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闘技会開催

3日間の特訓は終了した。


リッカもシュリも、今の自分の力を十全に扱えるようになった。シュリには、新たな武器アブソリュート・ゼロを渡してある。武器自体の名称はミスリルプラスの剣、これまでの剣とは異なり氷特化型にしている。液体窒素よりも低い絶対温度の液体を人工的に作ろうとしたけど、イメージが不十分なため、どうしても作れなかった。ミスリルプラスはこれまでの金属と異なり、3つの属性を付与出来ることがわかった。そこで、この力を氷1本に集中させることで、液体窒素とミスリルプラスとの相互作用で絶対温度の液体を作ることに成功した。作ってわかったけど、かなり強力な魔剣だ。シュリも、ある程度は扱えるようになった。


イリスにも、1つの武器を開発した。それは小太刀十六夜を進化させたもの、名前はそのままにしてある。材質は鉄から玉鋼に変化し、私の紫電と同様、1つの魔法を付与出来ることがわかったため、聖魔法『グラッジピュリファイン』を付与させた。こうして私自身がいくつか武器を製作したけど、桜木君が持っている聖剣と同等のものになっているわね。


「闘技会は9日間と聞いているけど、武器部門はいつから始まるのかしら?イルマさんに聞いてみよう。リッカとシュリが同じブロックにならないことを祈るわ。」


「シュリと試合になったら、ある程度戦って負ければいいんですよね。」

「そうよ。」


リッカには悪いけど、シュリには優勝してもらわないとね。途中出現する邪族に関しては、リッカとシュリに任せることにした。ジン・リッチ・フィン・イリスの4人は会場外の掃討を手伝ってもらう。私は、黒幕が現れる可能性もあるので最後まで待機だ。会場内の邪族を2人と選手達だけで掃討し、その後シュリが正体を明かしスオウの陰謀を暴けばいい。問題は黒幕が現れるかどうかだ。凉見凌一はマルコ遺跡やゾンビハウスの件もあるから、必ず現れると思う。見つけ次第、ゾンビハウスに転移ね。また、黒幕が複数現れても同じだ。現在ゾンビハウスにおいて、とある仕掛けが発動中である。戦いは、ゾンビハウスでやればいい。


「師匠、この聖爪を貰ってもいいのですか?」

「サーシャ、この魔剣もそうだ。」

「それを言うんでしたら、私の小太刀もです。」


「あなた達、ステータスで自分の武器の詳細を見てみなさい。」


言われた通り、3人はステータスで確認した。


「「「え〜〜!」」」


「あなた達の武器は特別製よ。それだけ強力な武器なら盗まれて悪用される可能性が高い。だから、スフィアが作った聖剣同様、現状あなた達にしか使えないように設定してある。ただし、スフィアの聖剣は勇者限定で、召喚者の勇者にしか使えないようにしてあるけど、それらの武器は違うわ。ステータスに記載されている通り、継承可能なの。あなた達もいずれ年を取り、その武器を扱えなくなるでしょう。その時に役立つのが継承よ。イリスの場合、新たに現れた聖女に聖刀を継承すればいい。シュリの場合は新たな皇帝となる者に継承すればいい。フィンの場合は、自分の弟子か子供に継承すればいい。そうすれば、その武器達はずっと使われていくでしょう。」


「サーシャ、1ついいか。フィンの場合、君達が師弟の関係にあるから彼女の重心や身体の動きも理解出来て、聖爪を作れたのはいい。俺の場合はどうなるんだ?会って数日なんだが、この魔剣は俺の動きに凄くフィットしている。違和感を全く感じない。」


ああ、そのことか。


「それはそうでしょう。その魔剣アブソリュートゼロは、元はあなたのミスリルの剣だもの。その剣、かなり使い込んでいたでしょう?」


「ああ、俺が15歳で成人した時から使ってる愛剣だからな。」


「武器を何年も使い込んでいると、武器自体が持ち主の動きに合わせてくる。3年も使い込んでいたら、当然シュリの全てが剣に吹き込まれているわ。私はその剣を進化させただけなのよ。


「だから、違和感もなく普通に扱えるのか。武器の修繕はどうするんだ?この武器達を修繕する鍛治師はいないぞ。」


「それについても問題ないわ。私が製作した武器全てにおいて、『自己修復能力』を付けてある。」


「お姉様、物凄く都合の良い武器なんですが。」


「それはそうでしょう。私は邪神で、数多くのスキルがあるし知識もある。それらをフル活用して製作したのよ。普通の人間には、製作は無理でしょう。偶に、ダンジョンの魔剣にも自己修復能力が付いている物があるでしょう。そういった知識を利用させてもらったわ。」


