですけど…」


「ほらみろやっぱり、ついに認めたニャ。オマエサンも毒づくのが好きなんだニャ。心の底では負け犬って思ってるニャ。ひどーいさいてーww」


「えそっち?そういうことじゃなくて、いやそういうことじゃないってのはそういうことじゃなくて…ああーもういいです!」




「お待たせしました、バクラヴァです」





つづく








「どうですか?おいしいですか?」


「ん、味しねー」


「あははははっ」




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