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DATA:012 勇者と魔王

「ねぇ、ミィ」

「ん?」

「もう一回訊くよ?」

「うん、何?」

「此処、何処?」

「さぁ?」



お前な。

無責任にもほどがある。

……いや、違うか。

迷うと分かっててミィについて行った私が馬鹿だったのか。



今から、数分前。

レオンとジナから提案があった。


「俺らは、これからこの国の魔道陣のレベルがどれだけなのか、調べてこようと思う」

「二人には、王宮内に何か怪しいものが無いか、調べて欲しい」


もちろん、断る理由なんて無いし私たちは頷いた。

で、マオはどうするのかと訊いた所、一人にするのも危険だから連れてってくれ、と言われた。

マオも嬉しそうだったから、それで良いか、と思って、私たちは意気揚揚と部屋を出た。


……それが今から数分前で、只今、迷っています。


どこまで歩いても、全く同じ壁。

そりゃ迷うわ。

ミィはどこでも迷うけど。


王宮内を探索しろ、とか言われたけど。

何処をどう探索するのか分からない。

お手上げ状態ですね。


すると、私の前を歩いていたミィが、誰かにぶつかった。


「あっ、すみません!」


すかさず謝るミィ。

うん、そんなに高速で謝られたら、因縁をつける暇もないね!

すると、被害者である男の人は、メガネをくい、とあげた。


うわっ!


その男の人は、緑の髪だった。

しかも長い。

そしてメガネの奥の瞳は茶色だ。

…………うーん。

顔立ちは、なかなか美形だと思う。

……けど、眼つきが…………最悪。

なんと言うか……蛇のような、気持ち悪い眼つきなのだ。

その目の所為で、美形が台無しと言うか。

うん、苦手度は66。

そこまで高く無いかな。

苦手だけど。


「すみませんっ! 私の不注意で……」

「では、何に対して注意をしていたんだ?」

「え?」

「歩く場合、大体の人間が自然と前方に注意が向く。

前方に注意が行かない場合は、何かしら他のものに注意がいっている可能性が高い。一体、何を見ていたのだ?」


なんて嫌な言い方をしてくる人だ。

謝ってるんだから、それでいいじゃんか。

嫌な奴だなぁ……。


「ええっと……?」

「大方、そこの紅髪と話をしていたというところだろう。

歩いている時に話をして前方不注意になるなど、あってはならないことだ」


くどくどくどくど。

この男は、長々と説教を始めた。

ちょっと軽くぶつかっただけじゃん!


「ちょ、ちょっと! ミィは謝ってるし、ちょっとぶつかっちゃっただけでしょ? 許してくれたって……」


ギラリ。

メガネが光った気がした。


「ちょっと? 君は、ぶつかって時間を取られたことをちょっとと言うのか? 大体……」


くどくどくどくどくどくど。

うざい。

この男、何なわけ?

嫌な奴を形にしたような人間が、本当に存在するなんて、ある意味衝撃なんだけど。


「ああ、しまった、三十分も時間を取られてしまった。こんな小娘ごときに」


こ、小娘ごとき〜?

お前が勝手に説教を始めたんだろ!

こっちだって、三十分も説教されて、迷惑だっつの!!


「まったく、無駄な時間を過ごしてしまった」


最後に捨て台詞を残し、男は忙しそうに去っていった。

…………なんだったんだ。

あの男は、結局私たちの名前も訊かず、自分の名前も明かさずに消えていった。


…………私に悪い意味での衝撃を残し、台風のように消えていったのだ。



「…………とりあえず、行こうか、ミィ」

「………うん」


ミィも衝撃を受けたらしく、さっきまでの勢いはなくなった。

マオは、私の隣りで手を握っている。





――――で、結局、アイツはなんだったの?





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