表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/31

DATA:019 勇者と魔王

「貴方……誰?」


声は情けなかったが、しょうがない。

むしろ、この精神状態でそう訊けたことを誰かに褒めて欲しい。

だって、信じられるだろうか?

さっきまで子供だった男の子が、大人になった、なんて。

もしもあなただったなら、きっと我が眼を疑う事だろう。


「俺はマオだよ、ルイ」

「う、そだ、だって、だって、マオはもっと子供で、」

「成長したってことだろ?」

「そ、そんな一瞬で成長なんてしない!」

「するんだよ。魔王って言うのは、精神にあわせて身体が変化していくんだ」


…………魔王って言った? こいつ?


「何?!」


ジナ達が、警戒態勢に入る。

あれ、ミィいつの間にかあっちに居る。


「ああ。改めまして。第三代目魔王だ。以後宜しくな、勇者様方?」


にやり、と笑った。

うっ! ルイはダメージを受けた!


「さぁ、行こうか、ルイ」


(大人ヴァージョンの)マオは、私に笑いかけた。

くっ……。

これは、破壊力抜群だ……。

いや、落ち着け私!

どんなにかっこ良くなったとしても、ついさっきまであの子供だった奴だ!

例え苦手度が100を超えるほどのかっこよさだったとしても!

こいつは、子供だ!

子供子供子供こどもこどもこど……


「ルイ?」


ぐはぁ!

くっ……だめでした。

やっぱり、苦手なものは苦手でした。


「どうしたんだよ?」

「やー! ちょ、お願い! 顔近づけないで!」

「……それ、ちょっと傷つく」

「うっ……ごめん」


顔を見ないようにして謝る。

すると、私の後方からなんだか殺気を感じた。

誰からだ? と思って後ろを振り向けば、明らかにいつもと雰囲気が違うレオン。

あれ、なんか変だぞ。

レオンが、なんだか冷静じゃない。

…………これ、結構緊急事態じゃない?


「……父上と母上の(かたき)っ!!」

「うわっ!」


突然マオに襲い掛かるレオン。

父上と母上の敵?

何それ。実は、レオンには複雑な事情があったり?


「わが国を滅ぼされた怒り、今此処に晴らして見せよう!!」


「わ、わが国? 何それ? レオンって、実は何者?」

「……そんな事も知らないのか?」


はぁ、といかにも馬鹿にしたように溜め息をつくミーディア。

オプションで、メガネをくいっとあげる動作もついている。


「レオンハルト・サーディルグ。サーディルグ国の第一王子だった男だ」

「お……!? 王子?! レオンが?」

「ああ。お前も話には聞いているだろう。魔王の手によって初めて滅ぼされた国。

それが、サーディルグ王国だ」

「あー……聞いたような、忘れたような」

「その時の、サーディルグの唯一の生き残り。それが、レオンハルトだ」

「へぇ……他に生き残った人、居なかったんだ?」

「そういうことだ。それで、その後レオンハルトはフィーア国に保護され、今に至る」

「ふぅん……。人の数だけ歴史あり、って感じだねぇ」


そんな壮絶な過去をお持ちでしたか。

まさか王子だったとは思っても見ませんでした。

そっか……。敵討ちに賛成する訳じゃないけど、そりゃあそんな過去があれば、魔王が憎くもなるだろうよ。


「ま、待て待て待て!! レオン! 俺は、ちがっ……!!」

「大人しくかかって来い!」

「違うんだって! お前の国を襲ったのは、俺じゃなくて俺の前の代の魔王!!」


……え?魔王って、代替わりするの?


「……どういう事だ?」

「俺は三代目! お前の国を襲ったのは初代! まったくの別人だって!」

「……魔王が代替わりするなど、信じられるか!」

「本当だって! 俺、つい最近生まれたばっかだから、なんも悪さしたことねーし!

ほら、だから子供だっただろ?」


ああ、だから子供だったんだ。

…………で、済むわけ無いじゃん!


「……そんな事は関係無い! お前が魔王なら、お前を倒す事が俺たちの最終目的!」


確かに。

んじゃあ、此処でマオを倒してこの物語は一段落?

……え? まともに魔道も使えないまま最終回的な?


「無理だって! 俺を倒しても、四代目の魔王がでてくるだけ!」

「…………!」

「俺は駒の一つにすぎねーんだよ」

「駒?」

「あー、うーんと、話は長くなるんだけどさ。あるところに神様がいて」

突然神様?!

「その神様が、世界を壊すために魔王(おれら)を作ったんだ」

いろいろ突っ込む所が多すぎるんですが。

「そんな訳で、お前らが倒すべき相手は俺じゃなくって、神様なんだよ!」

あの、マオくん。

それで、私たちが打倒神様! ってなるとでも思ってんの?


「自らが助かりたいがために、神の名を使うとは、なんと愚かな!」

「違うって! ほんとに、俺の親父が神様なんだって!」

それもどうかと思う。俺の父さん神様って。小学生でも言わないよ。

「そんな証拠が何処にある!」

「本当なんだってば! 世界を壊すには、魔王と勇者が必要で…………あ! これ言っちゃまずかったかなぁ……」


何を今更。

魔王について長々と説明しといて、何をおっしゃる。



「えーっと……今の、オフレコで」



遅いっつーの。




マオ

職業:魔王

属性:闇属性

キャラ:精神年齢子供


三代目の魔王。実力は歴代の中でも群を抜いているようで、最強と謳われる。ルイにベタ惚れなのにはなにやら理由があるらしい。苦手度は100越え。黒の瞳に髪。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