全員呆れていた。


「サーシャ、恐れ入ったよ。邪神であることに奢らず、本当に全ての力を使いこなそうとしているんだな。」


当たり前です。まだまだ、使いこなしていませんからね。


「それじゃあ、ビルブレムに転移するわよ。」



○○○



ビルブレムの入口に到着すると、凄い賑やかになっていた。あちこちに露店が出ている。今日から9日間、闘技会だからお祭り騒ぎだ。


イルマさんにスケジュールを聞いてみたけど、


1〜3日目 召喚部門

4〜6日目 魔法部門

7〜9日目 武器部門


となっていた。国王達は、本戦のみ観戦となっている。さて、どう行動しようかな?リッカとシュリが参加する武器部門は7日後だから余裕がある。まあ、先に国王を見に行きますか!


「シュリ、『隠蔽』を使って国王の所へ行きましょう。魔法を使っておかないとね。」


「ああ、そうだな。初日に邪族が現れるとは思えないが、早いに越したことはないだろう。」


「他のみんなは、6日間自由行動でいいわ。ただし、目立つ行動は避けるようにね。今日からは私も忙しくなるから、夕食は各自で作るか定食屋で食べるように。フィンとイリスなら、もういくつか料理を作れるでしょう。宿泊は私の専用部屋にしましょう。リッチに言えば、転移で行けるわ。それじゃあ、解散。」


5人と別れ、私はシュリと一緒に国王のいる邸宅に向かった。邸宅に向かう途中、スオウのことを聞いておいた。16歳で、典型的な自己中野郎、使える人間の場合は優しく接し人脈を作ろうとするが、使えない人間の場合はとことん無視するか、厳しく接するそうだ。そのため、スオウを嫌っている人も多い。この手のタイプは、気に入らなければ力尽くで物事を変えようとする危険な人間だ。


「スオウのことを聞けば聞くほど、今すぐ暗殺したくなるわね。」

「それは勘弁してくれ。一応腹違いではあるが弟なんだ。」


シュリの欠点は、優し過ぎる性格ね。人は時として、厳しく接しないといけない時もある。スオウに関しては、シュリに任せましょう。どうやら邸宅に到着したようね。さすがに警備が厳重だ。通常のやり方なら侵入不可能ね。ただ、魔導具関連の機材がない。スフィアタリアの戦争の件は当然知っているから、皇都に集中させているのね。その分、人員を多く配置している。


「シュリ、忍び込もうか。」


「こういう形で、この屋敷に入ることになるとはな。『隠蔽』が効いているせいか、誰1人気付かないな。あそこにいる連中は、騎士団のなかでも優秀な者ばかりだ。なんだ、騎士団長はいないのか。皇都の守備を任せられたのか」


「それだけシュリが強くなった証拠よ。今なら、あなた1人であそこの騎士団を倒せるでしょうね。」


「本当に可能だから怖いよ。裏口から入ろう。こっちだ。」


裏口から邸宅に入り、国王のいる部屋の扉へと到着した。ここでも、設置されている魔導具は、『サイレント』のみか。ドアの前に2人の騎士が警護をしている。瞬間移動で部屋の端へ移動すると、2人の男性がいた。皇帝とスオウだ。なにやら話し混んでいるようだ。


「父上、やはり兄さんは戦死したんでしょう。遺体がないのは邪族に焼かれたのでは?公式には行方不明と発表していますから、戦死に変更した方がいいかもしれません。」


「私はキースが密かに生きている気がするのだ。親の直感だ。お前は死んでいて欲しいのか?」


「まさか、私とて生きていることを望んでいますよ。ただ、2週間も連絡がない状況を考えると、---」


「まだ戦死発表はしない。少なくとも、あと1ヶ月はこのままだ!」


「---わかりました。私は自室で休むことにします。」


あれがスオウ、絶対に友達になりたくない奴だ。ささっと、皇帝に魔法をかけよう。

魔法を唱え一旦邸宅から離れると、シュリは微妙な表情になっていた。


「どうしたの?」


「サーシャ、皇帝にだけは姿を見せておこうと思う。そして、危険な状況であることを報告しておく。」


何か思うところがあったのかな。


「いいわ、あなたの好きにすればいい。私は周辺を調査しておくわ。何かあった時は通信してね。」


お互い空間魔法の『トランスミッション』があるから通信可能だ。



○○○ シュリ視点



サーシャと離れ、俺は再び邸宅へやって来た。皇帝いや父さんは、俺が生きていると確信している節があった。まさか、理由が直感とはな。サーシャのことは話せないが、スオウ関連の事情を話しておこう。俺は瞬間移動で部屋に入ると、父さんは1人で考え混んでいた。俺は隠蔽と偽装を解き、父さんに声をかけた。


