第4話 魔眼
「オレは異世界の人間なんだ。」
オレは、ルナに自分のことを話し始めた。ルナも真剣に聞いてくれている。
「死にそうなところを神様に助けてもらって、この世界に来たんだ。」
「…それじゃあ、コースケは神の使徒?」
「神の使徒?いや、オレはそんなんじゃないけど。」
(オレの他にも同じように、こっちに来てるやつがいるのか?)
「…それから?」
「ああ、それから…」
「…?」
よく考えてみると、神様に助けてもらってから1日も経っていない。
「さっき神様と別れたんだ。だから、今日が異世界1日目かな。」
「…そう。」
ルナはあまり長く喋らない性格のようだ。
「じゃあ、次はルナの話を聞かせてくれ。」
「…私の?」
「そう、ルナの。なんで魔族に狙われているのか。」
ルナは、可愛い。だが、狙われるのがそれだけの理由とは思えない。
「もしかして、その目と関係してるのか?」
「っ!」
「そんなに驚かなくてもいいだろ。さっきからルナの目に魔力が集まってるのはわかってるんだから。」
ルナの目に膨大な魔力が集まっているのは、会った時から気になっていた。
「…そうだったんだ。」
「すまない、不快だったか?」
少し声が落ち込んで見えたため、慌てて聞く。
「…コースケこそこんな眼、嫌でしょ。」
「何を言ってるかよくわからないんだが。」
「…だって、私の眼、普通じゃない。」
「確かに普通じゃないな。」
「…やっぱり。」
オレの答えを聞いて俯いてしまうルナ。そんなルナに、オレは続ける。
「ルナの眼は、最高に綺麗だ。普通なわけないだろ。」
オレの言葉を聞いて、ルナは固まってしまった。
「おーい、大丈夫か?」
声を掛けても返事はない。
(これはまた、オレはやらかしたのか?いや、正直にオレの気持ちを言っただけだ。なんの問題もない、はず。)
もう一度ルナの顔を見る。ルナは、泣いていた。
「ど、どうした?ごめん、何か嫌なこと言ってしまったか?」
ルナの涙に動揺していると、ルナが首を横に振りながら口を開いた。
「…違う。」
「じゃあなんで、」
「…嬉しかった。眼、綺麗って言ってくれて。」
オレとしては正直に言っただけだが、ルナにとっては嬉しいことだったようだ。
「…コースケ、私の事本当に守ってくれる?」
「そのつもりだが。」
ルナは考えるような仕草をしたあと、オレに向き直る。
「…私の眼は、魔眼なの。」
「魔眼…」
「…魔王が持つ、力の源。」
(やっぱり魔眼だったか。て事はルナは…)
「ルナは魔王なのか?」
「…魔王になる予定だった。」
「予定だった、てどう言うことだ?」
「…魔王たちは欲が深い。私の眼は特別。」
「まさか…」
「…私が魔王になれば最強。だから狙われる。」
(そう言うことだったか。魔王たちがどれほどの強さかわからないが、ルナにとっては危険だな。)
「ルナの魔眼は他と何が違うんだ?」
「…私の魔眼は魔力を無限に生み出す。」
それを聞いて驚く。魔力は体の中で生み出されるが限界がある。だが、ルナの魔眼は無限だ。つまり、魔法が打ち放題と言うわけだ。
「そっか。確かに特別だな。」
「…うん。」
「そうだ!それならいいものがある。」
ルナは首を傾げているが、気にせずに材料を取り出し、ある物を作り上げる。1分程で出来上がった物、指輪をルナに渡す。
「…?」
「これは魔力を流すと魔力障壁が展開されるんだ。」
オレが作ったもの、それは魔力障壁を展開する魔道具だ。
「危なくなったら、これを使え。」
「…わかった。」
「安全確保もできたし、そろそろ外に出よっか。」
ルナもコクンと頷いた。二人で外に出る。
「なぜお主がここにいる?」
そこには、オレを助けてくれた神様がいた。




