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お買い物と冒険者ギルド

あれから、どのくらい経過したのかな?この空間内では時が止まっていても、現実は違う。ずっと、ここで修行を重ねたせいで、感覚が麻痺してるわね。


試しに私自身に聞いてみよう。


「私がここに来てから、どの程度の日数が経過した?現実世界の時間で教えて。」


【3日程、経過しています。】


3日!たった3日しか経過してないの!

修行を開始してから、体感的に1ヶ月以上いるはずなんだけど。


邪神の封印されてる世界は、異世界スフィアタリアと時間も空間も完全に切り離されてると思っておいた方がいいわ。多分、スフィアタリアでの1日は、ここでは10日に相当するのかもしれないわね。


さて、全ての力を扱えるようになったし、手加減も出来るようになった。あとは、現実世界で力を認識して、再度調整するだけね。



さあ、ここを脱出しましょうか。



-------ここは、あの部屋か。カプリースボックスはもうないわね。身体は精神世界で見た時と同じか。剣もあるし、服や鎧もしっかりしてる。う、お腹減った。精神世界で食べても、現実では当然食べたことにならないか。とりあえず、能力値が一気に増加したから身体を慣らそう。あとは、手紙だ。桜木君達が探しに来る可能性があるから置いておこう。



---まさか、慣れるのにここまで時間がかかるとは思わなかった。覚えたスキルも多すぎる。ステータスに表示されない分、余計にややこしい。なんとかまとめ上げたのはいいけど、一体どれぐらい時間が経過したのかな。うー、お腹減った。入り口を壊して、早速、脱出しよう。ここは4階層か、お、コボルト発見!早速討伐だて、あれ死んだ。なんなのよ、目が合った瞬間、死んだわね。あ、威圧スキルが自動になってる。しかもレベルMAXだ。道理で逃げるわけだ。自動を解除しておこう。危ない危ない、冒険者と擦れ違っていたら、威圧だけで殺してたかもしれない。確認漏れは、もうないわね。



次は、3階層か。石階段を登って行くと、向こうから声が聞こえてきた。。一応スキル「隠蔽」を使おう。知り合いだったら最悪だ。やって来たのは、なんとマーカスさんだ。「隠蔽」使ってて良かった〜。でも、不味いな。ずっと使うわけにもいかないから、王都にいる間はせめてコートとかで顔を隠したい。ともかく、マーカスさん達は無視して先に進もう。


「全員、気をつけろ。4階層が、茜が行方不明となった場所だ。どんな邪族になっているのかわからない以上、邪族を討伐する時は細心の注意を払うんだ。間違っても茜を討伐しないように。」


「ですが、団長、茜が邪族になってしまった以上、残念ながら討伐するしかないのでは?」


「本来なら、即討伐だろう。だが、春人や美香といった殆どの者達が諦めていない。時間があれば、元に戻すアイテムを探しているんだ。我々は、茜を見つけるだけでいい。邪族に変わっても、恐らく姿や服装が似通っているはずだ。仮に討伐となった場合は、春人自らが殺るそうだ。」


「そこまで覚悟を決めてるんですか!わかりました、我々は探すことだけに集中します。」


桜木君、美香、私のために頑張ってくれてるんだ。どうする、姿を現わすか?---駄目だ。恐らく、始めのうちは皆んな喜んでくれるだろう。でも、日数が経過する程に邪族との戦闘が長く続く程、私が自分達よりも遥かに強くなっている事に気付くだろう。原因は邪族になったから、その内に私の事を化物扱いする人が必ず現われる。金子さん達がいい例か。それに称号の事もある。ユニークスキル「存在隠蔽」のおかげで、称号の効果は殆ど消失しているといえ、どこかで迷惑をかける可能性がある。ごめん、マーカスさん。私は王宮には行けないよ。でも、危機に陥った時は必ず来るからね。



1階層に辿り着いた。どうも、このダンジョン、現在立ち入り禁止になってるみたい。原因は私、形式上、強力な邪族が出現したということになっている。ここは、スピードを利用して強行突破かなと思ってたけど、隠蔽のおかげで誰にも気付かれなかった。なんか、それはそれで寂しいけど、第1関門クリアだ。



次は冒険者用のコートかな。お金は確か多少持ってるし、食事の分も考えて買わないとね。それにしても、今迄城に閉じ籠って訓練に集中していたせいか、街並みを殆ど見ていなかった。いや見ていたけど、すぐに忘れていた。それほど、切羽詰まっていたのかもしれない。街並みは中世のヨーロッパ、人々の表情も明るい。でも、ガロットさんによると、今でも各国には貧富の差があり、貴族が平民を虐げる例もあると言っていた。この国にも、街はずれに行くと貧民街があり、そこでは治安も悪いそうだ。異世界でも、元の世界と似ているところがあるな。もしかすると、神様達は私達の世界を基にして、この異世界スフィアタリアを創ったのかもしれないわね。あれは雑貨屋かな、隠蔽を解いて入ってみよう。あ、店主は60代?の女性だ。



