第5話 再開
ルナと一緒に外に出る。だが、出てきたところはまるで城の中だった。
「何故、お主がここにいる?」
そして、いるはずのない人物もいた。
「何故、神様が、ここに。」
雰囲気や髪色などは違うが、そこには本物の彼がいた。
「はぁ、あやつらが破れたのはお主だったのか。」
「どういうことですか?説明してください!」
神様は死んだはずで、ここにいる訳がない。一つ、可能性があるとすればそれは、
「もしかして、オレを騙したんですか?」
「物分りが良くなったようで良かったよ。」
「全部嘘だったんですか?」
「全部ではない。お主を助けたのは本当にのことだ。」
(オレを助けることになんの意味があったんだ?)
「実験だ、魂の定着のな。」
また、思考を読んで話しかけてくる。
「実験だと…じゃあ、オレに記憶を流したのは?」
「ああそれはな、この世界のことを理解していないと拒絶反応が起こるからだ。」
「でも、あなたの技術だって…」
「あんなもの、ただの基礎知識にすぎん。あれだけであそこまでできるお主がおかしいのだ。」
神様はオレで実験をしたことは理解した。何故、そんな実験をしたかはわからない。だが、利用されていい気分になる訳がない。それに、ルナも狙っているとなると許せない。
「とにかく、その女をこちらに渡せ。そうすれば、お主に干渉はせん。」
「それは一番無理な話しですね。」
「女に誑かされたな。仕方ない。お前たち、やれ。」
命令と共に、隠れていた魔族たちが襲いかかってくる。魔力を全力で循環させ、向かってくる魔族を拳一発で沈めていく。
「やはり、こいつらでは役不足か。儂が直々にやる。どいていろ。」
何を言っているのか、魔族の迎撃に集中していて聞こえなかった。そして、9人目の魔族を倒した時、それは起こった。オレの左の手が飛ぶ。一瞬何が起こったか分からなかったが、激痛が襲うと同時に理解する。
「所詮はこの程度。型も何もない、力任せな戦い方では儂は倒せんよ。」
オレの手は神様に切り飛ばされた。だが、オレは強がる。
「こんな痛み、記憶を流された時に比べたらどおってことない。」
「そうか、ならこれはどうだ?」
「コースケ!」
ルナが何かに気づいて叫ぶが、遅い。オレの体が10メートルほど飛び、壁に激突する。全身の骨が軋む。
「今、何を、したん、だ。」
「知らなくていいことだ。実験は役に立ったぞ。感謝するぞ、実験体」
何か言い返したいが、もう意識も飛びそうで、何もできない。
(ルナ、せめてお前だけでも逃げてくれ…)
神様が近づいてくる。手にはオレの血がついた剣がある。オレの前まで来ると、気負いなく、剣を構える。
「さらばだ。」
剣が振られる。そして、オレは目を閉じた。




