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ゾンビハウス攻略-10 完全攻略完了!

サーシャ視点に戻ります。


○○○


ゾンビハウスの空間を繋いで、ダンジョンコアを発見解析し、主を私に書き換えた。ここまでで、約1日、普通の人間なら絶対に集中力が持たないわね。さて、どうしようか?このまま『グラッジピュリファイン』をしてもいいけど、せっかく親子が自我を取り戻し楽しんでいるんだから、もう少し進めておこう。あ、そうそう、今いる冒険者達は邪魔だから、マルコ遺跡入り口に戻そう。そしてゾンビハウスの入口は閉鎖しておこう。-----よし、次はマルコ遺跡のダンジョンコアの探索だ。


む、やはり、ここのダンジョンコアとマルコ遺跡のダンジョンコアは繋がっているわね。これなら解析も楽だ。やはり、どちらも主は【-----】か。こいつが13歳くらいの男で間違いない。これをサーシャに書き換えて終了と。この時点で、3日目の昼か。それにしても、この作業、『並列思考』『思考促進』などのスキルがある邪神の私だから大きな負荷にはならないけど、人間には絶対出来ないわね。負荷が大き過ぎる。さすがに、私の専用空間と繋ぎ合わせる時間はないか。まあ、いいわ。ここまで出来れば上出来よ。うん、リッカが何か馬鹿なことを言っているわね。


「私の食事は危険物か、リッカ!」

「あ、サーシャ様!良かった〜、間に合った〜。」


全く、禁断症状てなによ!


「サーシャ様、作業はどこまで進みましたか?」


「あー、それね、成功したわよ。ただ、魔力も日数も余裕があったから、ちょっと調子に乗ってゾンビハウスとマルコ遺跡両方とも、私の物にしちゃった。あ、でも、まだダンジョンコアの書き換えが終わっただけで、そこ以降の改良はしてないわ。」


「は!この3日で一気にそこまで進めたんですか!」

「サーシャ様、凄〜い!」


「お姉様、これからは他の遺跡でも、最下層まで行かなくてもダンジョンコアをハッキング出来るのですか?」


「さすがに、そこまで都合良くいかないわ。今回はゾンビハウスとマルコ遺跡のダンジョンコアが互いに繋がっていたから出来た芸当よ。他の遺跡の場合は、最下層に行ってハッキングしないとね。」


「そうなんですか。でも、今後は訪れる遺跡の最下層でハッキングすれば、そのダンジョンはお姉様のものになるんですよね。人が死なないダンジョンになるんですよね!」


なんか、イリスが凄いやる気になっている。


「ええ、そうよ。」


「でも、このマルコ遺跡は既に師匠のものになったということは、ビルブレムの冒険者ギルド長に報告しないといけませんね。」


「ギルド長には報告しない。」

「え、師匠、報告しないんですか!」

「お姉様、理由を聞いても宜しいですか?」


「近い未来、大きな危機が訪れることがわかっている場合でも、対策は下っ端連中にやらせて、自分達は目先の利益に食い込んでくる奴らが多いからよ。報告したら、ガルディア帝国のお偉いさん方がダンジョンの利益欲しさに群がるに決まってる。それに、ダンジョンの書き換え能力が出来るのは、現状、私だけ。絶対に、お偉いさん方が私を自分の勢力に取り込むため、あの手この手で色々と行動を起こすはずよ。そんなしょうもない事に巻き込まれるのは御免よ!」


「う、言い返せません。お姉様の言う通り、そういう人はスフィアートにもいます。」

「レーデンブルクにもいるよ。」


「とりあえず、ゾンビハウスはもう閉鎖してあるから、ここを脱出してマルコ遺跡最下層に移動したら現状のシステムを維持しつつ、人が死なないように改造するわ。私達がガルディア帝国に出て行く時に、遠隔操作で本格的に改造するつもりよ。すぐ騒ぎになったとしても、シラを切るつもり。」


「師匠、徹底してますね。」

「当たり前でしょ。権力争いに巻き込まれるのは御免よ。」

「お姉様、もし勘付いて、力尽くで襲ってきた場合は?」

「2度と襲って来ないように、相手を半殺しにして、転移で適当な場所に送り返す。」

「「「「やっぱり。」」」」


フィン、イリス、ジン、リッカが同時に言った。


それにしても、今回のハッキングの成功は、私にとって大きな糧となったわ。ゆくゆくは、サリアのいるスフィアタリアの管理世界に行って、システムへ直接介入するつもりだけど、それが不可能な場合もありえる。その時はハッキングして、システムを書き換えないといけない。上手くいけば種族を人間に戻せるかもしれない。



