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LOAD:001 小さな魔王



時間……DATA:010 (黒い犬に襲われている時)

視点……マオ視点

    あの時、行方不明になっていたマオが何をしていたか。


これを前提にしていただけると……

「お前、何をしている……!!」


俺は、怒りを抑えながらその男へ話し掛けていた。

その男は、笑った。にやり、とした笑みだった。


「何? 魔族が人間を襲って、何か問題でも?」

「俺がいる事が、分からなかったのか!」

「分かりませんねぇ。あなたは、今はただの子供でしょう? 魔王なんかじゃ、ない」


その男は楽しそうに笑う。

何が楽しいんだ……!

ルイや、他の皆を攻撃して、何がそんなに面白いんだよ!


「……魔物を操るのは、どういう仕掛けだ」

「知らないんですか?俺は、魔物使い(ディアダバーデュ)


……ディアダバーデュ?

そんな単語、俺は知らない。

が、恐らくは職業の一種だろう。

大体の魔族は、人間と同じように職業についている。


「読んで字のごとく。俺は、魔物を操ることができるんですよ、魔王」

「そうか。それは、その笛でか?」

「ご名答。さすが魔王だ。ただのガキじゃないらしい」


いちいちムカツク男だ。

こんな奴が部下になるなんて、なんか考えたくない。

俺が、精神的に壊れそうだ。


「……とにかく、あの黒い犬どもを撤退させろ」

「いやだね、って言ったら?」

「お前、俺がまだ成長していないからって、あまり調子に乗るなよ。成長しても、記憶は残るんだからな」

「ははっ! そんなこと、知ってるさ! そっちこそ、俺のことを馬鹿にしてるのか?」


むかつく奴だ。殺していいか?

しかし魔族とは、人間の言葉を喋れるのに、人間のような理性は無い生き物だ。

こいつは少し行き過ぎかもしれないが、これが魔族の姿なのだ。

これを、俺は全て統べなくてはならない。

…………頭痛がしそうだ。


「とにかく! お前も、もう分かっただろう。このままじゃ、黒い犬は無駄死にだ。撤退した方が頭が良いぞ」

「そうだな。確かに、この程度じゃ相手にならないようだ。今度は、もっと強い魔物を連れてくるとしよう」

「お前!」

「お前じゃない。俺の名前は、デルガオ。魔王なら覚えておけよ?」

「……貴様程度、覚える必要も無いな」

「ふっ。魔王は、冗談も得意らしい。『俺程度』?」


デルガオは、さっきまでの余裕ぶりは全く無くなって、目がイっちゃってる。

気性が荒く、すぐにキレる。

まったく、これだから魔族というのは……。


「俺を馬鹿にするなよ。いくら魔王でも……消し飛ばしてやる」

「…………」


デルガオはすぐにもとのにやにや顔に戻って、俺から離れた。

そして、すたすたと歩いて、何処かへ行ってしまおうとする。


「ああ、そうだ魔王サマ。黒い犬は全滅したらしいから、そろそろ戻んないと、勇者に心配かけちまうんじゃ?」


くく、とのどで笑いながらそいつは消えた。

瞬間移動、か。

まったく面倒な能力を持ってやがる。


……あいつは、要注意人物のリストにあげておかなくては。



「マオー?!」


おっと。ルイが呼んでる。

そろそろ、ほんとに行かなくては。


――――そして、俺は何食わぬ顔でルイの元へと戻っていった。




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