皇帝との謁見-1
さあ、今日は皇帝との謁見だ。学園に行くメンバーは、フィンとイリスの3名だ。リッチ達には1日休暇を与えた。
「師匠、皇帝様達にも中華料理を出すんですよね?」
「お姉様、小籠包も出るんですか?」
こらこら、皇帝よりも中華料理の方が大事なのか?
「ええ、これまでに作った中華料理、全部出すわよ。皇帝が気に入ってくれれば、ガルディア帝国に中華料理の技術を教えるつもり。キースも気に入ってるから大丈夫でしょう」
「師匠、レーデンブルクではこれまでに作った全ての料理を広めて欲しいです」
「全部!うーん、それだと面白くないわね。その国独自の料理があった方が魅力的になるわよ。まだ、ハンバーグとかカレーライスとかラーメンとか作ってないから、新作料理をレーデンブルクで教えてあげるわ」
「「おーー、楽しみです。」」
学園に到着すると、皇帝もいるからか騎士団の人達が目立つわね。あ、キースがいた。どうやら訓練中のようだ。騎士団全員がキースに向けて剣撃や魔法を放っているが、キースは軽やかに回避している。その度に、女性の学園生達が騒いでいる。
「あ!師匠、今日ステータスを確認したら、私の平均基礎能力値が15万になってました。キース皇子よりも、かなり高いんですが何故ですか?」
「お姉様、私は13万でした。」
「神獣の加護と聖女の称号が私の加護と合わさって、相乗効果で飛躍的にUPしたんでしょう。あとは私と知り合った時、あなた達のレベルが低過ぎたのも原因ね」
「「やっぱり」」
「ちなみに、2人ともバーンさんやリフィアさんより、かなり強くなっているわよ。」
「「な!」」
「師匠と会ってから、私の価値観がどんどん崩れていきます。数値の上がり方が異常です。普通、8倍近く一気に上がりませんよ!」
「フィン姉、私も同じ意見です」
「フィン、イリス、私と出会った以上、普通の価値観は捨てなさい。私自身、システムの上限超えたせいで、加護がついたらどの程度数値が増加するか把握しきれてないのよね。でも、2人のおかげでおおよそわかったわ」
「「うー、なんか複雑です」」
これだけの力があれば、Sクラスが現れても問題ないだろうけど、黒幕連中はこういう事も想定して何か考えてそうなのよね〜。Sクラスは平均基礎能力値1万以上となっているけど、これまで3万超えた奴はいない。一方で、神族は1000万以上、その差があり過ぎる。その事も考慮して、もし3万以上の人が現れたらSクラスでも危ないと思うはずだ。ここまで邪族達は大敗北している事も考慮すると、何か力を向上させる方法を考えているはずだ。
私の加護を与えたからといって、油断してはいけない。
キースがこちらに気付いて訓練を中断してくれたようだ。
「よう、早いな!」
「昼食の中華料理を持ってきたの。学園長や皇帝の分もあるから、みんなで食べましょう。新作もあるわよ」
「む、聞き捨てならないな。早速、その新作とやらを食べよう」
「キース皇子、昨日私達は食べましたよ。新作の小籠包は絶品です」
「私は、餃子より小籠包がいいですね。お姉様もそちらが好みの様です」
「むむ、サーシャがそこまでいう料理か。早速、学園長室に行こう」
学園長室に到着し先にキースが入り、私達は5分経ってから入って来るように言われた。なぜ?
そして、言われた通り学園長室に入ると、3人(皇帝、キース皇子、学園長)とも頭を深く下げていた。
「「「女神サーシャ様、ようこそおいで下さいました」」」
ぐは!え、なに、新手の嫌がらせ?
