ぶつかってくる女
聡とまな美は日曜の夕方、ドライブがてらショッピングに出かけ、帰りに、いつものスーパーでまとめ買いすることにした。
二十八歳の聡は、日常では大手旅行企画会社でツアープランナーの主任として抜擢され、ノリにノっていた。
業務内容は、個人の旅行コースの具体的なプランニングなどを行うのを主としていた。顧客の希望する日程や条件、予算などから、目的地、日程、交通手段、費用、宿泊先、レストランなど、条件にあった旅行プランを割り出し、すばやく提案したりする。
聡は実家の財力を駆使し、学生時代から海外旅行の経験が豊富だったので、知識・企画力においても一目を置かれていた。
国内・総合旅行業務取扱管理者の資格をそろえていたため、業務の幅が広がったせいで勤務時間は長かったが、資格手当で二万を給料に上乗せしてもらっていた。そういうわけで、収入面についてはまんざら悪くなかった。
くわえて、まな美との大恋愛のすえ結婚。小樽へ仕事の下見に行ったとき、某ガラス工房の受付を口説き落とし、遠距離恋愛を一年続けて実らせたのだ。新婚三ヶ月目だった。焼いたパンの上で、バターがとろけるようなラブラブぶりだった。
まな美は二十五になったばかりで、美形でスタイルもいいうえに、頭の回転がはやく、ユーモアを解し、おまけにテニスと登山が得意なせいもあって健康的だった。子供はあと二年くらい先でもよかろうと思い、いまはいっしょの時間を大切にしていた。順風満帆を絵に描いたようなひとときだった。
地元スーパーは地産地消をうたい、野菜や魚介類はまばゆいほどピカピカで、値段も良心的だった。まな美は家を出るまえに書いたメモを片手に店内をねり歩く。そのあとを、聡がカートを押してついてまわる。
まな美はふだん、テキパキと行動するタイプだが、やはり主婦となった証なのだろう、野菜の価格の比較をしたり、品質を吟味をしたりして、買い物には慎重だ。おかげで端から端までスムーズに進まず、店内を右往左往するはめになり、あとを追う聡はたらいまわしにされたような気分にさせられた。
が、それも新婚三ヶ月目を思えばこそ、ほほえましく、うれしい疲労感だった。なにより、まな美のようないい女をつれて歩くこと――この場合、聡は金魚のフンも同じだったが――は誇らしげに思えた。
独身らしき男たちとすれちがいざま、ふり返えられるほどだった。聡にはやっかみの視線が矢じりとなって背中に刺さるのを感じたが、それはなにもスーパー以外でも射られるのだ。なれっこになっていた。
愛らしいパステルカラーのカーディガン姿を追って、スパイス類のコーナーに入ったときだった。
思えば、あの女との出会いが悲劇のはじまりだった。まさかスーパーの片隅に、奈落の底へ続く落とし穴があいていようとは夢にも思わなかった。
通路の向こうに、眼帯をつけた中年女性が買い物かごを肘にさげて仁王立ちしていた。まさしく弁慶さながら立ち尽くしていた。
アイパッチの部分は黒い革製で、現代によみがえった女海賊といったところ。もしくは丹下段平もかくやと思わせるほどの威圧感だった。
肌は病的なほど青白く、アトピーなのか、そこらじゅう掻きむしって荒れ放題で、やけに体毛の濃い女だった。両方の手首には包帯が巻かれ、血がにじんでいた。それも黒く変色し、不吉なブレスレットと化していた。
白地に青いアサガオの花模様が入ったワンピースを着ているのだが、やたらと黄ばみ、足もとには泥がはね、ひどく見苦しい姿だった。
四メートルは離れていたにもかかわらず、一ダースもの防虫剤のにおいが鼻をついた。腰に不自然なほどごついポシェットをつけていた。眼帯をつけていない方の眼は、カマキリを思わせるような冷淡な三白眼で、情け容赦なくオスをムシャムシャ食べてしまうような酷薄さをたたえていた。どの部位をとっても、全力で敬遠したい相手であるように思えた。
