黒い霧の向こう
「私は・・・」女の子は下を向いたが、何かを決心したように顔を上げた。
「奈々子っていうの」にこって笑った。なんか嫌な予感がする。わかんないけど。
奈々子はすっと手を上げると、ぼくの耳元に近づける。
「開花しちゃったんだね」
パチン
「え?」
え?な、何?なにが…?
気づけば、さっき見ていた夢の中にいた。
「あ、」グレンがくるりと後ろを振り返る。かかとで回った、といったほうが正確かもしれない。「そこにあるネコ耳、付けといてねっ☆」さっきの表情からは考えもつかないほど、自然で、あざとくて、可愛い笑み。アイドルに向いているかもしれない。寧ろアイドルなのかもしれない。
どごぉ、と鈍い音がして、壁が破壊される。それと同時に、さっきまで扉を隠していた何かが解けたみたいで、壁だったところが、前は淡いピンク色であったであろう扉の、残骸をぶら下げていた。
奈々子は、急いで傍にあったネコ耳を付けた。黄色い。トラ猫かなぁ?ふわっふわで、ついつい触りたくなる。
もうもうと立つ砂ぼこりから、大きな男が飛び出してきた。その男は、縦幅も横幅も大きくて、居るだけで大きな圧力がかかってくる。頭のネコ耳があまりにも合っていなくて、笑えるレベル。
「おい」見た目通りに、声がとても低かった。低いだけじゃなく、地の底を這うような、聞いた者の背筋をゾクリとさせるような、そんな声だった。「ここに匿っているのだろう。我々には、わかっておるのだ」
「?」奈々子は、何が起こっているのか全くわからない、というような表情をしていた。ぼくも同じく、何が何だかわからない。混乱してくる。だけど、この人たちはきっと、奈々子かグレンを捕まえようとしているんだろうな、と思った。
「なわけないでしょ」グレンは、唇をちょっと突き出して言った。「何を匿う必要があるっていうのよ」
「・・・ギア」その男は、言いたくないかのように、小さな声でつぶやいた。ぼくは位置的に、なんていってるのか聞き取れなかった。ちょっと近付いてみようかな。どうせ僕のことは誰も見えないんだし。
僕が近づいた次の瞬間、男は怒鳴った。
「サぺルギアだ!そのくらいわかるだろう!わざわざ言わせるのでない!俺の口が腐るだろうが」
い、痛い。耳が痛い。近づくんじゃなかった。鼓膜が破れると思ったよー。
もうもうと舞っていた砂煙が晴れてきて、他の人(猫?)が見えてきた。他も全員、がたいのいい男だが、最初に出てきた男に比べると、みんなもやしに見えるほど細い。つまり、最初の男はとっても大きい。
グレンと話している男以外は、ドアの内側へ入ろうとしなかった。部屋が狭いからかなぁ。
「かくまっているわけ、ないじゃない。そういう奴は少ないんだから、会うのだって大変なのよ。それに、扉を破壊することもなかったじゃない。お気に入りだったのにー」グレンは、片頬をぷうと膨らませて、腕を組んだ。
「では、何故扉を隠したのだ。かくまっているのでなければ、扉を隠す必要はなかろう」僕はふと気が付いた。とても目が冷たい。グレンの睨みが、とても暖かく思えるほど。
「それは・・・」グレンは瞳を泳がせた。「私がここに住んでることがばれたら、たくさんのファンが押し寄せてきて、あなたたち警察官の仕事が多くなっちゃうでしょ?」言い終わった後、目をウルウルさせて、男を上目遣いに見る。「だから・・・」
「ふう。ここにもいないのか。お前たち、我々はここを去る。ここを直してから来い」グレンに話しかけたときの声は脅しの声ではなく、普通の声だったみたい。いつもこんな声で話す上司とか、怖すぎるよ。
「サ!」扉の外にいた5人くらいの男(半猫半人)は、一斉に敬礼した。
「ねー」男たちがいなくなった後、奈々子がグレンに話しかけた。「サぺルギアって?人間のこと?」
