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 最初俺は、頭に来たが彼の話しを聞いている内に帝国海軍の変革が、こんなにも進んでいるのかと驚き感心していた。


「長谷川大尉、その話しは本当ですか?我が海軍の教育機関が、先日起きたばかりの戦訓を採り入れ論じているなんて信じられんのですが…。」


「あぁ!事実だとも。やっと帝国海軍のお偉方も近代戦の本質が解ってきたのだろうと思ったさ。その証拠に俺達の教官は、盛んに英語を使って講義しておってな、今後はストラテジー(戦略)においてはインテリジェンス(情報)を征した者、タクティクス(戦術)ではアーリーウォーニング(早期警戒)を征した者が、闘いを征すと言っておったよ!」


 なんて事だろう!


 俺は、この時確信したのである。


 大艦巨砲主義から脱却し、今ようやく権威の呪縛から我が海軍は解き放たれたのだと!


「長谷川大尉、もしそれが本当であれば、私の失敗が今後の帝国軍に活かされ、二度と同じ過ちを繰り返させない事に繋がって行くのですよねぇ!」


「もちろんだとも、香月大尉!君の体験が俺達に対空戦闘の危うさを教えてくれたんだからな!」


 なのであれば、我々現場の者達は、その汗と血を流す価値があるのだ!


「長谷川大尉、それでその結論は、どうなったのですか?」


「とどのつまり、敵機を我に近づけさせないって事だよ。正にアーリーウォーニング、早期警戒に徹するのが勝利の近道なんだとな。」


 その為には、我が帝国軍は航空優勢は絶対に確保しなければ成らない事を、意味していた。


 その後、戦術に関する講義を受け解散となり、我々はそれぞれの艦へと帰艦した。


 舷門に着くと戸高艦長が当直士官に


「戦闘指揮所に、士官集合をかけてくれ。」


 と言って我々を引き連れ艦橋後部の戦闘指揮所へ向かった。


 駆逐艦松に配属されている全士官が指揮所に集まって来たのを確認した艦長が口を開いた。


「本日付けで本艦に戦術長が配属となった。ここに居る長谷川政敏大尉である。戦術長とは…。」


 その時、藤通信員が入って来て俺に紙片を渡してきたのでそれを見ると、至急電と書かれているではないか!


「失礼します。艦長、旗艦より至急電が入りました。」


「うむ、読め。」


「発 第五十一護衛艦隊司令長官、宛 隷下全艦艦長。本文、大島沖南五十km敵潜水艦発見ノ報有リ、

 艦隊ハ速ヤカニ現場海域ニ進出シ敵潜水艦ヲ捜索コレヲ撃破ス。

 艦隊ハ準備出来次第出航ス。

 時間、一六四五。

 以上ッ!」


「諸君!聞いての通りだ。直ちに出航準備にかかれ!」


 さぁ、大変だ!


 我々は、別れの敬礼もそこそこに出航準備の為、それぞれの持ち場へと走り出した。


「準備出来次第出航する、航海当番配置に付けッ!」


 の艦内号令がかかると今まで静かだった艦は、蜂の巣をつついた様な騒ぎになったのである。

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