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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

素足の伯爵令嬢

作者: どんC
掲載日:2018/03/21

 嫉妬に狂った顔は醜い‼

 と友人が俺の婚約者を指差した。

 俺に近付く女を牽制し罵倒する。

 その顔は見るに耐えないと嘲笑う。


 俺は静かに苦笑する。

 そして俺は安心する。

 彼女の心が俺に向いているから。

 彼女は初めて会った時、俺に恋をした。

 まだ八歳の子供だったが…


「女は子供でも大人なのよ‼」


 と言ったのは俺の姉だったかな。


「ミラロ様‼ 私との婚約を解消して欲しいのです」


「はあぁぁぁ‼ 」


 学園の卒業パーティーでいきなりそう告げられた‼


「やはり身分が違いすぎたのです」


「ま…まて‼ 」


「私はマタル侯爵家に相応しくありません」


「落ち着け‼ 」


「どうかオリビア様とお幸せに‼ 」


 彼女は逃げ去った。


「あ~あとうとう棄てられちゃったね」


 友人が嗤う。

 事あるごとに彼女を非難していた癖に。

 見事な手のひら返しである。


「おめでとう‼ オリビア・アシュリー男爵令嬢は妊娠しているんだろ。お前の子だって皆言ってるぞ‼ 」


「はあぁぁぁ??なに言ってんだ‼ ボブソン‼ オリビアはお前の恋人だろ‼ いやボイアか?アゼルバイジャンか?エリック王太子ともやってたっけ?」


「なに…言ってんだ‼ 俺はやってない‼ 」


「嘘つくな‼ ミラの月の十五日にホテルに行ってたじゃないか‼ 」


「何だと‼ オリビアどういう事だ‼ 」


 ボイアがアシュリーに詰め寄る。


「あれ‼ 本当に好きなのは僕だけだって言ったよね‼ 」


 アゼルバイジャンがべそをかきながらアシュリーにしがみつく。


「ほう。妊娠しているのか?誰の子だ?」


 エリック皇太子が、アシュリーを睨み付ける。


 どうやらエリック王太子が本命だったみたいだ。


「まあ。エリック様オリビア男爵令嬢と付き合っていたんですの‼ 貴方との婚約は、無かった事にしてくださいな。どうぞアシュリー様とお幸せに」


 エリック王太子の婚約者ナタリー侯爵令嬢が嗤いながら会場から出ていく。


「やったー‼ これで私達結ばれるのね♥」


 アシュリーは皇太子の腕にへばりつく。


「いや。とっくに結ばれている俺はどうなる‼ 」


「僕が一番好きだって言ったじゃないか‼ 」


「いや。それより誰の子だ?」


「エリック様落ちついて下さい。私妊娠なんかしていません。ラスタ様嘘などつかないで下さい」


「あら~私貴女が、ライザ様にミラロ様の子を妊娠したと言ってるの聞いたわよ」


「私も聞いたわよ」


「貴女達はあの場所に居なかったじゃない‼ 」


「木の上にいたわ‼」


「そんな所で何してたのよ‼」


「空を飛ぶ訓練よ‼ それより嘘ついたの‼ 」


 双子のミラとハーモニーはよく空を飛ぶ訓練と言っては、作り物の翼を付けて木の上にいる。


「誰だ‼ レディは、嘘つかないなんて言ったのは‼ 」


「いや‼ それより‼ 俺だけだって言ったくせに‼ 」


 もはや混沌である。


 王や王妃や親父が来たときには、あっちこっちで殴りあいや罵倒が飛び交い。

 皇太子の取り巻きは婚約者にケーキを投げつけられ、婚約破棄されていた。

 アシュリーの事で女性陣もうっぷんが、貯まっていたのだろう。




 その夜親父に殴られた。


「バッカもん‼ 王太子失脚は誉めてやる‼ だがライザ嬢を泣かせた事は許せん‼ あした土下座してこい‼ 」


 マタル家は反王太子勢力だ。

今度のゴタゴタで王太子勢力をガタガタにした。


 親父もお袋も彼女のことが大好きだ。


 次の日。


 彼女の屋敷を訪ねたが、ライザは父親に勘当され。


 姿を消していた。



 *~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*~~*



 数ヶ月後


 ライザは砂浜で歌を歌っていた。


 美しい声が波の音とハーモニーを奏でる。


 彼女の素足が、波と共にクルクルと踊る。


「やあライザ」


「あらミラロ様ごきげんよう」


 彼女は笑って淑女の礼をする。


「楽しそうだね」


「ええ楽しいわ。心の底から笑ったのは何時だったかしら。貴方に近付く女に嫉妬して。どんどん嫉妬に狂って醜くなってゆく。笑えなくなって。笑顔の仮面を張り付け。やっと解放された」


「邪魔な皇太子一派は排除したよ。俺もやっと解放された」


「ふーん。私も平民になって自由を満喫しているわ。昔からの夢だったの。浜辺で波と戯れながら素足で歌い踊るのが」


「侯爵家を弟にゆずった。十年ぐらい外国に諜報活動しなきゃいけないんだ。一緒に来てくれないか?」


「友人として?部下として?」


「妻として」


 俺は笑って手を差し出した。


「浮気したら殴るわよ」


「浮気はしない。あれは任務だ」


「どうかしら鼻の下のびてたわよ」


 彼女は笑って俺の手を取る。


 満月の下。


 風と波の精霊を証人にして、俺達は夫婦の誓いをたてた。





                ~ Fin ~




 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 2018/3/22 『小説家になろう』 どんC

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

★ミラロ・デボイア・マタル

侯爵家長男。銀髪碧眼。腹黒。

親の金で諜報活動&新婚旅行に行く。


★ライザ・ユメリト

伯爵令嬢。可憐な外見だが割と図太い。


★オリビア・アシュリー

男爵令嬢。ビッチで噓つきで野心家。

ヒロイン病の為にヒロインの塔に入れられる。


★ボブソン・トワレ

ミラロの悪友。ごたごたで男爵家から切り捨てられるが、三男だから割と平気。


★ボイア・ソニー

護衛騎士。かなり本気でオリビアに惚れていた。


★アゼルバイジャン・ポー

魔法使い。かなり本気でオリビアに惚れていた。


★エリック王太子

オリビアの為に卒業パーティーで断罪婚約破棄するはずが、逆婚約破棄された。

王太子の地位も失う。


★ナタリー・リインフォース

他国の侯爵令嬢。エリックとの婚約の為に留学していた。


★ミラとハーモニー

双子。日夜空を飛ぶ魔法に没頭中。

変人街道まっしぐら。


最後までお読みいただきありがとうござい。









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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。 後書きの「ヒロイン病」と「ヒロインの塔」が地味に気になるw 何人の「ヒロイン」が収監されているんですか?
[一言] ライザさん!嫉妬で女の愛情をはかる男はろくなもんじゃないぞ! それに「浮気はしない。あれは任務だ」、つまり任務ならまた同じことをするってことです。諜報活動にハニートラップは当たり前ってことで…
[良い点] 短い話に盛りだくさんで面白かったけど、 勘当されたライザが可哀想だった。 実家の人は冷たいですね。
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