3章 クラス対抗戦。嘘つきは作文がお得意
「クラス対抗障害物突破大会?」
星野川アイラは生徒会長なので催しのスケジュールを知らされている。
「明日クラスの代表3人一組でやるんだ。入学時の成績や会長だからってことで私が出るのは決まったんだけど」
素行の良さをアピールするなら学園のイベントを断るなどありえない。
「そういうことなら、あと一人はどうするんだ?」
入学前のテストで勝者は無料入学、敗者は自腹入学した。
勝利入学者は俺と星野川くらいしか覚えていない。
「あ、心都さん」
「なあに?」
委員長の心都リカがやってきた。
「心都さんって入学試験で勝ってたよね?」
「ええ、まあ」
「実は……」
ということで彼女がメンバーになり出場者は揃った。
「……次こそ貴様を倒すからな!」
対抗戦だからか、やはりトーマス・バロンが宣戦布告に来た。
「バロンの奴またハルアキにつっかかってるなあ!」
「……マイケル」
こいつ相変わらず朝からうざいテンションだな。
「ま、そんなことよりさあ放課後に献血いかねえ?」
「よりによってなんで献血なんだよ?」
そもそもオレの血液型は不明なので献血には行けない。
「可愛いナースがいるんだよ」
「悪いが献血は無理だ。ツレションじゃあるまいし一人でいけ」
「着いてくるだけでいいからさ~」
「わかった。献血は出来ないが付き添いだけはしてやる」
しつこいのでついていくしかない。
「明後日は将来の夢に関して作文を書いてきてください。優秀だった人には学園PRのスピーチをしてもらいます」
「うげー作文とかだりー」
放課後になり献血場へ。
「おれΩ型なんですけどー献血できますかー?」
「あら~ちょうど五人不足していたんですよ~」
可愛いナースではなくオツボネナースがマイケルを連行していった。
「帰るか」
「あ、ハルアキくん」
「星ノ川、委員長も献血か?」
二人は献血で貰えるドリンクとお菓子目当てらしい。
「ねぇ……ハルアキくーん」
星ノ川アイラと心都リカは俺の両側で腕を絡めている。
「私達と楽しいことしましょうよ?」
どうしてこんなことになったか、説明はものすごく簡単だ。
「落ち着くんだ正気になれ」
二人は献血でドリンクを貰ったが何らかの手違いで酒を飲んだらしい。
「正気だもんアイラの愛を受け止めて!」
正気な奴は奇行しながら正気だとは言わない。
「二人は酔ってるんだ」
「酔ってないわ~」
酔ってる奴ほど酔ってないと言うのは本当らしいな。
「ちゅーしよっちゅー!!」
「リカちゃんずるい!私が先だよ!」
二人が悶着している間に俺は逃亡した。
学生の身で問題を起こす訳にはいかない。
「きゃ……」
夢中で走っていると少女にぶつかった。
さらりとした黒髪、白のワンピースで典型的な清楚といった印象だ。
「すいません。おケガはありませんか?」
「ええ大丈夫です」
彼女とは初対面の筈が、不思議と何処かで会ったような気がする。
「あの、俺達……」
「どこかで会いました?」
向こうも同じことを考えていたようで、会っているのは確かだ。
しかし肝心の内容は思い出せない。こんな可愛い子がいたら、忘れるわけがないのにだ。
「あの……」
「その……」
かぶってしまい、俺は黙った。特に言いたいことが浮かばないのもある。
「私よく知らないところで起きて……夢遊病?」
「俺に聞かれても」
「ですよね……」
彼女は自分の意識、自我はほとんど無く、名前もないという。
あれか、人格が沢山あるっていうヤバい人か?
「アンタって呼ぶのも失礼だし……名前はどう呼べば?」
「好きに呼ぶか、名無しって読んでください」
「じゃあ、オーネはどうだ?」
「なにか意味が?」
「何もない。簡単に言うとゼロってことだ」
「そうですか」
彼女は笑った。一緒にまわることになった。




