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異世界転生して魔王狩り  作者: 犬好きの高校生
第2章 大国バルディア
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第6話 魔王

一歩も動けない状況で、目の前には振りかぶられた血塗れの剣。絶体絶命な状況にオレは目をつぶった。だが、一向に剣は降りてこない。不思議に思い、目を開ける。


「ルナ…」

「…コースケは、殺させない。」


そこには魔道具を起動し、オレを守るルナの姿があった。


「ふむ、これは厄介だな。儂の剣で貫けんとは。」


どうやら、この魔力障壁を破る事は出来ないようだ。だが、こちらもここから動けない。それに、オレは左手を落とされてしまっている。どうするか悩んでいると、ルナがオレだけに聞こえる大きさで話しかけてきた。


「…今から転移魔法を使う。」

「そんな魔法使えたのか?」

「…知識だけ。使った事はない。」


この状況で、確実性がないのは痛い。だけれど、オレはルナをしんじる。


「ルナならできるさ。頼むぞ。」

「…分かった。合図したら私の手を握って。」

「了解。」


ルナが魔法の構築に入る。魔法が完成するまでの間、注意をオレに向けるために神様に話しかける。


「なあ、神様。」

「なんだ?」

「あんたって、もしかして魔王?」

「いかにも、儂は魔王だ。最強の魔王、それが儂の正体だ。」


それならば、さっきオレがやられた時も、魔眼の力を使った可能性が高い。


「だからルナを狙うのか。」

「なに?」

「最強の座を奪われるかもしれないから。それを恐れて、ルナを狙うんだろ。」


神様改め、魔王は黙り込む。


「図星か。なんて情けない理由だ。」

「その口を閉じろ、実験台。」

「その実験とやらも、自分の地位を守るためだったりして。」

「どうやら死にたいらしいな。」


魔王が剣に魔力を流し始める。魔王が使っているのは魔剣だったようだ。魔王が全力で障壁を切りつけ、障壁にヒビが入る。魔王がニヤリと笑い、更に障壁を切りつける。更にヒビは広がり、次で割れそうだ。


「…コースケ、準備できた。」

「分かった。」


ルナの準備が出来たと同時に、障壁が破られた。


「実験台ごときが調子にのるからこうなるのだ。」


魔剣が目の前に迫る。だが、青白い障壁が魔剣を弾いた。


「なに、まさか⁉︎」

「誰が一つだけしかないって言った?」


ルナの魔法が発動する。魔王は魔剣を弾かれていて、ルナの魔法を止められない。


「またな、魔王さん。左手の礼はしにくるよ。」


空間が歪み、ルナとオレはそこに吸い込まれる。眩しくて目を閉じ、目を開くと森の中だった。ルナも隣にいる。


「…成功して良かった。」

「そう、だな…」

「…コースケ?」


ルナがオレの顔を覗き込んでくるが、オレは限界に達していた。体がふらつき、意識が朦朧とする。


「…コースケ!」


オレは意識を手放した。

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