武器職人に会いに行こう
すご腕の武器職人、楽しみだなー。でも変な人ってのが気になる…。ナマエさんだけでも手いっぱいなのに、さらに変なのが出てきたら対処できる自信がない。こわい…
あれ、ナマエさん遅いな。また遅刻かな。
「おーいなにやってるニャ。早く行くニャ」
「早く行くニャじゃなくて、遅刻してごめんなさいでしょ。もーなにやってたんですか」
「シングルスの代表をぶっとばしてきたニャ」
「えっ!入れ替え戦やってたんですか!?いつの間に?!ええ〜見たかったのにー。
で、勝ったんですよね?」
「当然ニャ。はい、じゃあ出発」
街を出て北に向かってる。ずーっと砂漠が続いてる。ゲームだからいいけどリアルだったら絶対嫌だなこんな旅、すぐ死ぬわ。
もちろん野良の魔物を見つけたらシバく。ただ目的地に向かうだけなら安全で早い馬車移動とかもあるけど、レベリングも兼ねて歩いて移動するよ。
ちなみに冒険者の往来が多い街道を歩いてるからそんなに危ないやつはほぼ出ない。あ、まあサウルスの周辺は砂漠だから道とかないけど。クエストを受けたり、ダンジョンに入ったりすると死ぬほど強い敵が出るけどね。この旅ではそういうのはスルーします。
サラサラの砂地が途切れて、普通の固い地面になってきた。辺りに木とかもあるし、遠くにあった山もだんだん近くなってきたよ。もしかしてエリアの境界が近いのかな?
「こっから東に向かうニャ」
キターーーー東!!
おおー中国奥地の切り立った山っぽいところに来たよ。きれー、自然遺産ってかんじ。テンション上がるわ。やっぱ東エリアいいなー。
さぁ〜てこれから憧れのイガシに向かって
「ここニャ」
ここ?ここですか?ここ??目的地に着いたの?
なんか寂れた小さな集落に着きましたけど。ここってひと住んでんのかな?ゴーストタウンじゃね?あ、先住民のエンプちゃんはいる。エンプちゃんかわいい。
マップで確認したらシャオヂンって名前の村で、位置は東エリア内の西の端。イガシからかなり離れてる。
「あの、イガシには、行かないのでしょうか…?」
「あん?なんでイガシ?イガシに用はないニャ。武器職人がいるのはここニャ」
そうですか、そうですよね、勝手に期待して舞い上がってたボクが悪いんですけどね…ちょっとがっかり…
バーン!
「おこんにちはだニャー!」
ちょっとちょっとナマエさん、ノックしましょうよ。引くって。
前触れもなくいきなり普通の民家に押し入るナマエさん。特に看板とかもないし、武器屋要素が全然ない、ほんとに普通の民家だけど大丈夫かな、あってる?ここで。
中にいた人が呆然とこっちを見てる。いやそりゃそうなるわ。
「うわ人がいますよ、ちょっと、いったん出ましょういったん…」
「離すニャ引っ張んなって。
よーゆっきー、しばらくニャ」
え、ゆっきー?じゃあこの人がナマエさんの言ってた武器職人なのかな。
なんというか、普通の男の人だ。
イケメンっちゃイケメンなんだけど、見た目を好きに決められるゲームだから顔面偏差値が高くてイケメンインフレ状態なんだよね。だからまあよくある顔ってかんじ、髪も黒色でふわっとしてる、いわゆる量産型主人公。種族はボクと同じオリジンかな。あ、オリジンってのは普通の人間のことね。服は上下黒のしゅっとしたデザインで、モデルみたい。
見た目で判断するのはあれだけど、なんか武器を扱う職人さんっぽくはないかな。今のところナマエさんが言ってたみたいに変なところは見当たらないけど…
「名前は靱負、ゆっきーだニャ」
「あの、はじめまして、レビンと言います」
…あれ?無視?反応がないよ。
「あの、ナマエさん、ボクあの人に認識されてます?」
「大丈夫ニャ、こっち見てるから。ねーゆっきー」
なにこの間!!不安になる!
「え!?ちょっと、どういうことですか!?この人しゃべれないんですか!?」
「そんなわけないニャ、ちゃんとしゃべれるニャ。ホラ、ゆっきーに向かってちゃんと言うニャ。ここになにしに来たんだっけ?」
「え…あ、あの、剣を、作ってほしいんです、けど……
あのー、剣を…つくって……
っ……け……
いやちょっといいですか!?この人なんなんですか!?コミュニケーションっ!…コミュニケーションんんんっ!!!なんか木の板に向かってしゃべってる気分なんですけど!!ほんとに生きてますか!?恐怖を通り越して虚無を感じる!!ああーもぉーやっぱ変な人だったよっ!!!ちょっとナマエさーん、笑ってないでなんとかしてくださいよぉ〜」
「アハハハハハ取り乱しすぎニャwww ゆっきーはちょっとNPCなだけで、ほんとにいい職人なんだニャ」
「ちょっとNPCいいいいいぃーーー!!!!!」
つづく




