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猫の少女

 気が付くと、ぼくはとても暖かくて、明るい場所にいた。


 「目が覚めたのね」横から、少し鋭めの高い声が飛んできた。


 「ここは・・・?」ぼくは聞こうとした。だけど、声が出なかったんだ。代わりに、ベッドの中から声がした。


ベッドの中の女の子は体を起こして、あたりを見わたした。ぼくは部屋の中にいた。部屋の中には、女の子が寝ているベッドと、隣に小さめの棚、その隣に小さな女の子が立っている。ぼくと同じくらいの歳かな。髪が少し長めで、華奢な感じがする。棚は、ナイトテーブルも兼ねているみたいだ。家具はほかになく、天井に照明が一つ。オレンジの電球だからこんなにも暖かな感じかするのかな。


「自分の記憶は、ある?忘却光線を浴びたみたいだから」鋭い声の少女は、淡々と話し始めた。


「ボウキャクコウセン?」それをベッドの中の女の子が、すぐさま遮る。


「光を当てられなかった?まあ、覚えていないのが普通だけど」女の子は肩をすくめた。


「あ、懐中電灯みたいなのを、猫の耳がある女の人に向けられた」


「覚えてるの?!」鋭い声の少女は、怪物でも見るような目でベッドの中の女の子を見つめた。


「それで、懐中電灯を投げつけられて、意識を失って。気づいたらここに。」


「その懐中電灯が忘却光線。その光を当てられたら、どんな生物でも記憶が全て無くなるの」


ベッドの中の女の子を見て、言い直す。「ほとんどの生物の記憶が、ね」


「その前の記憶はあるの?」


2人は全くぼくに気がついていないようだ。なんだか悲しい。


小さいほうの女の子の目の前で、大きく手をふってみる。


「あ」


ぼくは、女の子の頭の上に、ふさふさした三角の耳がついていることに気がついた。


「それって・・・」ベッドの中の女の子が、大きく目を開く。


「そう、ネコ耳よ。でも、」そういって、頭の上のネコ耳を取り外す。「本物じゃないけどね」


 「コスプレが好きなの?」ベッドの中の女の子は、首をかしげる。あれ・・・?この首のかしげかた、何処かで見たことがあるような気がする。


 「なわけないでしょ」ネコ耳少女は、呆れたように、言った。なんだか女の子を見ている視線が少しきつくなったような・・・。「仕方ないでしょ、この世界に来てしまったからには、ばれないように過ごさないといけないし」


 「この世界?」


 「わからないのも無理ないわ。あなた、ここに来たくて来たわけじゃないんでしょ?」


 二人が話している間に、ぼくは精一杯、存在をアピールした。目の前で手を振ったり、棚や壁を叩いて音を立ててみたり、目の前であっかんべーをしてみたり、女の子のほっぺをつねってみたり。平手打ちもしてみた。それでも全く気付かれない。もういたずらの域を超えてるよー!


 「・・・ところで、あなたの名前はなんていうの?」さっきよりも声の鋭さがなくなっている。いつの間に仲良くなったんだろ?


 「奈々子。白樫奈々子っていうの」奈々子は、少女に向かってにっこり笑った。う~ん。この笑顔も見たことがあるような気がするんだけど。でも、奈々子っていう名前は聞いたことがない。


 「ナナコ?珍しい名前ね」ネコ耳少女は、訝しげな顔をする。


 「うん?そう?結構よくある名前だと思ってたけど」


 「あなたの世界ではそうだったのね」ネコ耳少女は、そう言うと、少し遠くを見た。まるで、昔を思い出しているみたい。


 「あなたの名前はなんていうの?」奈々子は小首をかしげる。肩まで届いていない髪が、片方にさらさらと移動する。絶対にこの人のこと、どこかで見たよ!思い出せないけど。


 「グレン」ネコ耳少女が、ぶっきらぼうに言う。


 もう、2人はぼくのこと見えてないってことでいいや。ぼく、幽霊になっちゃったんだ。なぜか、それが変など、一切感じなかった。むしろ、あたりまえとさえ、思えてくる。


 「グレン?かわいい名前ね」そう言って、奈々子はにっこりほほ笑んだ。うん、この笑い方も、何処かで見た気がするんだけど・・・。


 グレンはぷいっと横を向いた。グレンのほほが薄紅色に染まっている。もしかして、照れてる?


 位置的に、奈々子にはグレンの顔が見えていないようで、すごく不思議そうな顔をしているのがちょっと面白い。


 「・・・どこにいる!」急に、外から怒鳴り声が聞こえてきた。足音も、たくさん聞こえてくる。


 グレンの顔が一瞬で、いつものしかめっ面に戻る。そして、目にも見えないようなスピードで、ネコ耳を付けて、奈々子のほうを勢いよく見た。「早くその服をどうにかしないと!」


 「へ?」何が起こっているのか全くわかんない。奈々子のほうもそうらしく、ポカンとした表情でグレンのほうを見ている。


 グレンは、ベッドとサイドテーブルの間の壁を軽く押した。手をかざした、と言ったほうがいいかも。すると、その壁の一部が無くなった。


 「・・・え?え?」え?何?何の能力?


 「この中に服があるわ。早く着替えて」いつもより、言葉が鋭い。ちょっと慌ててる?