「よかった、雑貨屋だ。すいません、冒険者用のフード付きコートはありませんか?」

「あら、あらあら、こんな可愛い女の子がお客だんて嬉しいわ。」

「え、いやその、ありがとうございます。」



社交辞令とはいえ、はっきり可愛いと言われると照れてしまうわね。


「最近は物騒だから、お嬢さんも気をつけてね。冒険者用のフード付きコートだったわね。色は何がいいの?」


「なるべく目立たない色をお願いします。」

「そうね、じゃあこれなんかどうかしら?」


商品として出されたのは、薄い茶色のコートだ。うん、この色なら、今着ている服とバランスもいいし、顔もある程度隠せる。


「これ買います。いくらですか?」

「そうね、可愛いから銀貨3枚でいいわ。」


スキル「物品鑑定」のおかげか商品価値がわかるわ。でも、いいのかな?かなりお買い得なんだけど。


「あのいいんですか?これ、銀貨5枚の価値ありますよね。」

「いいのよ。値引きしてあげるわ。」

「ありがとうございます、助かります。」


私は銀貨3枚を払った。せっかくだから下着類も買っておこう。あとは、食料ね。この店、雑貨屋ていうだけあって、品物が豊富にある。粗方の物を買い、店を出た。店主さん、どうも私が誰かと駆け落ちするように見えたのかな。出る時、凄く心配してくれた。ちなみに、銀貨3枚は3000円の価値かな。



あ、定食屋発見!やっと食事が出来る。早速、入ってオークのステーキ定食を頼んだ。

ちなみに、邪族の元は怨念だけど、倒した時点で怨念は無くなり、普通に食べても問題ないそうだ。この際、カロリーとかはどうでもいい。今は肉が食べたい。お腹が減りすぎている。15分後、完食した。とても美味しかった、満足だ。


「店員さん、大変美味しかったです。」

「ありがとうございます。凄い勢いで食べてましたね。」


「あはは、この2日ろくな物を食べてなかったので、肉に飢えてました。」

「そうだったんですか。冒険者の方ですか?」


「これから冒険者ギルドに行って、登録するところです。」

「気を付けて下さいね。フード外さない方がいいです。絶対絡まれますよ。」

「ありがとう。」


本当は、このまま王国を脱出したいところだけど、村・街・関所などでは身分証明書がいる。まあ、ステータスや犯罪履歴を調べる魔道具があるみたいだけど、結構貴重な物らしく、大きな街やギルドにしかないらしい。そのため、身分証明書として、冒険者の場合はカードが必要なのだ。小説だと、男子の場合はその辺の冒険者に絡まれ模擬戦となって、相手をボコボコにするというのがテンプレだけど、女子の場合はどうなるのかな?まあ、とりあえず入ってみよう。


おー、意外と綺麗だ。受付には2人の女性がいるわね。あそこは、紙がいっぱい貼られている。あれが依頼書かな。とりあえず、受付の女性に話しかけよう。


「すいません、冒険者登録をしたいんですが。」


「はい、初めてのご利用ですね。少し長くなりますが、冒険者クラス・依頼の受理方法・邪族の討伐について説明していきます。まず、-------」



長い、もう10分くらい話してる。内容も小説と殆ど同じだ。簡単に纏めると、


クラス S, A, B, C, D, E, F

初めの登録時、試験官と模擬戦を行い、力量を判断する。ただし、どんないい

成績であっても、Dクラススタートとなる。Cクラス以上になるには、ある程度

実積が必要となる。



依頼 掲示板の依頼書を剥ぎ取り、受付に持っていく。依頼内容を達成すれば、

文字どおり依頼完了。依頼内容に何か不備があった場合は、即座に報告する

こと。


邪族の討伐

邪族の種類によって、討伐部位が異なるため、事前に確認すること。

そのまま持って来ても可。ただし、解体料がかかる。


こんな感じかな。


「以上となります。何か質問はありますか?」

「試験は、いつやるんですか?」


「Bクラスのケインズさんがいますから、今からでも大丈夫です。」

「今からやります。」


「わかりました。では、サーシャさん準備が出来次第呼びますので、しばらくお待ち下さい。」


模擬戦か、金子さん以来だ。今度は勝てるかな?あ!そうだ邪神取り込んだから、数値がおかしい事になっているんだ。思い出してよかった、手加減しよう。といっても、冒険者として認めてもらわないといけないから、そこそこいい勝負をしよう。依頼書はどんな内容のものがあるのかな?掲示板に移動する途中、誰かが足を引っ掛けてきた。すると、お互いの足が触れた瞬間、私が倒れるどころか、足を引っ掛けてきた人が盛大に倒れた。振り向くと、先程足を引っ掛けて来た女性が疼くまっていた。?大丈夫かな?仕方ない、声をかけるか。


「足、大丈夫ですか?」

「あんたがやったんでしょう!」


「私は、歩いていただけです。何もしてませんよ。」

「ふざけないで!じゃあ、なに私があなたの足を引っ掛けたとでも言うの。」


この人、自分から言うか?みんな、クスクス笑ってるし。明らかにわかってるよね。あー、目立ちたくないのに結局こうなるのか。


「ええ、そうですよ。私は引っ掛かりました。その後、あなたがひっくり返りましたね。」


全員が大笑いした。


「この女、今すぐ私と模擬戦をしなさい。」


「いえ、御断りします。模擬戦をする意味がわかりません。それに、私は試験官の方と模擬戦をするので無理です。」


「それなら私がやってやるよ。C級だから問題ないよ。」

「それならいいですね。私としても問題ありません。きちんと評価して下さいね。」


その後、受付の方と相談して了解をもらった。審判は、B級のケインズさんがやってくれる事になった。今、私は訓練場にいて、さっきの女性C級レインさんと向き合っている。さて、どう戦おうか。やはり、こちらから一撃を与えてみよう。私は、模擬刀を上段に構えた。



「試合、始め!」


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