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 それにしても今日の横須賀基地は、今までに無く我が帝国海軍の艦艇でごった返しているのには、少々驚かされた。


「内火艇の用意よろし!」


 信号長から報告があり、俺は艦長室へ行きその旨を告げると


「うむ、それでは参るとするか。」


 と戸高艦長は軍帽をしっかりと被り鞄を小脇に抱え、舷門へと向かった。


 舷門では当直士官達が整列して待っており、舷梯には内火艇が発動機を駆けて待機していた。


「艦長、内火艇用意よろし!」


 と副当直士官が報告し、俺が先に乗艇すると七月一日付けで本艦を離任する兵達が数名乗り込んでおり、すかさず敬礼して来た。


「行って来るから後は頼むよ。」


 と艦長は、当直士官に声を掛けてから最後に内火艇に乗り込んで来て艇は発進したのだった。


 間もなくして横須賀基地の岸壁に接岸すると、そこには他の艦からの内火艇が数隻先着しており、見知った顔ぶれが次々と司令部差し廻しの車に乗り込んで行った。


 我々も迎えの車に乗り、海上護衛総隊司令部へと向かったのである。



 帝国海軍海上護衛総隊司令部庁舎―


 地下三階、地上五階建ての巨大な庁舎に最初俺は、「なんだこりゃ!こんなどでかい庁舎なんか用意して海軍は、何考えてんだ?」と大いに疑問に思ったものだった。


 だが、そんな疑問も二ヶ月を経ずして納得したのである。


 俺が駆逐艦松に配属されたばかりの頃、海上護衛総隊に配置されていた艦艇は、おんぼろ駆潜艇八隻と水上機母艦が一隻という名ばかりの艦隊であった。


 が四月の末に我が第五十一護衛艦隊が配備され、その後も続々と新造艦艇や他の艦隊から艦艇が編入されて今や百隻を超え、あの世界に冠たる連合艦隊に次ぐ、帝国海軍第二の艦隊に成っていたのだ!



「よぉ香月!元気だったか。」


 大講堂に入るなり、そう声をかけてきたのは、俺の同期で第五十二護衛艦隊の駆逐艦樅もみの水雷長をしている、川島晃海軍大尉であった。


「おう!川島か!こっちはいたって元気でやっとるわい。で、そっちはどうなんだ?」


「こっちの事より、貴様んとこは凄いじゃあないか!同期の間でも有名だぞ。開戦以来この方、帝国海軍で敵艦を数多く撃沈しているのは航空部隊であり、その航空隊が空軍に横取りされた今、敵艦を撃破し続けているのは、残された機動部隊と我が海上護衛総隊の第五十一護衛艦隊だけだってな。」


「おいおい、貴様んとこの艦隊もかれこれ六杯も食っとるそうじゃないか!」


「貴様んとこに比べたら、すっかり影に隠れてしまっとるわ!それより、この召集の訳を聞いとるか?」


 と川島に聞かれた時、


「司令長官入室!総員、気を付けッ!」


 との号令がかかった。

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