お宝ハウマッチ?
新しい武器はできたけど、所有者は土師さんだ。これを販売もしくは譲渡してもらって所有権をボクに移さないと装備できない。そういうことはこのゲームしっかりしてて、他人の持ち物は使えないし盗めないシステムになってる。
土師さんが完成した剣を宝箱にしまった。
え、ボクにくれないんですか…
ピューン
土師さんが突然ログアウトした。あ、靱負さんがログインした。靱負さん、宝箱から剣を取り出した。
…わざわざ入れ替わらなくてもよくね?こだわりみたいなものがあるのかな…
ピコーン
《靱負さんからトレードの申請が来ています》
きた!さぁーておいくらかなぁ?ボクのふところ事情はそれとなく靱負さんには伝わってるはず、頼みますよ靱負さん!
針水晶
↑
↑
↓
↓
20万リン
《リンが不足しています》
リンが不足していますぅぅぅぅぅ!!!!
ぜんぜん足りないよぉ靱負さぁぁぁんっ!!
ショックで泣き崩れるボク。それを見てちょっとビクッてする靱負さん。
靱負さんすいません、たぶん気を利かせてお安くしてくださったんだと思うんですけど、あなたの想定よりはるかに貧乏なんですよああみじめ…
「…さきにちゃんと言っておけばよかったですね。ボク、手持ちが7万リンくらいしかないんです。ウソじゃないですよ、ガチで7万なんです。あと13万…ぶ、分割払いとかってできませんでしたっけ?ローンとか?あ、そんなシステム実装されてねーよって?あはは、は…」
あいかわらず能面のような靱負さん。無表情なんだけど、内心困惑してる感じが伝わってくる…
フォン…
《トレードがキャンセルされました》
ピコーン
《靱負さんからトレードの申請が来ています》
針水晶
↑
↑
↓
↓
5,000リン
やっっす!赤字必至の投げ売りバーゲンセール状態っ?!
「お、剣できたニャ?…ん?いまどういう状況?」
ナマエさんが工房に入ってきた。
「あーえーっと…いまトレード中なんですけど、靱負さんが、この剣のお金5,000リンでいいって…」
「ごせん!?為替相場で50円じゃん。いつから駄菓子屋になったニャ?ところでオマエサンが下げてるその得物、いくらしたニャ?」
「これですか?…えーたしか1万でした…」
「ブフッw もはやトワイライトシリーズと言っていい武器が、凡庸な武器以下の値段って…冒涜だニャ。とても嘆かわしいニャ」
「ねちねちやめてぇぇ!ひ〜んごめんなさいー!5,000リンはダメです!ボクの全財産を受け取ってください!7万しかありませんが…それでも足りないとおっしゃるのなら…そうだ、ボクの顔を食べてくださいっ!ほらどうぞ!遠慮なさらず!」
「発想が怖すぎるニャwwww」
靱負さんが両手をぶんぶん振ってる。
それからどうぞどうぞってしてる。指でオッケーオッケーのサイン。靱負さんかわいいな…
「ほら、靱負さんがいいって言ってくれてるじゃないですか。最初から何度も言ってますよね、ボクお金ないって。それに値段をつけるのは外野じゃなくて作る人だってナマエさんが言ったんですよ?ボクと靱負さんがこれでいいって思ったらこれでいいんです。外野は口をはさまないでください」
「はーもーゆっきーは昔っから商売っ気がないニャ。好きにしたらいいニャ」
「すみません靱負さん、恩に着させてもらいます。このご恩は生涯…はムリかもですが、リンクルーツをやってるうちは絶対に忘れません。なにか困ったことがあったらいつでも言ってくださいね。ほんとに、ただのテンプレ的な軽いやつじゃなくて、ちゃんと頼ってくださいね!約束ですよ」
ヴァーン
《トレードが承認されました。『針水晶』を手に入れました》
「ふおおおやったぁー!ありがとうございます!さっそく装備しよ。
うわステータスめちゃめちゃ上がった!軽っ!ソードタイプの武器でこんなに軽いのってありえないですよ!はあああ〜うれしい〜〜!見てください、どうですか?一流冒険者ってかんじしません?」
「ネコに小判だニャ」
「アハハハハハ」
おっ?靱負さんもちょっといい顔してない?気のせいかな?
「大変お世話になりました。あ、土師さんにもよろしくお伝えください」
靱負さんの家の前でおわかれのあいさつをしてるよ。でもこのまま別れちゃっていいのかな?ダメ元で言ってみようかな…
「あの、靱負さん、ここにひとりでいても退屈じゃないですか?もしよかったらなんですけど、一緒に旅をしません?きっと楽しいですよ。大丈夫です、あなたが Twilightだって気がつく人なんていませんよ。どう、ですか…?」
お、ちょっと迷ってるみたい。ナシよりのアリかな?もう一押しなにか…
「ほぉー、そうだニャ、悪くないニャ。3人でサウルスに行くニャ。ほんでゆっきーもいっしょに親善試合に出て大暴れしてやるニャ。めっちゃおもろい…」
ギィィーパタン
あ、家に入って扉閉めた。
カチャン
あっ、カギ閉めた…
つづく