 「・・・わかった」そういって、奈々子は暗闇の中へと消えていった。と、思ったら、奈々子が入った瞬間、パッと明かりが点った。


 声には出さないものの、奈々子が驚いていることは、顔を見ればわかった。


 中には色とりどりの服が入っていて、色ごとに順番に並べられてる。虹みたいで綺麗。


 「これとこれね。今、悩んでる時間なんてないから。ちゃっちゃと着替えて」クローゼット(?)の中からグレンの声が聞こえる。いつの間にかグレンもクローゼットの中にいるみたいだ。


 ぼくはクローゼット(?)に背を向けていた。いくら僕が見えていないとしても、女の子の着替えを見るのはだめだと思うし。


「ここにかくまっているのは分かってるんだ!」壁のすぐ向こうから、図太い男の人の声が聞こえる。


 「もう来たの」グレンは絶望的に言った。


「追われてるの?」奈々子は不思議そうに聞いた。


「ええ、そうよ」当たり前のことでも言うように、グレンは軽く受け流した。グレンが焦っているのが分かる。


「大変ね。」


「あなたも追われいるのよ?!」


「え?」奈々子は大きく目を開いた。


「何で?」奈々子は、私悪いことなんてなんもしてないよ?とでも言いたげな顔をしている。


「何でって、人間だからに決まっているでしょう?」


奈々子とグレンが、クローゼット(?)から出てきた。クローゼット(?)に入って5分もたっていない。女の子の着替えって遅いイメージでいたけど、意外に早いもんなんだなー。そう思っている矢先、2人の服を見てみると、


驚いた。


奈々子は、黄色いワンピースを着ていた。サマードレスかなぁ?よくわかんない。女の人のファッションに興味はないし。靴は、少しヒールがついている、サンダル。白いやつ。腕には、金属製の金色の輪っか。バンコク?だったっけ?モンゴル?...あれ...?


あ、ちなみにグレンの方は、黒い。上はタンクトップ?ノースリーブ?よくわかんないけど、Tシャツのそで無し版みたいなのを着ている。右肩から左脇にかけて、ひらひらした布が装飾されているという、よくわからない&説明しづらい服。下は、タイツの足首までのやつに、黒くて短いズボンをはいている。靴も、黒。髪の毛も黒くて猫耳も黒いから、上から下まで真っ黒。胸の銀色のネックレスがすごく目立つ。


 って、服はどうでもいいんだけど!奈々子が見違えたように綺麗になってることも置いといて、


 「人間じゃないの」奈々子が、全く理解できないというような目で、グレンを見る。


 「ええ、この世界にいるのは人間ではないわ」


 「じゃあ、何なの」


 グレンは少し考えてから、言った。「今はそんなこと言っている場合ではないわ」ぷい、と横を向く。どうやらあまり考えたくないようだ。


 「…ここだな」ベッドの足側にある壁から声が聞こえてくる。「おい、見つけたぞ」続いて、何人かのドス、ドスという足音と、壁を強く叩く音がいっぺんに聞こえてきた。


 「…結構上手に隠せてたと思ったのに」そう言って、グレンが、ぷう、と頬を膨らませる。


 「じゃあ仕方ないっ!グレンちゃんが何とかしないとねっ」語尾に☆がつきそうな高い声を上げて、騒音のする壁のほうへ向かっていった。


 「え?」


 え?な、何?なにが…?






 「・・・きて。起きて」どこか遠くのほうから、聞いたことのある女の子の声がした。


 ぼくはすぐさま、目を開けた。一気に光が入ってきて、まぶしい。というより、目の奥が痛い。すぐ目を閉じる。


 「早く起きて。朝だよー」声が奈々子ちゃんっぽい。姿を確認しようとするも、強い光で目が痛い。そっかー。いつのまにか寝ちゃって、朝になっちゃったんだ。なんだか長い夢を見たな。・・・あれ?どんな夢を見たんだっけ?すごく長い夢だったような気が・・・。えっと・・・奈々子ちゃんが・・・奈々子ちゃんって誰だったっけ?・・・あれれ?


 「起きてー!えと、名前・・・。そういえば、名前聞いてなかったなー」だんだん光にも慣れてきて、少し目が開くようになる。すぐ目の前にある顔は、考え事をしているみたいだ。


 「う、おはよ」ぼくは目をこすって、もっと光に慣れようとする。起き上がろうとすると、ごちんと鈍い音がして、おでこがひりひりと痛くなった。思わず額を押さえる。


 「いったぁーー」昨日、面白い話をしてくれていた女の子が、地面に正座して、ぼくと同じように額を押さえていた。高校生くらいだろうなー。・・・あれ?夢の中にも出てきていたような??


 「おはようぅ。ご、ごめんねー。おでこいたくない?」女の子が涙目&涙声で聞いてくる。


 「僕はもう痛くないけど・・・」あれ?ぼくって石頭?試しに自分の額をコツ、コツと叩いてみる。う、痛い。さっきの痛みが戻ってきた。叩かなければよかったー( ;∀;)


 「そろそろここを離れないと」女の子は自分の寝袋をたたみ始めた。


 ぼくも自分のものを片付けないと。自分の膝をみてみると、赤いTシャツを着た黄色いクマが描かれた、タオルケットをかけていた。ずっと気になっていたんだけど、なんでクマが黄色いんだろ?はちみつの食べ過ぎかなぁ?


 どうやらこれは、寝袋をたたむのに苦戦している、あの女の子が貸してくれたみたいだ。名前を知っている気がするんだけど、なんだっけ?


 「ねーねー」女の子が話しかけてくる。


 「ん?あ、何?」ぼくが振り向いてみると、女の子がこっちを不思議そうに見ていた。なんだか気まずそうでもある。


 「名前、聞いてなかったよね。なんていうの?」女の子が、近くに来て、ぼくの目線に合わせてかがんでくる。ぼく座ってるから、地面に座ったほうが楽だと思うんだけど。


 「稀凰」


 「きお?」


 「うん。小鳥遊 稀凰っていうの。お姉さんの名前は?」

あまりにも時間がたちすぎました(´・ω・`)

時間が全然ない(´・ω・`)(´・ω・`)

タイムワープしたい(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)

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