世界征服!…した後は?
後先考えず、我武者羅に突き進んできた。
壁にぶつかっても突き破ってきた。
だが…全ての壁を超えた先には、何も無かった。
俺は強い。
急にコイツは何を言っているんだ。
そう思ったそこの君、まあ落ち着いて話を聞いて欲しい。
俺は最強を目指し、一人で戦い続け、そして大陸制覇を成し遂げた。
この星に大陸は四つ在る。
つまり、世界の四分の一を手に入れたのだ。
大陸制覇を達成した直後は嬉しかった。
だが、何故か支配下の土地にいた部族が配下を名乗りだした。
配下が増え、群れが出来た。
群れがいつしか国になり、国を守る軍が出来た。
軍が大きくなるにつれ、全体を指導する奴が出てきた。
そいつは配下の中で特に強く、周りの配下を鍛える「将軍」という役らしい。
こいつの活躍で配下全体の練度が上がった。
そして「自称配下」の奴等は隣の大陸に攻め込んだ。
そこの頭に蹴散らされたらしいが、諦めずに何やら考えているらしい。
暇潰しに隣の大陸へ行き、そこの頭を倒した。
帰って来たら、軍の中から作戦を担当する奴が決まったと聞いた。
そいつは配下の中では優秀らしく、脳筋な配下には珍しくしっかりとした策を練り、気づけば一つだった支配下の大陸が三つに増えていた。
作戦担当は「参謀」という役らしい。
四つ目の大陸も、明日には落ちるだろう。
「報告します!最後の大陸が落ちました!」
訂正、今落ちた。
……退屈だ。
正直、大陸一つ制覇した時点で俺は満足していたんだ。
だが、配下の奴等が
「主の偉大さを全世界に広める為、全大陸を支配下に置きましょう!」
と、やる気満々で戦いたがっていたから、好きにさせてた。
コイツらが負けて攻め込まれても、俺が戦えば良い。
そう思い、放置していたら…いつの間にか終わっていた。
俺がやった事と言えば、一度だけ隣の大陸へ行き頭を倒しただけだというに…。
あの後、何故か配下達の目の色が変わった。
誰に言われた訳でもあるまいに、自主的に厳しい訓練を始めたのだ。
これは最近知ったのだが、俺が生まれた大陸が最も大きく、魔物のレベルも高いらしい。
だから、こいつらは素の強さだけで、他の大陸のボス以外を蹴散らせた。
別に何も言ってないのだから、初戦の敵を倒せなかった時点で諦めてくれれば楽だったのだが。
だが、俺の手を煩わせたのが悔しかったらしく
「配下同士で殺し合うつもりか?」
と、俺が聞きたくなる程に鬼気迫る形相で鍛練に励んでいた。
実際死者も出た。
しかし死者は新兵ばかりで、古参の兵はどんなにボロボロになろうと、平気な顔で翌日も鍛練場に来ていた。
新兵もよく、こんな所に働きにくるものだ。
他に働き口はいくらでも有るだろうに、何がコイツらを突き動かすのやら…。
話が逸れたな、戻そう。
俺は強い、強くなった。
そして、ついさっき全大陸を支配下に置いた。
これは世界制服を果たしたと言って良いだろう。
統治は参謀を中心に配下が全てやっているが、たまにフラッと町へ出ると軍の奴等だけでなく、市民も皆笑顔なので問題無いだろう。
軍の奴等も、基本的に荒っぽい奴等だが気の良い奴等だ。
小競り合いは起きても、殺し合う事は無い。
つまり平和な訳だ。
訓練場が一番危険な国ってのもおかしい気がするが、それは配下が自分達でやってる事で俺が口を挟む事じゃない。
で、だ。
俺の仕事が無い、暇だ。
確かに支配するつもりなど更々無く、配下に何をするつもりもなかった。
だから統治やら何やら全て、面倒だからと丸投げしたのは俺だが…まさか俺無しで統治を続けるとは。
主の判断が要る機会とか無いのか?
確かに確認はしているが…最終確認ばかりで仕事とは言えん。
この虚無感をどうしてくれよう…。
そうだ、異世界行こう。
この世界で俺に敵は居ない。
ならば、敵のいる所に行けばいいだろう。
「てことで、異世界に行ってくる。
統治諸々、手続き云々の権限は丸ごと参謀にくれてやる。
国をバラすも、体制を変えるも好きにしろ。
じゃあな」
という旨の書き置きを残し、俺は異世界へ旅立った。
リハビリ感覚で書いてみました(  ̄▽ ̄)
活動報告が無いのは…気にしないでくださいw
え?何処がファンタジーだって?
一人で大陸制覇して、何もしてないのに配下が仕事して、挙げ句の果てには何でもない事かの様に異世界行ってるのですよ?
どう考えてもファンタジーでせう(* ̄∇ ̄)ノ
折角創ったし、コイツ…何かで使えないかなw