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【告知あり】クズだらけのプロット  作者: 蒼風
Ⅳ.恋人体験β
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25.ファンサービスというか集金。

「いやぁーあれはないな。うん。ない。ないわ」


「へぇ~奇遇じゃない。意見が合うなんて」


 あの後、俺らは塩とキャラメルのハーフ&ハーフのポップコーンに、それぞれの飲み物を買って席につき、じっくりと映画を鑑賞した。


 ちなみに、手が重なっちゃってどきっ!とかそういう初々しいカップルみたいなのは一切ない。


 あったと言えば、二人の真ん中にあるひじ掛けをどっちが使うのかを決めるためのそれはそれは醜い争いと、結局塩味のポップコーンにも手を付けてきた春菜(はるな)の食い意地の張りっぷりだった。一人分だと食べられないんじゃなかったのか。


 まあ多分無意識なんだろうな。スクリーンを見る視線は一切動かさずに入れ物に手を伸ばして、ひょいぱくひょいぱくしてたもんな。多分ファミリーサイズでも食べきれたと思う。


 良く味わって食べるというのもダイエットには必要だという話を聞くけれど、春菜のやっていたのはそれと真逆の行為だったからな。毎週これを続けさせて、そっと手元にファミリーサイズを持たせ続けたら、一瞬で太りそうな気がする。まあ、デブ専ではないから、そんなことはしないけど。


 そんな具合に集中してみていた春菜だったが、意外にも映画への感想は同じだった。


 俺たちが見に行ったのは、深夜アニメの劇場版だ。アニメシリーズのアフターストーリー的な立ち位置にある作品で、テレビ版の出来が良かったことから俺たちは二人とも結構期待をかけていたのだ。


 そしたらどうだろうか。その内容はアフターストーリーというよりは「総集編」に近いものだったのだ。要は作中の面々が再び一堂に会し、過去を振り返るというていの話。


 オリジナルと言える部分はせいぜい二割か三割で、他の部分は既に知っている内容。これでも満足する人間が一定いるって言うんだから恐ろしい。ファンっていうのは盲目なのかもしれない。


 と、そんな内容をとうとうと語ったら、


「ファンっていうか信者よ、きっと」


 春菜の方が辛辣だった。


「きっと新規のアニメーションが見られればなんでもいいのよ。それで足を運んで、配られるグッズを集めて、コンプリートしたとか、トレードしたとか一喜一憂するの。くだらないったらありゃしない」


 そう。


 昨今の深夜アニメ業界はともかく映画への進出を目論みがちだ。


 ファンサービスの意味合いもあるんだろうが、映画ならばテレビで放映されるアニメ番組と違って、足を運び、お金を落とさないとみることは基本出来ない。


 加えて、最近ではフィルムの一部を複製して配ったりもしていることがある。どの部分が来るかはランダムで、キャラクターの映っているシーンがくることもあれば、一体どのシーンかも思い出せないような背景が当たってしまうこともある。そして、重要なシーンのフィルムは高値で取引され、人はそれ目当てで足しげく通うのだ。


「ま、オタクなんてそんなもんだろ。基本的に収集癖があるからな」


「まあそれは分かるんだけど、でもあれはないわ」


「そうだなぁ」


 それから春菜は暫く「昨今のアニメ事情」についてぶつくさと文句を言っていた。それを聞いた俺はといえば、


「なんだ、如月も文句はあるんだな?」


「は?なによいきなり」


「いや、だって、中学の時はもっとこう「プロの作家様が書いたものが一番」みたいな感じじゃなかったか?」


「う」


 図星のようだ。


 春菜はぶつぶつと、


「べ、べつに、そんな、今だって同じよ。うん」


「ホントにか?」


「そ、そうよ?」


「どんな作品でも素晴らしいと言えるか?書店の本棚に並んでるものは全て尊いと言えるか?なんなら一作品づつ確認するか?」


 俺がそこまで言うと春菜は、


「……ごめんなさい。それは無理」


 謝った。いさぎがいいなと思った。


「プロが書いて、プロが書籍にしてる以上、一定のクオリティが保たれてる。私もそう思ってたし、今も基本的にはそう思ってる。でも、」


 そこで言葉を切り、


「……でも、ネットの流行りとか、そういうの見てると分からなくなることがあるのは確か。凄いPVをかせいで、ファンも一杯抱えてて、書籍化も決定してる。そんな作品が全く面白くないって時がある。好みの違いってこともあるかもしれない。だけど、それだけじゃどうしても説明がつかなくって……」


「まあ、バズるかどうかなんてのは内容とそこまで相関はないからな」


 ネット上で読まれる作品、というのは基本的に法則性がある。


 例えばウェブ小説ならば、一話の文字数はそんなに多くない方がいいし、毎日更新された方がいいし、テンポよく話が進むものが好まれやすい。何故なら読者層がそれを求めているからだ。


 日々のちょっとした隙間時間に読むスタイルで、重厚な内容は言うほど好まれない。もし、世の名作とされる作品が、ネット小説媒体で連載していたとしたらどうだろうか。きっとその半分は芽が出ずに終わるのではないか。それくらい特殊な媒体なのだ。


 媒体によって見る側が求めるものや、反響が大きくなりやすいものが変わるというのは当たり前の話だが、その個体差が大きすぎる、つまるところ「ガラパゴス化」し過ぎているきらいがあるのもまた事実だろう。


 ようは「内輪のノリは、外では通用しない」ということだ。仲間内でいくら評価されていたとしても、外では通用せずに、ぼろくそに叩かれることは珍しくないと聞く。

次回更新は明日(1/23)の0時です。

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