表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/31

DATA:016 勇者と魔王

逃げ回る王様にメイドたち。

勇敢にも立ち向かおうとする兵士。


ジナとレオンも、鳥型の魔物へ立ち向かっていっている。


これは後から知った事なのだが、飛行能力のある魔物、つまりは鳥型の魔物というのは、大きく分けて二種類に分かれるそうなのだ。


群れを成すものと、そうでないもの。


そのうちの、群れを作る魔物の方は、どれもずいぶんと弱いらしく、一体では他の魔物に食べられてしまうとか(?!)。

ちなみに、私はこの話を聞いたとき、魔物にも食物連鎖の上下関係はあるんだ、と思ったものだ。

とまぁ、ひじょーに弱い魔物らしく、このタイプの魔物は余程でない限り、自分から人間を襲う事は無いそうなのだ。


そして、もう一方の、群れを成さない魔物。

こっちの方は一体で充分強い血筋らしく、ずいぶん好戦的で、人間を襲う事なんて当然らしい。

しかし、単独行動を好む型ばかりで、群れを作るという行為は、家族間でも無い。


そして、最重要事項の、今此処に居る魔物の型は。

群れを作らないタイプの鳥型だ。

そう。なのに、何故か大群で城を攻めてきた。

これは、世界的に考えても、異常な事態らしいのだが。

当然、このときにそんな知識は私には無く、ただ強い魔物が襲ってきた、程度に考えていた。


「ルイちゃん!!」

「ミィ?! あぶな――」


私に駆け寄ってこようとするミィ。

しかし、その後ろを魔物が襲ってきていた。

すさまじいスピードで、ミィの後頭部を狙う鳥。

ミィは後ろを振り向き、その鳥と対峙した。


ヤバイ、ヤバイよ。


ミィ、が。


ミィが、死んじゃう。


魔物の鋭いくちばしがミィに当たる、と思った瞬間。

その鳥は急に失速した。

そして、あろうことか、ミィの目の前で、ぴたりとその鳥は止まった。


ありえない事態だ。

魔物が、人間に対する攻撃を止めた。

……どういう、事?


「ミィ? 何したの?」

「わ、わかんない!」


どう考えても、何かの力が作用したとしか思えない。

魔物の鳥は、止まったせいで空中に浮く事が出来なくなったのか、ぽて、と地面に落ちた。

そして、ミィは驚いたのか、その鳥を抱えた。

ちょ! 危ないよ?!


「ミィ、止めた方が……」

「だ、だって! 何にもしないのに、飛べなくなっちゃったんだよ?何かあったんじゃ……」

「相手は魔物よ? 危ないって!まだ生きてるんだから……」


そう言った瞬間、魔物の鳥は唸った。

いや、唸ったというより、鳴いた。

むりやり人間の言葉に直すなら……グゥ?


「グゥグゥ」

「え? なぁに?」

「グゥグググーグ、グゥグァ」

「本当? でも……」

「グゥア。ググゥグッ」

「大丈夫なの? なら、頼むけど……」


私は、ミィが怖い。

魔物と話をしている。

っていうか、何の話?


すると、ミィの腕の中にいた魔物は、高く飛び上がった。

私たちの遥か頭上で、仲間割れをしている。


「ミィ……? さっきのって?」

「なんかね、あの鳥さん、私に力を貸してくれるんだって」

「力を貸してくれる?」

「うん」


というか、なんでミィは魔物の言葉が理解できるの?

謎だ。


しかし、ミィが手懐けた魔物のお陰もあってか、城へ侵入した鳥の数は目で見ても分かるぐらい減っていた。

そう思った、一瞬後の事だった。


この部屋に居るすべての魔物が、私とミィのことを見た。


え、え、ええ、ちょっと待ってよ。

何、この感じ?

これって、まさか……


その魔物たちは、一気に急降下してきた。

とても両手では数え切れない量の、槍のように鋭いくちばしが私たちに迫ってくる。


「一斉攻撃ですか?!」

「きゃああ!」


ミィは、頭を抑えて、その場にうずくまる。

そんなんじゃ、ダメだ。

身体が蜂の巣になっちゃうだけだ。

どうしよう、どうしたら、どうしたら助かる?

何をしたら、生き延びる事が…………





――――――白い、爆発だ。





ふと、思い出した声。

そうだ、ジナは言ってた。


体中のエネルギーで白い爆発を起こすイメージ。


白い爆発。

白い、爆発。


迫ってくる、くちばし。


爆発。


黒い鳥たち。


ミィの声。


薄暗い部屋。


命の危機。


すべてが黒。


その中にある、



白い爆発。



その時のことは良く覚えていない。

覚えているのは、魔道を使おうとした事だけ。

気が付いて上を見れば、……嗚呼。



良い天気だなぁ。





…………あれ?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