表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/147

リッチとの定期連絡

ビルブレム入口に到着すると、外は真っ暗だった。慌てて時計を確認すると、夜20時となっていた。あちゃー、時間を全然見てなかった。


「うーん、宿屋は無理そうだし、私の空間で休みますか。」

「やった〜。サーシャ様の部屋、凄く居心地が良いから好きなんだ。」


「リッカさん、わかります。お姉様の空間は不思議と和みます。お姉様、夕食はどうするんですか?」


「時間も遅いから、適当に何か作るわ。」

「師匠、私も手伝いますので、中華料理というものを是非お願いします。」

「お姉様、私も手伝います。中華料理というものを教えて下さい。」


うーん、余程気に入ったのね。結局、フィンとイリスに中華料理を教え、夕飯を一緒に作った。フィンとイリスも真剣だったため、味は中々だった。2人とも、料理のセンスはあるわね。



---翌朝、ビルブレムに入ると、初めて来た時より盛況になっていた。


「うわ〜、凄い賑やかだ。これって闘技会があるからかな?」

「おい、リッカ、あまり動き過ぎるな。逸れるぞ!」


本当に賑やかだわ。闘技会は4日後、周りを見ると屈強な冒険者達がわんさかいる。


「とりあえず、冒険者ギルドに行きましょう。」


冒険者ギルドに到着すると、こちらは閑散としていた。受付には、イルマさんがいた。


「あれサーシャさん、マルコ遺跡に向かわれたのでは?」

「ええ、召喚獣に乗ってマルコ遺跡に行きましたよ。ただ、私達がゾンビハウスの第2任務を遂行中、突然入口へ強制送還されました。それで、次はゾンビハウスに行かずに、地下8階層に行ったところで、また入口へ強制送還されました。入口を見ると、ダンジョン改装中のため、しばらく立ち入り禁止になってしまったんです。仕方ないので、一旦ビルブレムに戻ってきました。」


《ダン》


「ええ、ダンジョン改装中!そんなの初めて聞きましたよ!」


「そう言われても本当のことです。それが起こり始めたのは昨日の昼頃からだったと思います。」


この時間は、覚えてないから適当でいいだろう。


「わ、わかりました。ギルド長に伝えて来ます。少し待っていて下さい。」


一応報告はしておこう。私がダンジョンマスターになりましたとは、絶対に言わないけどね。


「師匠、乗っ取ったことは言わないんですか?」


「私が乗っ取ってダンジョンマスターになったわけだけど、もちろん言うつもりはないわ。」


《ドン》


突然、2階からドアを開く大きな音がした。駆け下りてきた人がギルド長かな。40代のおば、お姉さんがこちらに来た。鋭い目、鋭い眉、どこか中性的な感じがする。この人も冒険者で強くSクラスね。


「イルマ、近距離遠距離において、最高点を叩き出したのは、この人だな。」

「はい、そうです。」


「突然悪いな。私はエスティ・ロンド、冒険者ギルドのギルド長だ。まずはマルコ遺跡に起こったことを聞こうか?」


「サーシャ・フォーリングといいます。ここで、言ってもいいんですか?」

「どうせ広まるから構わん。」


さっき、イルマさんに言った同じ内容をエスティさんに伝えた。


「まさか、誰かがダンジョンコアに辿り着き、新たなダンジョンマスターになったとでも言うのか?信じられん。」


「詳しい事は、私にもわかりません。昨日起こった出来事ですから、今頃違った変化が現れているかもしれませんね。私以外にも冒険者はいましたから、数日中には新たな情報が入ってきますよ。」


「そうか、サーシャ、報告してくれて感謝する。あとは、闘技会に参加するのはリッカという女の子だけなんだな?君は参加しないんだな?」


「はい、参加するのはリッカだけです。本来は、リッカも参加するつもりはなかったんですけどね。」


「ああ、あの貴族夫人のことか。あの人には困ったものだ。あと2日もすれば、皇帝も到着するだろう。場合によっては、君も皇帝と謁見するかもしれん。」


げ!


「それは最高点を出したからですか?」


「ああ、それもある。サーシャは、スフィアートの戦争経験者で、しかもSランクだ。恐らく、勧誘されるだろう。」


嫌だな〜。出来れば、皇帝とは会いたくない。


「勧誘されたら断ります。それに、ガルディア帝国にも有名なSランクの方がいたはずですが。」


「戦死したよ。リッチに殺されたそうだ。」


ダンテとかいう名前だったよね。


「リッチにですか?それで、Sランクの私を勧誘ですか。」


「そういうことだ。まあ、君にも事情があるのだから断ってくれても問題ないよ。ただ、気をつけて行動するように。話は、これで終わりだ。私は、至急皇帝にマルコ遺跡の件を連絡しないといけない。」


そう言って、エスティさんは自分の部屋へ戻った。これから大変だろうけど、頑張って下さい。勧誘を断ったら、フィンかイリスに何かするつもりだろう。そんなことしたら、容赦しないからね。


「イルマさん、討伐した際、アイテムをドロップしたので、換金をお願いします。」


アイテムを換金すると、結構な額になった。生活には全く困らない金額があるが、ここ最近、みんな良く食べるからお金は多くあった方がいい。あ、あの貴族関連で何か変化があったかな?