「そう」いつの間にかグレンは、いつものツン(デレ)に戻ってしまっている。
「ポケモンみたいな名前ね。他に呼び方はなかったの?」奈々子はくすくすと笑いながら言った。
「ポケモン・・・?」
「あれ、ポケモン知らない?」
「・・・」グレンは何かをすごく考えてる。何を考えてるんだろ。
「それって美味しい?」
「・・・」
「あ、目が覚めたんだね、よかったぁ」
グレンとグレンに連れられた奈々子についていくと、リビングのような場所にたどり着いた。さっきの部屋の9倍はありそうな、広い部屋。左側にはソファ、右側にはダイニングテーブルがある。ソファの上には、グレンと同じ年と思われる男の子がいた。
「お疲れ、グレン」男の子はグレンに、にこやかに手を振った。「また頑張ったんだね」
グレンは顔を真っ赤にした。「聞こえていたのね」
「猫の耳をなめないでほしいな」男の子は、得意げな顔をした。
「この子、猫なの?」
「そうよ、本物の半猫半人」当たり前のように答える。
「それで・・・」
部屋の角から、黒いものが染み出してきた。だんだん広がって、部屋の半分を覆い隠してしまう。
僕は逃げた。触れたくないような気がした。
グレンと奈々子と男の子は、何事もなかったかのように話し続けている。黒い壁が見えていないかのように。
次第に、黒い壁はグレンと男の子を飲み込んだ。壁というよりは、濃すぎる霧のような気がする。奈々子にも迫ってきていた。ぼくは助けようと思い、手をつかもうとして、そこで気づいた。触れないんだった。
「君はこの世界には干渉できない。今の状態では。知っているよね」
どこからか、男の子の声がする。いたずらを仕掛けて、誰かが引っかかるのを今か今かと待っているような、人をあざ笑うような、淡々とした声。
「さっきのネコ耳の男の子?」ぼくははっとして、ぼくののど元に手をやった。声が出るようになっている!
「そう、そこの、闇に飲み込まれた子だよ。ちょっと声を借りているだけだけどね。」声の主は、そうってからふふふ、と笑う。あまりにも似合わなすぎて、気持ち悪い。
「気持ち悪いとか思わないでよ。ちょっとひどすぎない?声を出るようにしてあげたのに」今度は、傷ついた口調で、語りかけてきた。
「まさか、心が読めるの?」
「そうだけど。驚いた?!」次は、嬉しそう。「ぼくの作品と話す機会なんてあんまりないからね。そろそろ闇がそこまで来るだろう。夢から醒ませてあげよう。ずっと闇の中に一人はつらいはずだ。」
話に夢中で気が付かなかったが、黒い霧は目の前まで来ていた。
ずっと闇の中に一人。
その言葉が、頭の中で何度もこだまする。
「おねがい!夢から覚めたいから、起こして!」ぼくは叫んでいた。
「わかった」
「う・・・」
なんかがたがたする。すごく揺れている。あれ、頭が下になってるかも。気持ち悪い。
ぼくは奈々子ちゃんに背負われているようだ。正確に言うと、奈々子ちゃんが乗っている馬に干されている感じ?姿勢を直したいけど、がたがた揺れてて怖い。
仕方なく、奈々子ちゃんのほうに顔を向けてみる。きりりとしていてかっこいい。いつもかわいいのに。思わず顔が赤くなる。
だけど、ぼくが起きたことに全く気付いていないようだった。
「・・・ん、な」お腹の下が揺れてしゃべりずらいぃぃぃ
「あ、起きたのね」奈々子はニコッと笑う。「今起こしてあげるから、ちょっと待ってて」
奈々子はぼくの両脇をつかんだ。と、思っていたら、あっという間にうまの背に乗っていた。
「っわ」思わず前に投げ出されかける。奈々子ちゃんが手綱を握っていないほうの手で、ぼくのお腹に手を回す。これで一安心。もう投げ出される心配はない!
「大丈夫?結構揺れるけど」頭の上から声がする。変な感じ。
「あ、うん。大丈夫」正直言って車酔いするほうだから、ちょっと心配。
ん?あれ?なんでぼく馬の上にいるの?
