ナマエ戦術指南
ナマエさんについてきたこと、早くも後悔し始めました。
「出るって、私が!?」
「私がw」
「ぼ、ボクが!?親善試合に!?いや無理ですよーいまボクレベル25ですよ!?親善試合に出られるのはトッププレイヤーのなかの、ほんのひと握りの人達だけなんですよー!ボクが出たらいい笑い者じゃないですかー空気読め死ねって言われる〜!」
「だいじょぶだって、もっと気楽に、思い出づくりだと思ったらいいニャ。負けても死ぬだけだニャ。だいじょぶだいじょぶ」
「全然大丈夫じゃないですぅ〜!」
「まだ開催まで1ヶ月ちょっとあるし、それまでに強くなればいいんだニャーよゆーだニャー。それに目標があるほうががんばれるっしょ?」
「むーりぃぃーーー!!」
「…はーもーあんまり言うこと聞かないと教えないニャ」
「はっ!えちょっと待って、いま教えるって言いました?強くなる方法を!?やったー教えてくださいっ!」
「なんちゅう都合のいい耳してるニャ。あきれるニャ」
そりゃがんばりますよ、強くなるために。がんばりますけど、さすがに1ヶ月後の親善試合に参加するのはどう考えても現実的に無理だって。ナマエさんがボクを試合に出すつもりでもまわりの人が反対するでしょ…
ということは胸の中にしまっておこう。
「はー、わかりました。本当に強くなれたら、そんときは、で、出てもいいですよ…強くなれたらですよ!?」
「言ったニャ?よし、決まりだニャ。」
「で、まずはどうしたらいいんですか?」
「そうだニャー、まずは…モンクになるニャ」
「んなれるかあああーっ!!
クラスは生まれたときから決まっててどんだけお金積んでもこればっかりは変えられないんですよ!ジョブのほうですか!?ナイトからモンクに替えろってことですか!魔法使いが素手で殴りかかったら強いんですか!?ほんとに!?笑わせたら勝ちとかそういうゲームじゃあないだよぉぉぉっ!!!」
「ブハハハハハww まあ落ち着くニャ、冗談だニャ。ソロに一番向いてるクラスがモンクだって話ニャ。
ところで、ソロプレイの必須条件ってなんだと思うかニャ?」
「んー、ひとりでなんでもこなすってことですかね」
「別になんでもはできなくていいニャ。ひとりで全部できちゃったら誰もパーティーなんか組まないニャ。
ソロでまずやらなきゃいけないのは『死なないこと』だニャ。パーティーは誰かが助けてくれるからそうそう死ぬことはないけど、ソロは誰も助けてくれないニャ、当たり前だけど。
はい、じゃあ魔法剣士くんは、死なないために、何ができるかニャ?」
「えー、そうですね…攻撃は最大の防御てきな?やられる前にやってやります!」
「うむ、全然話聞いてないニャ。攻撃すんのと死なないのとはベクトルが違うニャ。攻撃したら死ぬリスクが上がるニャ。戦うのは死なない準備ができてからだニャ」
「ぐっ、すみません…」
「じゃあ頭が弱い子にも分かるように言うと、死なないためには予防と対処が必要なんだニャ。予防とはLPを減らさないこと、つまり防御とか回避だニャ。対処ってのは回復ニャ。
さて、もう一度聞くニャ、魔法剣士は死なないために何ができるかニャ?」
「防御と回避と回復…
防御は、ナイトの防御力上昇スキルがありますし、ヒーラーのやつほど強力じゃないですが魔法でバリアも張れますよ。回復は、アイテムに頼るしかないですね。それと回避かー、んんー…」
「クラスがウィザードなら空飛べるニャ。んん?そういえばオマエサンが飛んでるとこ一回も見たことないニャ」
「あーーそうなんですけど、じつは…ボク、高所恐怖症でして…ゲームの中でも高いところから下見ちゃうとダメなんですよねー怖くて」
「ニャんと!つかえねー!空飛べないのになんでウィザードやってんの?飛べねえウィザードはただの豚野郎だニャ」
「おい豚野郎じゃねぇわっ!ひどすぎ!
でも見てください、超低空で地面を滑るように移動できるんですよ。ボク、スケート得意なんで、ほら!」
「おお?お〜、これは使えるニャ、いいじゃんいいじゃん。これとナイトのスキルを組み合わせれば…おもしろくなりそうだニャ」
え?ちょっと褒められた?うれしー、ナマエさんが人を褒めることもあるんだねー。
「なにニヤニヤしてるニャ?きもいニャ」
「なんかちょっとうれしいんです。ナマエさん、ありがとうございます。いやーこんなまじめに教えたりもできるんですね、感動しました。なんか先生ってかんじ。えへへ、すごいですね」
「いいいっ、なんかぞわってしたニャ…」
「でもタダで教えてもらうのは申し訳ないですねぇ、なにかお返しできたらいいんですけど、あいにく貧乏なので、どうしよっかな…」
「それならこの前バナナもらったからいいニャ。これで貸し借りなしニャ」
「バナナ…?バナナって、あの時の?
うそん!あんなのでいいんですか!?めちゃめちゃ義理堅いじゃん!ちょろいっすね先生!」
「よーし今から模擬戦するニャかかってくるニャ。先生の本気を見せてやるニャ」
「ぎゃああああごめんなさーい!!」
つづく