「あの貴族、何か言ってきませんでしたか?」


「あ〜、今のところ本人は何も言ってきませんが、どうも周辺で怪しい奴らがリッカさんを探してましたよ。」


「予想通りの行動ですね。何か仕掛けてきても、遠慮なく倒しますね。怪しい連中なんですから。」


「あはは、あまり騒ぎを起こさないようにして下さいね。」


冒険者ギルドを出て、広場に行ったところで休憩を取った。



「私は今からリッチと連絡を取るから、みんなは遊んででいいわよ。そうね、お昼12時になったら、ここに集合してね。それと、あの貴族関連で、4人に言い掛り付けてくる奴がいるはずだから、遠慮なく倒していいわよ。ただし、殺しちゃ駄目よ。4人とも基礎能力値が大幅に上がっているから手加減しなさい。」


「そうだった。私もイリスも10000以上あるから気をつけないと。」


「う〜、フィンもイリスも、まだ良い方だよ。私達なんか20万超えてるから、加減が難しいな〜。」


「3人とも、大丈夫だ。襲ってくる連中で、手加減を覚えれば良い。」


「「「なるほど!」」」


あの3人を襲う連中が気の毒ね。


さて、私の方はリッチとの定期連絡をしましょう。そういえば、リッチも人型になっているんだけど、名前はリッチのままなのよね。本人がこのままでお願いしますと言っていたからいいけどさ。


【リッチ、今大丈夫かしら?】

【お〜、サーシャ様、5日ぶりですな。】


【随分ご機嫌ね。何か良いことあったの?】


【はい、皇都に到着すると、キースの反対勢力となる奴らが罠を張っておりました。皇帝のいる皇宮に入った途端、キース共々Sランク遺跡の21階層に転移されました。】


おいおい、何嬉しそうに言ってるのよ。


【キースの反対勢力に邪族が手を貸しているわけか。リッチ、あなたわかってて、罠に嵌ったでしょ。もしかして、キースを鍛えるため?】


【はい、その通りです。あいつは、余りに軟弱ですからな。Sランク遺跡にある女神像は、10階層おきにしか置かれていないので、4日間みっちりと鍛えましたよ。私自身も最下層まで行き、かなりの数のSランクを討伐しましたね。そのおかげで私のレベルも50となり、基礎能力値も30万程となりました。あと、-----なんだキース、今サーシャ様とお話ししているのだ。------サーシャ様、キースがどうしてもお話ししたいと言っているのですが?】


【別に構わないわ。---これで話せるはず。キース皇子聞こえてますか?】

【ああ、聞こえてる。あの時、盗賊から助けてくれてありがとう。】

【一応、盗賊扱いなんですね。Sクラスのダンテもいたのに。】


【そのダンテは、別任務で戦死した事になっているよ。ところでリッチのことなんだが、あの時助けてくれたリッチで間違いないんだよな。そのリッチが人化して、今も俺を守ってくれているでいいのかな?】


随分、話の通じやすい人だな。


【ええ、そうです。私の命令で守っていますよ。】


しばらく沈黙が続いた。


【リッチの強さは、完全に人や邪族を逸脱している。Sランク遺跡に行ったことで、それがよくわかった。そして、君がそのリッチを従えている。実はリッチに聞く前から、君の正体はわかっていたんだ。Sランク遺跡でリッチに鍛えられ、俺の現在のレベルは50、基礎能力値は3万なんだ。】


嘘でしょ!あ、もしかして!


【ひょっとして、称号に邪神の加護というのがありますか?】

【あるね。】


あちゃー、まさか加護が発動していたとは。確かにキース皇子を守るとは思ったけど、それだけで加護が発動するとは予想外だ。


【そうですか、私が邪神ですね。ただし、あなた方が知っている邪神とは大きく異なります。】


【1度直接会いたいんだけど、構わないかな?事情を聞きたいんだ。明日の朝、ビルブレムに到着するから、10時に冒険者ギルドで待ち合わせでいいかな?】


加護が付いているなら、誤魔化しは効かないわね。


【ええ、いいですよ。詳しい事情は、そこでお話しします。】


【よかった。君達と出会えたおかげで、俺も強くなれた。明日、会えるのを楽しみにしているよ。】


キース皇子との通信が切れ、リッチが出てきた。


【サーシャ様、ジンやリッカから中華料理というものを作られたと聞きました。明日頂いてもいいでしょうか?】


【ええ、キース皇子も来るし、ご馳走を作っておくわ。】


リッチとの通信も終わり、今日の夜にでも、私の専用部屋で料理を作っておこう。せっかくだから、餃子を作ろう。ふと、周りから視線を感じたため、目を開けてみると、なぜか5人の男共が寝転んでいた。


「あなた達、そんなところで何をしているの?」

「はあ、はあ、お前のせいで、こうなったんだろうが!」


大方、私が寝ていると思って、襲うか拐うつもりだったのかな?『ディストーションフィールド』が発動して、何も出来なかったと。


「おい女、この落とし前をどうしてくれる?」


「知らないわよ。あなた達が、勝手に私の前で暴れただけでしょ?私は何も悪くないわ。それじゃ、そういうことで。」


「このまま帰す-----」


鬱陶しいから、少しばかり威圧してやった。


「このまま何?」


私が柔かな笑顔で続きを聞こうとした。


「---いえ、なんでもないです。」


男達は真っ青になっていた。うーん、少し威圧が強かったかな?私も強くなったから、気をつけて行動しないとね。


ゾンビハウスで亡くなった人達から得た経験値だ。無駄にしたくない。私自身も慢心せず、この力を十全に扱えるようにしていこう。


ブックマーク、評価をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