「え〜と、とりあえず、頭を上げて下さい」
「新たな女神よ、私はガルディア帝国皇帝ドレイク・ガルディアと申します。全てキースから聞きましたぞ。我がガルディア帝国をお守り頂き感謝致します」
「新たな女神サーシャ様、我が学園の教員や学生達に魔力纏いを教えて頂きありがとうございます」
ぐ、こうきたか。
「あの、わかりましたから普通に接してくれませんか?凄くやり辛いです」
「あはは、いや、そう言ってくれると助かる。キース、大臣達の気持ちも少しわかったぞ。これは、かなり気を使うな」
「だろう?大臣達は、毎日皇帝に気を使ってるんだから大変だよ」
「キース、皇帝、私で試さないでよ」
「ははは、すまんすまん、皇帝が気を使う相手となると、サーシャしか思い浮かばなかったんだ。」
あのね、まあ皇帝以上の存在となると、周辺では私だけか。
「私は女神様とは知らずに講演の依頼を頼んでしまった。申し訳ありませんでした」
「学園長、頭を上げて下さい。元々、教えるつもりだったんですから問題ないですよ」
皇帝も話しやすい相手で良かった。とりあえず、改めて自分の自己紹介を行い
席に座った。
「皇帝陛下、お久しぶりです。フィン・レーデンブルクです」
「皇帝陛下、アイリス・フォーリングです。訳あって偽装のままでの挨拶、お許し下さい」
「フィン王女、アイリス、2人ともしばらく見ない間に成長したな。以前と顔付きが全く違うぞ。サーシャに鍛えられたようだな」
「うう、師匠の修行は厳しいです。あのお仕置きを回避するために必死でした」
「お姉様のあのお仕置きは拷問です。あれだけを回避するために頑張りました」
「そのお仕置きとやらが、凄く気になるな」
「そんな拷問は大袈裟でしょ。コメカミに二つの拳をくっつけてグリグリするだけじゃない。キースで試そうか」
「やめてくれ。リッカから聞いているよ。リッカですら一撃で何もかも奪われる気分になると言っていたぞ。おまけに、しばらく痙攣して動けないとも言っていたな。完全にお仕置きの域を超えていると思うぞ」
そこまで言うか。
「ま、まあ、お仕置きはともかく、フィン王女もアイリスも元気そうでなによりだ」
軽く流されたわね。
「さて、先にお昼を食べませんか?中華料理というものを作ってきました」
「おー!キースから聞いているぞ。仲間全員が取り合いになる程の美味さだそうじゃないか」
「ほう、中華料理、初めて聞きますな。是非堪能したいですね」
「ここだと少し狭いから、私の専用部屋に移動しましょう」
「それもキースから聞いている。なんでもサーシャ独自の部屋となっていて部屋や風呂の雰囲気が落ち着くと言っていたな。すぐに移動しよう」
キースは皇帝に専用部屋の事も言っていたのね。この分だと、お風呂に入るかもしれないわね。早速転移しましょうか。
○○○
「なんだ、ここは別世界みたいだ」
「皇帝、これが畳というものですな。匂いが何とも言えませんな」
日本基準で作っているから、王様や学園長にとっては新鮮だろうね。
「サーシャ、風呂見せてくれんか?」
「構いませんよ」
風呂を覗くと、2人とも呆気にとられていた。
「なんだ、この広さは!あ〜入りたくなってきたぞ」
「皇帝、昼食を食べてからなら構いませんよ」
「なに、本当か!早速、昼食を食べようではないか!」
うーん、この皇帝、面白い人だ。
テーブルに中華料理を全て出すと、特有の匂いが部屋に満たされた。キース、フィン、イリスは早く食べたいせいか、そわそわしていた。
「こ、これが中華料理か。見た事もない料理ばかりだな」
「まず、皇帝や学園長に軽く食べてもらいましょう。全員で始めると、また戦争になる気がするからね」
「戦争?少々大袈裟ではないか?」
「皇帝の言う通りですな。料理で戦争になるとは思えませんが」
とりあえず軽く料理を説明し、小籠包に関しては正しい食べ方と豪快な食べ方の2通りを教えておいた。キース、皇帝、学園長に新作料理となる小籠包を軽く食べてもらったが、3人とも面白そうだという理由から豪快な食べ方を選択した。当然アツアツなので、3人とも口をフウフウホロホロする羽目になった。皇帝も、こちらの食べ方の方が面白いと絶賛してくれたよ。ただ、さすがに祝賀会といった大きなパーティーや国賓を招いた席では、正しい食べ方を選択するよう言っておいた。次に皇帝と学園長には餃子、青椒肉絲を食べてもらったところで、キース同様、目の色が変わった。ああ、戦争になるな。相手は皇帝や学園長だろうけど、フィンやイリスは気にしないだろうな〜。
「ふ、ふふ、ははは、これは初めての味わいだ!なんという美味!誰にも取られたくないな。全てを味わいたい気分だ。」
「同感ですな。完全に戦争となりますから、この際身分に関係なく取り合いませんか?」
「いいな、面白そうだ。フィンもアイリスも私に気を使うなよ。面白味がなくなるわ。」
「「元よりそのつもりです」」
「それじゃあ、食べましょう」
いつもの戦争が始まった。
○○○
毎度の事ながら呆れるわ。私以外、全員が食い倒れている。私の料理、毒入ってないわよね?
「皇帝、中華料理の味はいかがでしたか?」
「サーシャ、この料理をガルディア帝国の王宮にいる料理人達に教えてもらえないだろうか?」
「ええ、構いませんよ。テルミア王国でも教えていないので、ここガルディア帝国で広めていけばいいと思います」
「なに!う!」
皇帝が起き上がろうとしたが無理だった。
「テルミア王国では教えていないのか!我がガルディア帝国発祥の料理となるな。これはいいぞ」
「王宮の料理人達に教えれば、より味が改良され洗練されると思いますよ」
「いいぞ、いいぞ、材料も全てガルディア帝国内で手に入る。食の革命が起こるぞ」
食の革命は大袈裟な気もするが、広まってくれると嬉しいわね。
「サ、サーシャ様、私の学園の料理人達にも教えて頂けないだろうか?」
「いいですよ。さすがに食堂だから教えれる品は限られますけど」
「「ふふ、やったぞ!」」
うーん、食事の話ばかりで、スフィア関係の話が全く進んでいない。まあ、闘技会も終わったばかりだし、皇帝達もたまには羽根を伸ばすのもいいかもね。この後はお風呂に入ってもらって、そこからスフィアの話にいきましょうか。
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