必殺技
「必殺技!いいですね、どんなのですか?」
「それは…
自分で考えるニャ」
「えええーーそりゃないっすよせんせー!」
「なんでもかんでもヒトに頼ったらダメニャ。これでもけっこう親切に教えてやったニャ、オイラの言ったことを思い出すニャ。んじゃねー」
あー行っちゃった。
ナマエさんの言ったこと…
既存のものに囚われず、自由に発想……必殺技を作ろう、か…
作る?
そうか!スキルの創作!
スキルの創作に必要なのは、リンと魔石だ。魔石はいつか必要になると思って売らずにずっと溜めてたんだよねー。リンは、この前手に入れた極大クリスタルを売れば結構な額になるぞ。よしよし作れる!
あとはアイデアだな。屈強な前衛に負けない必殺技…
どんなスキルでも創作できるわけじゃなくて、クラスの設定にない荒唐無稽なスキルは申請しても却下される。リスクや制限がゆるいスキルは作れるけど効果が弱くなって、それでも強くしたいのなら対価が大量に必要になるんだよね。そうはいってもそんなに対価は払えないから、効果時間と射程を絞って、MP消費量を高めにすれば強いスキルになるはず。
一撃の威力を強くしたらナイトには効くと思うけど、モンク相手に避けられたら意味ないよね。その対策もしないと…
あーわくわくしてきた!とりあえずクリスタルを売っぱらってこよー。
次の日ー
「どぅ?なんか考えたかニャ?」
「はい。必殺技、できましたよ。
…見ます?」
「ダメ出しして欲しいんなら見てやるニャ」
「いえ、やっぱやめときまーす。もうリンも魔石も使っちゃって今さら変えられないしダメ出しされてもヘコむだけなんで」
「自分で答えが出せたんならそれでいいニャ。どんなのが飛び出すか当日の楽しみにしておいてやるニャ。あ、せめてその必殺技の名前だけ教えるニャ。題して!」
「題して…えー恥ずかしいな…
えっと、〈エクスカリバー〉にしました、けど…」
「でたーーーエクスカリバー!一周半回って もはやダセぇーwww」
「ああー絶対バカにされると思った、いい名前が思いつかなかったんですよもぉーー」
「アーカイブ見たことあるかニャ?剣の設計図が上がってるなかでどんだけエクスカリバーがあるか。もうエクスカリバーのバーゲンセールだニャ」
聖剣が、バーゲンセール……なんてシュール。
「まーその、エクスカリバーwwを使いこなせるように精進するといいニャ」
くそー絶対名前変えたろーむかつくー。
「あ、いいこと思いついたニャ」
「…え?」
それからくる日もくる日も特訓して、レベルがなんとか59まで上がったよ。いやーがんばったよ。これ以上はムリだったよ。自分ではよくやったと思うよ。
そしてとうとう、親善試合代表選手選考締切日を迎えたよ。
「レビンちゃーん!」
あ、グランディスさんだ。声でか。手ぇ振ってくれてる、おーい。
集合場所はサウルスの北口の外。ギャラリーがぼちぼちいて…あれ、なんかみんな飲み食いしてない?ずいぶん楽しそうだな…
「ハッ、完全に見せ物だニャ。…あの串どこで売ってんだろ」
「後にしてくださいナマエさん」
ギャラリーから距離を空けて中央に二人立ってる。一人はグランディスさんだ、遠くから見ても目立つなー。そしてその横にいる人がおそらくダブルスの現 代表、ボクの対戦相手だな。あー緊張するぅ〜…
槍を持ってて…ん?なんだあのいやらしい鎧は、けしからん。装備を見たかんじ、たぶんナイトだ。よし。
「来たわね。はいじゃあ自己紹介して?」
「遅れてすいません。レビンです。えーご覧の通り、魔法剣士です。今日はよろしくお願いします」
「ハン、自ら職業を明かすとは、バカなのか?あたしはヴァーミリオンだ。ま、隠す気はないからこっちも教えといてやる。あたしの得物はこれと、それからこれだ」
ヴァーミリオンさん、羽毛系の竜人だ。血が薄いから顔は人間だけど髪の毛が羽毛だ。あ、まつ毛も羽毛なんだ、おしゃれー。手は竜っぽいけど手首から肘の間にも鳥の毛が生えてる。それとゲームとかではあるあるだけど、この人も無駄に露出が多い。それ鎧の意味あんの?
これとこれってのは、槍と、左手の甲には紋章が…げげ、テイマーじゃん。
「ナイトとテイマーの組み合わせ、ああ"桃太郎"ニャ」
「ぷっ、桃太郎って…野生動物を手名付けてる剣士だから?うまいこと言いますね」
「"ドラグーン"だよ!誰だあんた、引っ込んでな!」
「はいはいバミリちゃん落ち着いて、なーちゃんもお口チャックよ。じゃあそろそろ始めましょうか。
その前に試合のルールを確認するわ。時間無制限一本勝負、LPがゼロになるか、降参したら勝負ありね。場外はなし。それと、アイテムは使用できません。いいかしら?」
この衝撃的なルールを知ったのはほんの数日前でした。あんだけ対策がどうのって言ってたのにずっと黙ってるなんてまじでブチギレですよあのネコ。アイテムが使えないとMPが回復できないからウィザードにとってはガチで死活問題なんだけど。まあルールだから文句言ってもしゃーないけど。
「それじゃ、位置について。レビンちゃんはあっちね」
あーいよいよ始まる…。よし、気合い入れていくぞっ!
つづく