「ぼくがいたキャンプ場は?お父さんとお母さんは?」
「・・・」
「ねえ、聞いてる?」
「・・・」奈々子ちゃんは遠くを見ていた。ずっと遠くを。「・・・くる。終末が、くる」
「何言ってるの?」
「終末が来るのよ!早く逃げなきゃ」
いつもの奈々子ちゃんではないような、焦り方をしている。きっと大変なことがおこるんだろうな。
「どこに逃げるの?遠く?」
「遠くにいっても意味はないわ」奈々子はため息をついた。「だから、別の世界へ逃げるの」
「「猫の世界」」
言葉が被る。その言葉が、ぼくの口から自然に漏れ出したことに、驚いた。
奈々子ちゃんも驚いているように見える。
「早くしないと、消える。私たちが」奈々子ちゃんは目を、恐怖で見開いていた。「だから、今からスピードを上げるから。前を向いていて。」そういって、ぼくの頭を動かした。
「どこから猫の世界に行くの?」
「・・・私は、異次元へのポータルを開くことができるの。だから、そこから行く」奈々子ちゃんの声は、いつもよりもしっかりしているような気がして、何かを心に決めたんだと思った。
「しっかりつかまっていてね」
「うん」ふと、後ろに何か気配を感じた。馬の鬣につかまりつつ、後ろを振り返る。
後ろから、黒い霧が迫ってきていた。とっても大きい。視界の左端から右端まで、黒い霧でおおわれている。
「奈々子ちゃん!後ろ!」
「わかっているわ。あれが終末よ」
あれに似たものを、どこかで・・・
「・・・夢で、見た。・・・奈々子ちゃんとグレンと・・・飲み込まれて・・・うう」
思い出せない・・・。
「夢で、見たの?!」
「みた」痛い。「頭が痛い」痛い。
「稀凰君、貴方がここに持ってきた可能性があるわ」
「それってどういう・・・」頭が痛くて、深く考えられない。
「仕方ない、100メートル先にポータルを作るわ。ここはポータルが開きやすいところではないから、時空が歪んで、何らかの影響が出るかもしれない。でもそんなことをいっている場合じゃないわよね」
奈々子は一人で、何かをぶつぶつとつぶやいている。
その後、手を複雑な形に組んで、目をつぶったと思えば、何かを唱えだした。
すると、馬がおびえだし、正面から、強い風が吹いてきた。台風の日の風と、比にならないくらい強い。
グアァンと、何かが響くような不思議な音とともに、少し前のほうに、大きな円が現れた。
「成功ね」
奈々子は、そこに向かって、さらに馬を走らせた。
「え・・・」奈々子は馬を止めた。円の中から、ネコ耳を付けた人たちが、次々と出てくる。
その中に、グレンと、男の子と、2人の保護者らしき猫が、こっちに向かっていた。男の子について、何かを知っているような気がするが、わからない。
頭の痛みも治まってきたので、再び痛くなることを恐れて、稀凰は考えることを放棄していた。
「またも救ってくれたのね。まだあなたを信じ切ったわけじゃないけど」グレンは奈々子を警戒していた。
また?奈々子ちゃんは前にグレンを救ったことがあるの?前は助けられていたような気が・・・?