まな美も中年女に気づいている様子だった。カルダモンの小瓶を取り、聡のカートに入れると、よせばいいのに前進した。それがそもそもの誤りだった。通路は狭い。向こうから来る客とすれ違いができないわけではないが、意識しないと――
やはり、ぶつかってしまった。
まな美の片腕と女のかごが接触し、女は朱鷺の求愛みたいな声をはりあげ、おおげさによろめいた。その拍子に、棚の商品が派手な音をたてて床に散らばった。店内には清涼感あふれる『おさかな天国』のサビの部分が流れていた。騒音は最寄りの店員の耳に届かなかったのか、誰も飛んでこなかった。
まな美は渋い顔をして腕をおさえた。女がヤニのついた乱杭歯をむき出しにし、唾を飛ばしながら噛みついてきた。「やってくれるじゃないのよ。なにさ、あんた。満足にまっすぐ道も歩けないの。ヒョットコ踊りみたいにフラフラしてんじゃないわよ。それともヤク中かい?」
聡はすぐさま仲裁に入った。「すみません。妻がもう少し端を歩いてればよかったんです。お怪我はないですか」と、言った。あきらかにまな美は悪くなかった。聡はしっかり見ていたのだ。だが、こう取り繕うしかないように思えた。逆らえば事態がよけい悪化する気がした。
「わたしは避けようとしたつもりです」まな美は頬をふくらませ、女をにらみつけたまま言った。「ぶつかってきたのは、あなたの方じゃないですか。そっちこそわざとでしょ」
「言うわね」と、眼帯の女は言った。いい方の眼は貞子みたいに見開かれ、濁った白目の部分に、稲光のような毛細血管の枝分かれが走っていた。「因縁つけてるつもりなら、いくらでも相手になるわよ。いっそのこと裁判沙汰にしましょうか。そのかわり、時間もお金もうんとかかるわよ」と、まな美を見おろして言い、唇を弦月よろしく吊りあげた。口臭がひどいのか、まな美はいやそうに顔をそむけた。身体の内側から腐敗がはじまっているのかもしれない。
「カンベンしてください。裁判だなんて。ここは穏便に済ませましょう」聡は追従笑いであいだに入り、まな美を引き離し、「まな美も大丈夫か。怪我ないか?」と、気遣った。とはいえ、烈しくぶつかっていないはずだ。当のまな美自身、痛そうに腕をかばっていないのだから。
女は粘着気質らしかった。手をふりかざし、「あんたが旦那? 監督不行き届きなのよ。しっかり嫁を教育なさい。こんな夫婦からロクでもない子供が生まれ、ロクでもないキラキラネームをつけて社会に放ち、ロクでもない大人をムダに増やすだけなのよ。日本は終わってる! 終わってるわ!」と、唾を飛ばしながら言った。口の端についたカニみたいな泡といい、たしかに口臭はドブ川のヘドロと五十歩百歩だった。唇は真っ赤な口紅が塗りたくられ、よく見れば鼻の下にはヒゲと見まがう産毛がびっしりと生えていた。
終わってる!と白目をむきながら叫ぶたびに、人差し指を天井に突きつけた。手首の包帯は、やはりリストカットの痕なのだろうか、と聡はぼんやり思いながら、やはりこの世には、関わってはいけない人種がいることを身に染みて感じた。
「裁判なんか起こしません。やるだけ神経のムダ」まな美はAカップの胸をはって腕組みし、きっぱりと言った。「とにかくわたしは悪くありませんから、謝るつもりもありません。もっとも、この通路を避けていれば、こんなことにならなかったかもしれませんけど。つまり、おたがいさまってわけですね」うまいまとめ方だと思ったが、それもつかの間、
