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異世界転生して魔王狩り  作者: 犬好きの高校生
第2章 大国バルディア
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第3話 ルナ

魔族たちが持っていた袋の部屋にいた女の子。その子を見たとき、オレのからだにカミナリが落ちた。


「か、可愛い…」


端正な作りの顔、艶やかな長く青い髪。つい見とれてしまう。すると、女の子の閉じられていた瞼が動き、ゆっくりと目を開けた。


「っ…」


女の子の瞳を見た瞬間、オレの体に二度目のカミナリが落ちた。女の子の瞳は透き通るような青で、オレは吸い込まれるようにただ見入ってしまう。だが、女の子がオレを警戒しているように感じたため、話しかけてみることにした。


「君はどうしてここにいるんだ?」

「…」


女の子は返事をしてくれない。そこで、オレからいろいろ質問をしてみる。


「魔族の仲間なのか?」

「…」

「それとも捕まっているのか?」

「…」


その他にも色々と聞いてみたが何も話してくれない。


「んー、どうしたもんか。」


いろいろの考えていると、「くぅぅ」とお腹の音が部屋に響いた。音の主は女の子のお腹だ。


「お腹が空いてるのか?なら、これやるよ。」


そう言いながら、オレはブレスレットを操作し、食べ物を出す。


「…っ!」


オレがブレスレットから食べ物を出したことに、女の子は驚いたようだ。


「ちょうどオレもお腹が空いてきたところだ。遠慮せずに食べてくれ。」

「…」


やはり返事はないが、食べ物をじっと見つめ次にオレを見てくる。目があうとドキッとしてしまう。


「…本当に、食べていいの?」

「ああ、遠慮せずいっぱい食べてくれ。」


オレが促すと、いそいそと食べ物に手を伸ばし、パクパクと食べだした。ちなみに、食べ物はパンのようなもので、不味くはないが上手くもない。


(やっと喋ってくれたな。この調子で色々と話してくれるといいが。)


オレも女の子の横でパンを食べ始める。よほどお腹が空いていたのか、女の子はパンをすぐ食べ終わり、残念そうな顔をしている。その顔も可愛く思えてきてしまう。


「…ありがとう。」

「どういたしまして。」


初めて女の子から話しかけてくれた。


「そういえば名前聞いてなかった。」

「…」

「オレから名乗ろうか?」


女の子はこくんと頷く。


「オレは…」


(そういえば、この世界って苗字とかあるのか?)


迷った末に普通に名乗ることにする。


「オレは井上康介だ。」

「…コースケ。」

「君は?」

「…私はルナ。」

「よろしく、ルナ。」


女の子改め、ルナと話を続ける。


「それで、ルナはどうしてここにいるんだ?」

「…魔族にとらわれてた。」


(やっぱりか。あいつらめ、こんな可愛い子を攫うなんて。)


今の話を聞いて、決めたことがある。それは、


「よし、これからオレは君を守る。」


ルナを魔族や他の奴から守ること。


「…なんで?」

「なんでって、魔族に狙われてるんだろ?」

「…そうじゃなくて。」

「じゃあなんだ?」

「…なんであったばかりの私を助けてくれるの?」


そんなこと決まっている。


「君に、ルナに惚れたからだ。」


理由なんて単純。男とはこういう生き物だとオレは思っている。だから、オレはルナを魔族や他の奴から守る。


「…ありがとう。」

「何が?」

「…惚れたって。」

「ああ、ルナに惚れた。」


言っていてだんだん恥ずかしくなってきた。それによく見ると、ルナの顔も赤い。


「…ねえ、コースケのこと聞かせて。私のことも話すから。」

「いいぞ。といっても、オレのこと聞いたって楽しくないと思うけど。」

「…コースケのこと知りたい。」

「分かった。まずオレは異世界から来たんだ。」


それからオレは、自分のことを話し始めた。

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