「能力のこと、隠していてごめんなさい。でもわざとじゃないの」驚くことに、奈々子ちゃんがグレンに謝っている!ぼくは全く理解できなかった。さっきまで仲が良かったような気がしていた。
「でも今はそれどころじゃないの。この世界に、《あれ》が来てるのよ」
「え?」グレンは怯えていた。「助けてくれるわけじゃないの?」
「ええ。私たちが、貴方たちに助けてもらおうと思って、」
「猫の世界にも来ているのよ。前回と比べ物にならない大きさのが。」
「この世界にも来ているわ。とても大きいの。私じゃ、力不足」
「あの黒いのね。大きすぎて、逆に気づかなかったわ」
「他の世界に逃げるしかないわ。でも、私はうまく開けるかわからない。ねえ、クレン」
「なあに?」男の子がこちらを向く。「ぼくに手伝えること、あったのー?」こんな状況なのに、楽しそう。よくわからないけど。能天気なのかな。
「よく楽しそうに振る舞えるわね。さすがクレン」グレンが尊敬しているような、軽蔑しているような表情で、クレンを見ていた。
「力を貸してくれる?ほら、前みたいに」
「えー?できるだけしたくないな」
「クレンのケチ」グレンが話に割って入ってきた。
「ひどいよグレンー!貸した後は疲れちゃうんだもん。やだよー」
「私だって、新しい世界の座標を探すのよ。きっと大変なんだから」
「えー」
「大体の場所もわからない中で探すのよ?きっと、とーっても疲れるわ。クレンよりも大変かも」グレンがぷいと、そっぽを向いた。
「わかったよ。グレンが頑張るんなら、ぼくだって頑張らなくちゃ」クレンは、少しやる気が出てきたみたいだった。
「ところで、この子誰?奈々子の婚約者?」クレンは奈々子ちゃんを見上げて、問いかけた。
「え?あ、ぼくは・・・」ぼくは真っ赤になりながら、なんとかこたえようとする。
「クレン、この子は・・・私と同じ、《能力を持つ者よ》」
「ふーん」クレンは不満そうだった。
「長くても、あと30分ってとこね」グレンが、遠くの濃すぎる霧を見ながら言った。「早く移動したほうがいいと思うけど」
「グレン、座標を探してくれる?」奈々子が、グレンに目線を合わせた。
「どこら辺がいいの?」
「私はよくわからないから、どこでもいい。けど、住みやすいところがいいな」
「わかったわ」
約5分後、グレンは2個の、次元の座標を見つけてくれた。
「クレン、見える?」
「うん、見えた。今送るから、待ってて」そう言ってクレンは目を閉じる。一生懸命集中しているようで、眉間にしわが寄っている。
「こんな感じかな」クレンは目を開いて、地面に落ちていた木の棒を持って、地面の上に絵を書き始めた。
「うーん。ちょっと遠いから、時間かかるかも。でも開けない距離じゃない」クレンが絵を書き終える前に、奈々子ちゃんは答えた。どうやら、クレンの絵は、なんかの作戦に関係ないみたい。
にしても、この3人は何の話をしているのんだろう?会話から、只者ではない雰囲気が漂う。
「ねえ、何の話をしているの?」ぼくは奈々子ちゃんの袖を引っ張って、聞いてみる。
奈々子ちゃんはにっこりと笑ってくれた。「状況打破よ。あれから逃げるの」そういって、濃すぎる霧を指さした。
「クレン、力、貸してくれる?」
「えー。あ、いや、いいよ」グレンが、嫌いになりそう、とつぶやくと、クレンは、すぐに言いなおした。
「よかった」奈々子ちゃんは、ほほ笑んだ。グレンとクレンのやり取りに、全く気付いていないようだった。
「貸して?」クレンは、再び目をつぶり、眉間にしわを寄せた。奈々子の身体が、うっすらと光ってくる。
しばらくして、奈々子は光の膜につつまれた。光は角度によって、何色にも見える。とっても綺麗だった。天使か、はたまた神が、地上に舞い降りてきたのかと思うほど。
奈々子はまた手を複雑に組み合わせ、目をつぶった。今度は何かをつぶやくことのなく、唇は閉じている。祈りのようにも見える。
しばらくして、不思議な音がして、円が現れる。ただ、円の中はさっきと違って色がなく、黒かった。
「そんな・・・」奈々子が目を見開く。
「うそ・・・」隣には、呆然としたグレンが立っていた。いつからそこにいたのかわからないけど、少しびっくりした。
「・・・しっぱい・・・?」クレンは地面の絵を完成させながら、呟いた。その絵はとてもきれいだった。とても。ぼくと同じくらいの男の子が書いたことを疑うような、完成度のとても高い絵だった。