「あたしを病原菌呼ばわり」と、眼帯の女は恨めし気に言い、右手を突き出した。「ほら、見なさい。あんたに当たったとき、腕の傷口が開いちゃったわ。血が出てる。あたしは血友病B型なのよ。ほんのちょっとのことで血が流れ、とまらなくなる。どうしてくれるの。せっかくおさまってたのに。あんたのせいでカスッカスのミイラになっちゃうかも」
たしかに女の右手首の包帯は、じんわりと鮮血がしみ出し、見る見るうちにその面積を広げていた。というより、女はいい方の手で手首をつかみ、わざと牛の搾乳みたいにしぼり出していた。もはや自虐の域だった。
これは困ったことになったと聡は内心、天を仰いだ。女は典型的な当たり屋だ。それもこなれている。
車の当たり屋と異なるのは、場所が屋外か店内というだけで、言いがかりをつけ、相手が弱いと見抜いたら、法外な損害賠償や示談金などを要求してくるやり口は同じだ。まさか、反社会的勢力の資金源のひとつとして待ち伏せしていたのではないか。それとも女は囮にすぎず、被害者とごねたら、陰にかくれ見張っている暴力団がすかさず介入してくることもあり得るかもしれない。
それならまだ話せばわかる。もしかしたら、この女は会話が成立しないほど心を病んだタイプかもしれないのだ。言動から察するに、その線が強い。
いずれにせよ、スーパーの店内で獲物を狙っているとは人としていかがなものか。
「落ちついてください。とにかく病院に行って手当しましょう。ここでとやかく言っても解決しませんから。店にも迷惑がかかる」と、聡。なぜ、スーパーの店員は助け舟を出してくれないのか、筋ちがいの苛立ちを憶えた。
「病院」と、むっつりと女は言った。「それは内科? それとも心療内科の方?」
そらきた、と聡は思った。どんぴしゃ、ビンゴだ。さっきまで幸せを謳歌していたと思ったら、調味料のコーナーでドボン。こんなふざけた罠ってあるか?
やはり精神がおかしいのだ。となると、暴力団とは無関係だろう。こうして誰彼かまわず突っかかっていく相手を、それこそアリジゴクのように待ち伏せしていたのだ。そして、カスッカスになるまで体液をしぼり取られるわけだ。現状に不満をもち、幸福そうにしている人の喉もとに噛みつこうと、ゲリラ戦の自爆兵のようにスタンバイしてる人は、多かれ少なかれいるものだ。ただふつうは、一線を超えないだけで。
まな美が強気に出た。「結局、どうしてほしいんですか。治療費を払えと。それとも、精神的苦痛をこうむった分の慰謝料も追加しろとおっしゃるんですか」なかなかどうして、聡の妻はしっかりしているんじゃないかとも思えてきた。これほどはっきり言う人だったのかと、内心感嘆した。「なんだったら、いっしょに病院へ行って、診断書、書いてもらいましょ。いますぐ行ってもいいですよ。のし、つけて支払いますよ」
「血も出てることだし、そんなに痛ければ」と、聡は言った。こうなったら、毒を食らわば皿まで。相手がひるんだことだし、押せば形勢逆転も可能かもしれない。「ぼくの車で近くの総合病院まで運びますよ。もちろん代金は負担します。その後、よろしければ家まで送りますが」
眼帯の女は全身をわなわなと震わせ、自分で頬をひっかいた。皮膚に五本分の赤い縦線が入り、血が流れた。爪は黒く塗られ、すべてに大腿骨をバッテンに組み、その上に頭蓋骨のネイルアートが施されていた。つまり劇薬・毒物をあらわすシンボル。まさに女そのものではないか。
「イヤ……あんな監獄に戻るなんてイヤ。うんざりなのよ、あそこはどこまでも水平に続く灰色の海!」と、女は言った。支離滅裂だった。「毒を盛られて、電極を埋めこまれ、怪電波を送られるのよ。怪電波はあたしの全身をめぐり、緑色に染めあげ、あたしは紫でありたいの。パープルの宇宙!」
