素足の伯爵令嬢
嫉妬に狂った顔は醜い‼
と友人が俺の婚約者を指差した。
俺に近付く女を牽制し罵倒する。
その顔は見るに耐えないと嘲笑う。
俺は静かに苦笑する。
そして俺は安心する。
彼女の心が俺に向いているから。
彼女は初めて会った時、俺に恋をした。
まだ八歳の子供だったが…
「女は子供でも大人なのよ‼」
と言ったのは俺の姉だったかな。
「ミラロ様‼ 私との婚約を解消して欲しいのです」
「はあぁぁぁ‼ 」
学園の卒業パーティーでいきなりそう告げられた‼
「やはり身分が違いすぎたのです」
「ま…まて‼ 」
「私はマタル侯爵家に相応しくありません」
「落ち着け‼ 」
「どうかオリビア様とお幸せに‼ 」
彼女は逃げ去った。
「あ~あとうとう棄てられちゃったね」
友人が嗤う。
事あるごとに彼女を非難していた癖に。
見事な手のひら返しである。
「おめでとう‼ オリビア・アシュリー男爵令嬢は妊娠しているんだろ。お前の子だって皆言ってるぞ‼ 」
「はあぁぁぁ??なに言ってんだ‼ ボブソン‼ オリビアはお前の恋人だろ‼ いやボイアか?アゼルバイジャンか?エリック王太子ともやってたっけ?」
「なに…言ってんだ‼ 俺はやってない‼ 」
「嘘つくな‼ ミラの月の十五日にホテルに行ってたじゃないか‼ 」
「何だと‼ オリビアどういう事だ‼ 」
ボイアがアシュリーに詰め寄る。
「あれ‼ 本当に好きなのは僕だけだって言ったよね‼ 」
アゼルバイジャンがべそをかきながらアシュリーにしがみつく。
「ほう。妊娠しているのか?誰の子だ?」
エリック皇太子が、アシュリーを睨み付ける。
どうやらエリック王太子が本命だったみたいだ。
「まあ。エリック様オリビア男爵令嬢と付き合っていたんですの‼ 貴方との婚約は、無かった事にしてくださいな。どうぞアシュリー様とお幸せに」
エリック王太子の婚約者ナタリー侯爵令嬢が嗤いながら会場から出ていく。
「やったー‼ これで私達結ばれるのね♥」
アシュリーは皇太子の腕にへばりつく。
「いや。とっくに結ばれている俺はどうなる‼ 」
「僕が一番好きだって言ったじゃないか‼ 」
「いや。それより誰の子だ?」
「エリック様落ちついて下さい。私妊娠なんかしていません。ラスタ様嘘などつかないで下さい」
「あら~私貴女が、ライザ様にミラロ様の子を妊娠したと言ってるの聞いたわよ」
「私も聞いたわよ」
「貴女達はあの場所に居なかったじゃない‼ 」
「木の上にいたわ‼」
「そんな所で何してたのよ‼」
「空を飛ぶ訓練よ‼ それより嘘ついたの‼ 」
双子のミラとハーモニーはよく空を飛ぶ訓練と言っては、作り物の翼を付けて木の上にいる。
「誰だ‼ レディは、嘘つかないなんて言ったのは‼ 」
「いや‼ それより‼ 俺だけだって言ったくせに‼ 」
もはや混沌である。
王や王妃や親父が来たときには、あっちこっちで殴りあいや罵倒が飛び交い。
皇太子の取り巻きは婚約者にケーキを投げつけられ、婚約破棄されていた。
アシュリーの事で女性陣もうっぷんが、貯まっていたのだろう。
その夜親父に殴られた。
「バッカもん‼ 王太子失脚は誉めてやる‼ だがライザ嬢を泣かせた事は許せん‼ あした土下座してこい‼ 」
マタル家は反王太子勢力だ。
今度のゴタゴタで王太子勢力をガタガタにした。
親父もお袋も彼女のことが大好きだ。
次の日。
彼女の屋敷を訪ねたが、ライザは父親に勘当され。
姿を消していた。
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数ヶ月後
ライザは砂浜で歌を歌っていた。
美しい声が波の音とハーモニーを奏でる。
彼女の素足が、波と共にクルクルと踊る。
「やあライザ」
「あらミラロ様ごきげんよう」
彼女は笑って淑女の礼をする。
「楽しそうだね」
「ええ楽しいわ。心の底から笑ったのは何時だったかしら。貴方に近付く女に嫉妬して。どんどん嫉妬に狂って醜くなってゆく。笑えなくなって。笑顔の仮面を張り付け。やっと解放された」
「邪魔な皇太子一派は排除したよ。俺もやっと解放された」
「ふーん。私も平民になって自由を満喫しているわ。昔からの夢だったの。浜辺で波と戯れながら素足で歌い踊るのが」
「侯爵家を弟にゆずった。十年ぐらい外国に諜報活動しなきゃいけないんだ。一緒に来てくれないか?」
「友人として?部下として?」
「妻として」
俺は笑って手を差し出した。
「浮気したら殴るわよ」
「浮気はしない。あれは任務だ」
「どうかしら鼻の下のびてたわよ」
彼女は笑って俺の手を取る。
満月の下。
風と波の精霊を証人にして、俺達は夫婦の誓いをたてた。
~ Fin ~
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2018/3/22 『小説家になろう』 どんC
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★ミラロ・デボイア・マタル
侯爵家長男。銀髪碧眼。腹黒。
親の金で諜報活動&新婚旅行に行く。
★ライザ・ユメリト
伯爵令嬢。可憐な外見だが割と図太い。
★オリビア・アシュリー
男爵令嬢。ビッチで噓つきで野心家。
ヒロイン病の為にヒロインの塔に入れられる。
★ボブソン・トワレ
ミラロの悪友。ごたごたで男爵家から切り捨てられるが、三男だから割と平気。
★ボイア・ソニー
護衛騎士。かなり本気でオリビアに惚れていた。
★アゼルバイジャン・ポー
魔法使い。かなり本気でオリビアに惚れていた。
★エリック王太子
オリビアの為に卒業パーティーで断罪婚約破棄するはずが、逆婚約破棄された。
王太子の地位も失う。
★ナタリー・リインフォース
他国の侯爵令嬢。エリックとの婚約の為に留学していた。
★ミラとハーモニー
双子。日夜空を飛ぶ魔法に没頭中。
変人街道まっしぐら。
最後までお読みいただきありがとうござい。