「失敗じゃ、ない。ちゃんと開いた。けど・・・」奈々子ちゃんが泣きそうな目をしていた。これは大変なことなのかもしれない。
「あっちの世界も、《あれ》に侵略されてるのよ」
「早くポータルを閉じないと!入ってきちゃうよ!」クレンはすごく慌てていた。「奈々子!」
「わかってる。今閉じるわ」そう言うと、すぐに手を組み、目を閉じて、唱え始めた。
円はだんだん狭まってきてはいるが、奈々子の努力も空しく、円の中から霧が漏れ出てきた。いつのまにか、はるか遠くにあった霧の壁が、もうすぐそこまで迫ってきている。逃げ場はなかった。
「いや・・・」グレンはもう涙目で、しゃがんで頭を抱えていた。
奈々子ちゃんは呆然と、迫る霧を眺めている。
ぼくは、なぜか落ち着いていた。こうなるとわかっていたような、他人事のような。
みんな、飲み込まれていく。
奈々子ちゃんも、グレン、クレンも、みんな。
奈々子ちゃんが開いたポータルも飲み込んでいく。
僕も霧に入った。なんだか暖かい。暗い。見えない。
安心感とともに、恐怖が襲ってくる。
居心地がいいのに、息が詰まりそうな暗さ。
闇におぼれそう。
たすけて・・・・
ごめんね
ふと、目の前に文字が浮かんできた。
創れなかった。その先を。
時間がなかったの。
あなたたちの時間を創るのは大変なの。
こっちの時間で何倍もの時間をかける。
だから・・・
「私たちを創ってくれた、製作者でしょ」ふいに、奈々子ちゃんの声がした。
正解。さすが私の奈々子ちゃんね。
「ずっと、貴方が喜びそうな行動を取るようにしてきたんだもの、わかるわ」
にしても、新鮮ね。
自分が創造したキャラクターと会話するなんて、なかなかない機会だから。
「なんで、途中でやめちゃうの。私たちは、どうなるのよ?」
こんにちは、グレン。
これからどうなっちゃうのか、心配なのはわかるけど、どうにもならないわ。
ただ、私の中にいるだけ。
ずっと、闇の中に漂い続けるわけじゃないわ。
大丈夫よ。それが心配だったんでしょう?
「さっきの世界は?他の人たちはどうなるのよ?」
あれは幻よ。知っているでしょう?
あなたがほかの人たちと呼んでいるひとは・・・モブと呼ばれる存在ね。
特に役割もない、ただの通行人よ。
背景の一部と思ってもらってもいいかしらね。
心配しなくて大丈夫よ。
随分と静かね。クレン、稀凰。
クレンは能天気・・・というか、脳がないから混乱しているのかしら?w
「馬鹿にしないでよねー!ただ驚いているだけだから!というか、ぼくにたくさんの能力押し付けて、能天気にしたのって君だよね?」
怒らないでよー。一応頭がいい設定にしたのも私だから。
「ぼくは全然わからないんだけど、奈々子ちゃんとクレンとグレンに何があったの?」
ここではそれを書きたかったんだけど、
なかなか続かなかった。
全体は見えているのに、話がそれてしまうの。
だんだんと変な方向へとそれていってしまった。
だから書き直すことにしたんだ。
君たちの物語を。
ごめんね、インクをこぼしてしまって。
「この話でのぼくの役割は何だったの?次の話でも僕を書いてくれる?」
謎を解き明かす、読者の探偵役。書く予定では、いるよ。
「そのお話って、もしかして最初から書くの?」
鋭いね。さすが私の奈々子ちゃん。
そうよ。最初から書くわ。
「私の今までの記憶はどうなるわけ?まさか・・・」
消えるわ。
でも同じような内容だから、安心してほしい。
「冗談じゃないわ!たとえ同じような話で、同じような性格だとしても、それは私じゃない!」
ええ。あなたからしたら、ドッペルゲンガーってところかしら。
でも、私からしたら同じ人。同じキャラクターよ。
あなたでも、あなたじゃなくても、同じ役割ならそれでいい。
「それって・・・!それって・・・」
でも私は、この奈々子ちゃんがいいな。
だってかわいいもん。
他のキャストは考えられない。
クレンも、グレンも、稀凰だって、私の大切なキャラクターで、子供たちで、友だちだから。
手放すわけにはいかない。
だから、もっときれいな物語を作るから。
それまで待っていて。
私の大切な・・・
奈々子、クレン、グレン、稀凰へ
インクをこぼすことで4人を恐怖に陥れてすみませんでした。
時間ばかりかけて結局強制シャットダウンごめんなさい。
許して( ;∀;)