聡は、ポエムの神さまが降臨したのかと思った。
「なに言ってるの、この人」まな美は聡にささやいた。側頭部で人差し指をクルクルまわした。
「おいおい……そんな表現、やめなよ。失礼だろ」
眼帯の女はガニ股をひらき、見えざる巨岩でも抱えるようなポーズをとり、大口をあけて奇声を発した。「あんなとこへ連れ戻されるぐらいなら、人質をとって抵抗してやる。そうよ、ぜったい拒否」と、言うと、二人をにらみつけた。
買い物かごを放り捨てると、うなりながらカジキマグロさながら突進してきた。肩口からぶつかってきて、聡とまな美のあいだを引き裂いた。まな美はもろに食らって、後方へ飛ばされ、醤油の瓶がならんだ棚に倒された。聡はカートごと通路に投げ出され、尻もちをついた。瓶が割れる破砕音が音楽的に鳴りひびいた。芳醇な大豆の発酵臭が広がった。
「痛ッ……」後頭部を打ちつけたまな美が身体をくの字に曲げてうめいていた。聡は割れるような臀部の痛みに苦しみつつ、新妻をかばおうと身を投げ出そうとした。
が、それよりも早く、眼帯の女がまな美の襟もとをつかみ、通路の奥へ引きずっていく。片手だけでなんという力か。
いったい、この女はなにを考えてるんだ? 聡は慄然とし、一瞬身体が硬直したままだったが、気力を奮い起こして女を追った。
「待て、どういうつもりだ。まな美をどこへ連れていく。放しやがれ」
女は地引網でも引くかのように、まな美のカーディガンをつかんで、ぐいぐい引きずる。まな美は半分意識を失っており、声も出ない。女の馬力は人間離れしていた。さっきとは打って変わってにんまり笑い、網を回収すればどんな獲物がかかっているか、期待するかのような表情だ。
見る見るうちに拉致されたまな美との距離が開いた。そのうち、聡は転がったサラダオイルのボトルにつまずき、ぶざまに転んだ。
まな美が遠のく。青いパステルカラーのカーディガンが伸びきり、スカートから覗いた両脚は力がない。いつの間にか、片方のサンダルが脱げていた。眼帯の女はこれ幸いと通路を進んだ。
聡は立ちあがった。本気でまずい状況かもしれない。これを阻止しないと、聡は一生悔恨の念に炙られると思った。
「やらせるか、この女!」と、叫び、聡もダッシュした。相手との距離は五メートル。おれはなんで地元スーパーの片隅で、死ぬ気でタックルをしかけているんだろう、と思った。
もしこのタックルが避けられたら、妻を失うかもしれない。そして、なぜこれほど大騒ぎしているのに、店員が様子を見にやってこないんだろうか……。
追撃を予測していたかのように、女は逃げるのをやめると、やおら腰のポシェットからなにかを取り出した。
やけに膨らんだ靴下の片方だった。履き口を持つと、なにかゴツゴツしたものがつめこまれているらしく、出っ張りを浮き彫りにし、だらりと垂れさがった。ナットがぎっしりとつまっているんだと、ぼんやり思った。
女は靴下をふりかぶり、聡を迎え討った。渾身のタックルよりもまえに、女のブラックジャックが聡のこめかみに炸裂した。ガツンと脳内が爆発し、視界いっぱいにに無数の星が乱舞した。聡は勢いよく棚になぎ倒された。
意識がブラックアウトした。部屋の灯りのスイッチが切られたかのように、一瞬にして魂が遮断された。
次に気を取りもどしたとき、かすみがかった視野のかなたで、女がまな美を引きずっていく姿だった。店外の白い光をうけ、なかばシルエットとなった二人。三途の川の奪衣婆が亡者の着物を奪い取る姿そこのけだった。
もはや絶望的だ。通路の角にさしかかっていた。とても間にあいそうにない。
女は忘却の世界にまな美をさらっていこうとしていた。魂まで剥奪されると思った。
