第4話 第二の修行と特別な体
この世界のことも理解できた。死にかけたが。
「よし、落ち着いたな。では次に行こう。」
「その前に、」
「ん?なんだ?」
「この体、動かないんですけど。」
「次は儂の話を聞くだけだ。動けなくてもよかろうに。」
「まぁそうですけど。」
(動けないと体を手に入れた意味がなー)
神様は心底面倒くさそうだ。
「わかりましたよ、次に行きましょう。」
「よろしい。では、始める。まず儂がどのようにして、、、」
以下省略。神様の話、自慢話ばっかりでつまんないことなんの。4時間くらい話してた。5時間のほぼ全てこれに使ってる。眠気をこらえるので精一杯だった。というより、半分寝てた。
「よし、一通り話したな。おい!寝ておらんよな?」
「はっ!起きてます起きてます。」
「ん〜、ならば良いが。最後にテストだ。工房の方にいくぞ。」
これで2つ目の修行は終了だ。はっきり言って何もしていないが、神様がすっきりしてるようだからいいか。それよりも
「あの〜」
「なんだ?まだ話をして欲しいか?」
「いやいや、遠慮しておきます。そうではなくて、テストと言われても、体が動かないのですが。」
「おお、そうだったな。忘れておったわ。」
(おいおい、あんたのせいでこうなったんだからな。忘れるなよ。)
「なので、新しい体をもらえませんか?」
「そうだな。よし、お主の肉体を先に作るかの。それに、目の前で錬金術を使うところを見てみれば、ぶっつけ本番よりもやりやすいだろう。」
確かに、今のオレは知識はあるが経験はない状態だ。それに、神様の錬金術が見てみたい。
「どちらにしても工房に移動するぞ。」
神様はそう言うと、オレを椅子ごと引きづって工房に移動した。工房は、錬金術を使う者にとって夢のような場所だった。
「今材料を取ってくる。少し待っていろ。」
「動けないんですから何処へも行けませんよ。」
「それもそうだな。」
神様は工房の奥へと消えていき、少しして戻ってきた。そして、オレの体になる素材たちが宙に浮いていた。だが、おかしい。
「えっと、神様これは?」
「これはお主の肉体の材料だか?」
「は?」
(いやいやいや、おかしいだろ。だってミスリルとか、オリハルコンとか、なんで伝説級の金属が入ってんの。)
第一の修行で知ったことだが、ミスリルやオリハルコンはこの世界で伝説上の金属になっているのだ。そのためか、神様が持ってきた材料もあまり量がないようだ。
「言っておったろうに。特別な肉体をやると。」
「だからってこの素材は流石にちょと、」
「ちょと、なんだ?」
「な、なんでもないです。」
こんな伝説の金属を使うなど、神様はオレの体を本気で作ろうとしているようだ。かなりやばい代物が出来上がってしまいそうで恐ろしい。
「よく見ておけよ。これが錬金の神の、最後で最高の錬金術だ!」
そう叫ぶと同時に、凄まじい光が工房を包む。宙に浮いた素材たちは混ざり合い、人の形を作っていく。
すごい。魔力”人の体の中を流れるエネルギー”の量もさることながら、その制御が完璧だ。美しい、そう思わざるおえない。やがて、光は収まりそこには見た目は普通と変わらない体があった。完璧でつい見入ってしまう。
「ふぅ、うまくできたな。あとは見た目だが、おい聞いとるのか。」
「はっ!聞いてます。見た目はこのままで大丈夫です。」
何せこの体、全てが完璧にできている。それでいて、作り物感は一切出ていない。さすが、神の本気といったところか。
「そうか、では魂をこちらに移すぞ。」
「お願いします。」
一瞬の視界の暗転。目を開けると先ほどまでのオレの体が目の前にあった。二度目なので少し慣れてきている。
「よし、成功だ。」
「ありがとうございます。」
この体、素材のせいか慣れていないオレでも魔力を制御しやすい。これならば、いろんなことができそうだ。これで、オレの体が戻ってきた。