LOAD:002 たびのきろく
時間……一章が終わってから、二章が始まる前
視点……ミィ視点
30日目。
私たちがこの世界に来てから、早くも一ヶ月が経ちました。
時の流れは早いなぁ、と思います。
旅の記録をつけるのは勇者の仕事だ、と言われたので、今日から日記をつけていこうと思います。
すでに一つ目の旅は終わっちゃったけど、終わっちゃったもんはしょうがないです。
今日は、ルイちゃんと一緒に城の周りにある、市場に遊びに行きました。
別名は、しょうしがい。ルイちゃん曰く、商師街、と書くらしい。
商人たちの縄張りの町で、売れる物ならなんでも売っていました。
食べ物は勿論、アクセサリーや乗るための馬や、羽の生えたラクダみたいなのも、売っていた。
ルイちゃんと歩いた通りに、〈BEAR's DOLL〉の支店があったことにはちょっとびっくりしたけど、ルイちゃんは、こんなに大きな国の首都なんだから、あっても可笑しくない、って言ってた。
そっか、そうだよね。
ちなみに、支店名はフィーア店だったから、どうやら国外に本店があるブランドみたい。
ルイちゃんは〈BEAR's DOLL〉があんまり好きじゃないみたいだから、お店に入るのは我慢した。
ルイちゃんは別にいいよ、って言ってたけど、私はルイちゃんと一緒に楽しみたいから。
ぶらぶらとその辺りを歩いて、途中でヴィーザに会った。
私は最悪な気分になった。
ヴィーザは、大っっっ嫌い。
ルイちゃんに何かと抱きついたりするから、大っ嫌い。
とにかく、こいつがルイちゃんに近づくだけで嫌。
そう思ったんだけど、ルイちゃんもヴィーザのことを嫌がってたから、とりあえず何も言わないで置いた。
私とルイちゃんが二人で歩くと、ヴィーザは私たちと一緒についてこようとする。
私はあからさまに嫌な顔をしていたらしく、ヴィーザは楽しそうに笑っていた。
嫌な奴!
その後は、二人(+一人)でご飯を食べた。
お金は、出てくる前にアミラさんが少しくれたから、ラッキーだったの。
ヴィーザの分は別にいいのに、ルイちゃんは優しいから、あいつの食べた分まで出してた。
どうせ私のお金じゃないし、だって。
そういうのが、ヴィーザがくっついてく理由なの!
その後は買い物なんかをいろいろしてた。
いろんなお店に入って、買わないで見るだけの、冷やかしの客。
そして、八百屋でおじさんと話をしていたところ、ジナ君が参上した。
何したのかな〜、て思ったんだけど、心配して来てくれたらしい。
まだ夕方にもなってないよ?
で、結局四人でお店周りをすることになっちゃって。
まぁ、楽しかったけどね。
夕方になって、帰る事になることになった。
なんか知らないけど、ヴィーザもついてきた。
くるなっての!
私は帰るとき、ちょっと寂しくなった。
今日一日は、ルイちゃんと一緒にいるはずだったのになぁって、少し思った。
まぁ、楽しかったから、別にいいけど。
すると、その時ルイちゃんが話し掛けてくれた。
「今度、また二人で来ようね。そんときは、〈BEAR's DOLL〉にも行こ」
もう、私、その時舞い上がるほど嬉しくなっちゃって。
その一言だけだったんだけど、笑顔でそんなこと言われたら、もう、ねぇ。
ヴィーザがうざいのも、何もかもふっとんでっちゃった。
私はルイちゃんの隣に並んで、手を繋ぐように、腕を絡めた。
ジナ君とヴィーザが、私とルイちゃんを見る。
なーんか、二人に勝ったような気がした。
今日は、最高の一日でした!