第1話 第一異世界人
オレの異世界旅がスタートした。始めの場所は、試し切りしに行った森へと続くところだ。
「えーと、ここに出たは良いけどこれからどうしよう。」
神様に頼まれた事は必ずやるつもりだが、それ以外の事は考えてなかった。とりあえずこれからどこへ向かうか考えていると、ふとある事を思い出した。
「そういえば、ブレスレットの中に神様製のガイドブックがあったな。ちょと見てみるか。」
ガイドブックを取り出し、内容を確認する。そこには、この世界の地図が載っていて、それぞれの場所の詳しい説明が書いてあった。
「なになに?この世界は4つの大国があるのか。で、ここはその中でも最大の国バルディアなのか。」
どうやら、ここは既にバルディアらしい。
「ん、なんだこれ?」
オレが見つけたのは、ガイドブックの国の説明が書かれているところの終わりにあった。それは神様の、この国のオススメが書かれている。ただ、
「この国のオススメは王都一の鍛治師ガルディンと、これまた王都一の錬金術師ウリム?」
このオススメは、観光ではなく技術磨きのためのオススメらしい。
「うぁ、参考になんないなこれ。けど行くところもないし、とりあえず王都を目指すか。」
行き先が決まり、コンパスで〜ブレスレットの中にあって、方角の文字が書いてあり、針が動いていたからおそらくコンパス〜進むべき方向も分かった。準備も万全。
「それじゃ、出発!」
意気揚々と出発しようとした時、手に持っていたコンパスの蓋のガラス部分に赤い点が2つ現れた。
「なんだこれ?」
2つの赤い点はコンパスの真ん中へ近づいている。
「こっちに近づいてるのか?」
そう思いながら顔を上げると、そこには浅黒い肌をした男が2人いた。
「このコンパスの点は人だったのか。」
オレが1人で考察していると、男の1人が近づいてきた。
「貴様、こんなところで何をしている?」
「貴様って、」
「良いから答えろ。」
(なんでこんなに偉そうなんだ?それにこの世界の人の肌は白いはず。もしかして…)
「あのー、」
「なんだ?」
「もしかして、魔族の方ですか?」
この世界には人族、魔族、獣人がいる。獣人は見た目から人族や魔族と見分けがつきやすいが、人族と魔族は似ていて見分けが付きづらい。だからオレは質問したのだが、男は気に入らなかったらしい。いきなり腰の剣を抜いて遅いかかってきた。
「あぶね!何すんだよ。」
「貴様、人族だな。」
(んー、俺ってどれなんだろ。)
「沈黙は肯定とみなす。」
「はっ?なんでそうなんの?」
「黙って沈め!」
オレの二度目の人生、最初の出会いで殺し合いが始まるようだ。




