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第2章 ―南方へ―

「総員、戦闘配置に付けッ!」


「砲術長!敵潜水艦、潜航しました!」


「敵潜の方位、左三十度、的速フタマル、距離、ヒトハチ!」


「第一砲塔、配置良し!」


「第一、第ニ投射基、配置良し!」


「第一、第ニ銃座、配置良し!」


「全艦、戦闘配置完了しました!」


「合戦準備夜戦に備え、砲雷撃戦用意!」


「左雷撃戦、左三十度、潜水艦!」


「水測長、音波探信儀用意!」


「的針的速、ヒトゴウマル、ヒトマル!」


「探信儀、準備良し!」


「打てッ!」


「敵潜、更に潜航中、深度ハチマル、距離ヒトマル。」


「第一投射基、発砲用意!」


「距離五!四、三!」


「撃ち方、はじめ!」


「てェ−ッ!」


 ドドド−ッ!


 パパパシャーン!



 ズズ−ン!


 ゴゴゴォーン!



「命中!」


「旗艦に報告!我、敵潜を撃沈す、とな!」




 昭和十七年六月ニ十五日―


 ミッドウェー島、西方沖五百km洋上―


 旗艦摩周以下の我々第五十一護衛艦隊は、高速輸送船四隻を護りつつ、ミッドウェー諸島へ大量のベトンと食料・飲料水を輸送し、帰りには何故か大勢の陸軍将兵らを載せ、一路横須賀基地への帰港の途中であった。


 その途上、先の対潜戦闘となったが見事敵潜を撃破し、我が駆逐艦松の就役後における敵潜水艦累計撃沈数は三隻となり 、第五十一護衛艦隊としての総撃沈数は、十一隻を数えたのだ。


 これは、帝国海軍の当初の予想を上回ったらしく帰港後、我が艦隊に海上護衛総隊司令長官伊藤整一中将から、部隊感状が付与されるという噂が聞こえて来ていたくらいであったからだ。



「どうだ、電探の具合は?」


 と俺は、電測長の大倉上曹に温かいお茶を差し出し、戦闘直後から調子の悪かった捜索電探の案配を聞いた。


「ありがとうございます、香月大尉。先程、予備の真空管に取り替えましたのでかなり良くなりました。」


「しかし、戦闘中に起こらんくて良かったよなぁ。こんな不安定な兵器を装備させた帝国海軍は、一体何を考えているんだ!」


 と俺は、帝国の生産事情も知らずに最新鋭電波兵器と喧伝され装備された、ニニ号電探におおいに憤慨していた。

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