DATA:000 穴に落とされて
只今、修正期間中です。
話の途中で突然書き方が変わったりするかもしれませんが、それは修正がまだなんだな、と温かい目で見守ってやってください……。
あくまで予定ですが、すべての話を修正したいと思ってます。
帰宅途中の、奇妙な浮遊感。
いつか、この生涯の内に貴方に会う事が出来たのなら。
その時、私は――――
*
「ルイちゃん! 待ってよぉ!」
背後から飛んでくる、親友の切羽詰った声。荒く、弾んでいる呼吸。
それらに気付いて、私はせかせかと動かしていた足を止め、緩やかな坂のど真ん中でわざわざ振り返る。
ばたばたと騒がしい足音がその声と共に私に近づいてきて、よほど急いで私を追いかけてきたのだろうな、と予測。十中八九、その予想は当たってるだろうけどね。
「なんで待っててくれなかったの? すぐに戻るって言ってたのに……」
唇を尖らせて私に抗議をしてくるのは、私の中学からの親友、御井優梨。
走って疲れているためか頬が赤く、何故か目も潤んでいる。くそ、この顔は反則だ! 可愛すぎるだろ!
年齢より、三つも四つも若く見られがちな童顔。その童顔に合わせたような体型。制服を着ていても、とても高校生には見えないのが特徴な女の子。そして更に、万人受けする顔立ちで、人気はロリ好きの一部のマニアだけに留まらず。勿論高校でも大人気のアイドル。
そんな、容姿に関しては非の打ち所が無いのが、マイ・ベストフレンドだ。
しかも、茶色の瞳にクリーム色っぽいふわふわした髪の毛、なんていう日本人離れした瞳と髪も持ち合わせていたりする。そこらのアイドルよりもよっぽど可愛いと、親友のこの私が太鼓判を押してあげよう。
「え、だって、どうせ告白だったんでしょ? 告白だといっつも遅いから、もう先に帰っちゃおって思って」
「う……確かに、いつもは遅いけど……」
そうだね。今日は三十分かかっていたみたいだけども。
「なんでゆりは付き合ったりしないの? モテるんだから、一回くらい付き合ってみればいいのに」
「だって、別に好きじゃないし……。それに、私好きな人、いるし」
…………は?
「え、嘘、ちょっと何それ! 聞いてないっ! 誰、そいつ!」
「え? あ、……ごめん! 今の聞かなかったことにしてっ」
「無理! さ、吐きなさい!」
「え、あ、や、駄目、」
「じゃ、あそこのクレープ屋でじっっっくり話を聞くから!」
「えー! 拷問だぁ!」
「いいから、ほら、」
はやく、と続けようと思った言葉は、咽喉に引っかかったまま自然消滅してしまった。
ゆりの腕を掴み、クレープ屋まで一直線に向かおうと、右足を前に出したのが間違いだったのか。いや、左足を出したほうが正しかったと言いたい訳ではないよ?
不思議も不思議、右足の出した先には、地面が存在していなかった。落とし穴のようになっていて、黒い穴が開いている。広さで言えば、大体一畳くらいの大きさの円状の真っ黒な穴、らしきもの。
――――なんて、呑気に状況を説明してる暇なんて無いっつの!
「えええぇぇぇ!」
「お、おち、……っぃやああ!」
着地できなかった右足に導かれるように、私たち二人は謎の穴へ仲良くダイブ。
えええええ! 何で? 何故? Why?
えええええ、ちょっとちょっとちょっと神様! なんで私、突然穴に落ちて、突然落下している訳?!
私はいたって真面目な、普通の女子高生でした! 問答無用で落下運動なんて、そんな仕打ちを受ける覚えはありません!
離れないように、ゆりの腕を力いっぱい掴みながらそんな事を思っていたところ、この穴のゴール、……即ち、地面が見えた。
じょ、冗談じゃない! もう上を見上げても私たちが落ちた穴が見えないんだよ?! そんな長い時間落ちつづけて、こんなスピードのまま固い地面になんか落ちたら、ゆりとそろってぐちゃぐちゃだよ!
じ、地面が、近…………
あ、死んだ。
*
帰宅途中の、奇妙な浮遊感の最中。
私はその時、決めたのだ。
嗚呼、神様。
いつか、きっと、この生涯の内に貴方に会う事が出来たのなら。
お前のその顔を、必ずグーで世界の果てまでふっとばしてやる。