「父さん、心配かけたな。」


《ガタ》


「キースか。いつ戻ってきたんだ?」


「3日前からビルブレムにいたよ。今は、スオウに見つかる訳にはいかないからね。隠蔽と偽装で潜り込んだ。」


「隠蔽と偽装?周辺には高レベルの騎士団がいるはずだ。お前のレベルやスキルレベルは、そこまで高くなかったはずだが?」


普通、そう思うよな。


「まず、俺に起こったことを話す。皇都に向けて帰還の途中、盗賊に襲われた。その連中の中にはダンテがいた。」


「なんだと!ダンテはSクラス遺跡の中で、リッチに殺されたと聞いたぞ。」


「全くのデタラメだよ。早い話、ダンテ達は俺を暗殺しにきたが、返り討ちにあったんだ。その暗殺の実行者はスオウだ。」


「な!あいつは兄を殺してまで、皇帝の座を望むか!それで誰かが助けてくれたんだな。」


サーシャの名は伏せておくか。


「ああ、その人は恐ろしく強い。ダンテを一撃で殺したからな。その人の名はリッチ。語弊があるが、邪族のリッチとは違うからな。現在まで、リッチに稽古を積んでもらっていた。」


「あのダンテを一撃か。余程の使い手ということか。」


「話しは、そこで終わりじゃない。リッチには主がいた。主の命令で俺を助けてくれたんだ。どういう訳か、その主もリッチも俺を気に入ってくれたようで、この件が落ち着くまで、リッチが護衛してくれる事になった。俺はリッチと2人で、1度皇都に戻ったんだよ。しかし入口に来た途端、罠が発動しSランク遺跡に転移された。」


「Sランク遺跡に転移だと!そんな馬鹿な、転移は邪族以外使えないはずだ。まさか---」


「そのまさかだよ。スオウが裏で邪族と手を組んだ。俺は部下とスオウの動向を探っていたんだが、勘付かれて手を打たれたんだ。あいつは俺が死んだと思っている。そして、次の標的は父さんだ。それも、この闘技会で邪族に襲われて戦死させるつもりだ。」


「なんということを考えているんだ。力の扱いを完全に誤っている。そんな風に育てた覚えはないはずだが。」


あいつは、昔から支配欲が強かったからな。邪族にでも唆されて、我慢出来なくなったということか。


「父さんは、俺達が守る。リッチの仲間達と合流して、この闘技会が終わるまで、国民を守ってくれるよう頼んだ。そして、闘技会には俺ともう1人が参加する。会場内に現れた邪族に関しては、俺や仲間が始末する。」


「キース、お前を助けてくれた主人は何者だ?なぜ、そこまでお前や私を守ってくれるのだ。」


「俺も同じ理由を聞いたよ。父さんと俺がガルディア帝国に必要だからと言ってくれた。俺もその人のおかげで強くなれた。ここだけの話、俺の基礎能力値は3万台だ。」


「馬鹿な!不可能だ。この短期間で3万だと。」


「理由は今は言えない。言っても信じてもらえないだろう。全てが終わってから会ってもらうよ。さっき、俺とその主がこの部屋に訪れたけど、スオウも父さんも気付いてなかったね。その時にあらゆる攻撃を防ぐ絶対防御の魔法をかけた。父さんは主の守護下である限り、絶対死なないよ。」


「騎士団さえ気付かない程の隠蔽、絶対防御の魔法---か。その主といつか話してみたいものだ。わかった、信じよう。お前は邪族と試合に集中すればいい。スオウには当然黙っておく。」


「父さん、ガルディア帝国は俺が必ず守る。邪族の好き勝手にはさせない。それじゃあ、一旦戻るよ。次会う時は闘技会の会場だ。俺はシュリで登録している。」


そう言って、俺は邸宅を後にした。


サーシャが救ってくれたこの命、決して無駄にはしない。


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