女の履いたスポーツシューズが床にこすれる、キュッキュッという音がこだまし、まな美の身体が引きずられるさざ波のような擦過音が響いた。
まるでだんじり祭りの山車のような、あざやかさと力強さを兼ねそろえたコーナーリングを見せて、まな美の身体は角を曲がり、聡の視界から消えた。もう片方のサンダルが未練たっぷりに置き去りにされた。
声のかぎり絶叫した。「誰か、まな美を助けてくれ! 女がさらっていった! いますぐ警察を呼べ!」
涙を流しながら、立ちあがろうとしたが、頭からくずおれ、ふたたび意識がとだえた。
聡はいつから病室の天井を見あげているのか、時間の感覚がわからなくなっていた。記憶がとっ散らかっていて、鮮明に憶えている事柄もあれば、虫食いみたいに欠落した部分もあり、ひどく混乱していた。
からまった糸をほどこうとすると、無理にほじくり返すなと言わんばかりに身体の内側の誰かが抗議してくる。くわえて、神経のひとつひとつをプライヤーでつまみあげられているかのような激痛をともなった。
あの騒動のあと、スーパーの店員がかけつけてくれ介抱してくれたらしい。聡はおぼろげな思考で事情を説明したが、はたしてうまく伝達できたかどうか。
額からの出血も烈しく、通路の棚から商品が散乱しており、ただごとではないのは一目瞭然だった。
警察がきて、現場検証にあたった。ひとまず聡は入院させられた。とりわけブラックジャックの一撃は深刻で、頭蓋骨が陥没骨折しており、紙一重で尖った骨の破片が脳に突き刺さるところだったという。
いつまで経っても、妻が発見された知らせは入らなかった。
三ヶ月安静したのち、聡は事情聴取に応じた。眼帯の女の人相、身なり、年齢を詳細に説明したつもりだ。精神が病んでいたのは明白で、通院履歴から特定できると信じて疑わなかった。
しかしながら、すべて空ぶりに終わった。スーパーにて実況見分がなされたが、それも同じだった。
女は逮捕されず、まな美は帰ってこなかった。
こんなことってあるか?
まな美の行方は杳として知れなかった。生きているのか殺されたかすらわからない。
付近の山林や海岸線も捜索された。にもかかわらず、なんの手がかりも得られなかった。
女の足取りもつかめず、貯金をはたいて懸賞金まで提示したポスターを町じゅうに貼り、会社や犯罪被害者団体からスタッフをつのり、駅前で呼びかける運動までした。
なのに目撃者はひとりも現れず、有力な情報のかけらすら拾えないまま、時間だけがむなしくすぎていった。
残されたのは絶望のみ。聡は二十八でありながら、一気に十歳は老けた。鬢には白いものが混じるようになった。
いまは新居を売り払い、西日がさしこむアパートの一室で沈思黙考をして、壁とにらめっこしてすごす日々を送っていた。壁には在りし日の夫婦の写真が貼られていた。
女は指名手配犯としてニュースでも報道された。連日、テレビをにぎわせたが、人のうわさも七十五日。じきに世間から忘れ去られた。
もう、そんなことはどうだってかまわない。まな美さえぶじに帰ってきてくれたなら、生きてさえいてくれたら、おれの命をさし出してもいいのに。
こんな理不尽な暴力ってあるか? これじゃあ、現代版、山人による神隠しのパロディじゃないか。
おれはこの先、なにを支えに生きていけばいいんだ。柳田国男の『遠野物語』によると、山人に連れ去られた娘は、数十年後、ひょっこり姿を見せたという。それを期待してぼんやりと残りの半生をすごさなくてはならないんだろうか。
聡は頭を抱え、とめどなく涙をこぼし、テーブルを濡らした。部屋は納骨堂のように冷たかった。
了
柳田国男の『遠野物語』の山人の話を絡めたかったのだが、みごとに消化不良してますな。
まあ、こんなときもありますって^^。