---もし人間に戻り、桜木君に会いに行ったら、どう思われるだろうか?桜木君は桜木君で、私を人間に戻す方法を探してくれている。私は、桜木君のことをどう思っているのかな?今の時点で、モヤモヤしてよくわからない。一度サーシャとして会えば、はっきりするかもしれない。



「お姉様、どうかしたんですか?」

「ううん、なんでもないわ。まずは、昼食にしましょう。さすがに疲れたわ。」



○○○



-----昼食終了後、喜平さん、志郎と加代が色々と話をしていた。今は、浄化の準備中、これが喜平さん、志郎、加代達家族にとって最後の会話となる。


「兄上、私は転生しても、兄上や父上といたいです。」


「加代、それは俺も同じだよ。母上は、もう転生しているんだろうな。出来れば、母上からまた産まれたいな。」


「私もです。」


「お前達、浄化される時は手を繋ぎ、同じことを強く思うようにしよう。」

「「はい!」」


出来れば希望通りにして上げたいけど、さすがに現状の力では無理ね。せめて、私も浄化される全ての人々の願いが叶う様、思いを込めて浄化しよう。


「喜平さん、志郎、加代、浄化の準備が整いました。」


「サーシャ、ゾンビハウスの代表者として、お礼を言わせてもらうよ。君がここに来なければ、皆、未来永劫囚われの身だっただろう。本当に感謝する。」


「サーシャさん、ありがとう。」

「サーシャお姉さん、ありがとう。」


こちらこそ、ありがとう。貴方達のおかげで、ハッキングやシステムの書き換えという方法を思いつき、実践することが出来た。これで、私が人間に戻れる可能性も大きくなった。


「浄化を始める前に、ジン、リッカ、フィン、、イリス、貴方達から少し魔力を貰うわよ。」


「サーシャ様、それは構いませんが、何か意味があるのですか?」

「そうだよ、サーシャ様1人でも全然問題ないはずだよ。」


「ふふ、浄化が終わったらわかるわ。」


そう、浄化が終わったら、私達全員、驚くことになるでしょうね。


「し、師匠、その笑顔が何故か怖いです。」

「お姉様、私の魔力が必要なら差し上げます。」


これで、全ての準備が整った。


「それでは、浄化を始めます。」


ゾンビハウス全ての空間に、さっきもらった全員の魔力を注いだ。


「喜平さん、志郎、加代、いくわね。『グラッジピュリファイン』」


唱えた瞬間、3人の身体そして空間自体が光輝いた。


「父上、お兄様、凄く気持ちが良いです。なんだか眠くなってきました。サーシャさん、あ--りが--とう。」


「父上、俺もです。サーシャさん、あ--りがとう---ござい----ます」


2人の身体が浄化された。すると、喜平さんから涙が溢れた。


「サーシャ、本当にありがとう。これで、私達はゾンビハウスの呪縛から解放された。君も幸せになってくれ。あ---り--がとう」


3人が浄化されると同時に、ゾンビハウスの空間全てが光輝いた。その時、どこからともなく、『ありがとう』と数多くの感謝の声が聞こえた。



----光が収まると、空間には清涼感と静けさが漂っていた。


「イリス、フィン、泣いているの?」


「お姉様、ゾンビハウスには一体どれだけの人々が囚われていたのでしょうか?みんなが私達にお礼を言っていました。」


「師匠、私、ゾンビハウス製作者が許せないです。多くの人達がお礼と自分達の仇を討って欲しいと言っていました。」


「そうね、ゾンビハウスには全部で10個の異空間があって、合計するとおよそ千人の人々がいたわ。その殆どの魂が邪王に喰われてしまったけど、大凡10%程のゾンビが魂を宿していた。皆、仇を討って欲しいと願っていたわね。ダンジョンコアを掌握することで、製作者が何者かがわかった。名前は、涼見凌一、日本から異世界スフィアタリアへ召喚されたメンバーの1人よ。ただし、涼見は召喚されてから、最低でも500年は経っているわ。」


「師匠、その人は生きているんですか?」


「生きているわ。死んでいたなら、ダンジョンコアには別の名前が刻まれているはず。必ず見つけだして八つ裂きにしてやる。涼見もゾンビハウスに異常が起こったことに気がつくはず。近いうちに会えるでしょうね。」


「お姉様、その男にダンジョンコアを奪われる危険性はないんですか?」


「それに関しては、大丈夫よ。ゾンビハウスとマルコ遺跡のダンジョンコア自体に『ディストーションフィールド』を付加させてあるし、発動すればすぐにわかるわ。」


発動した瞬間、そこに転移して、涼見をボコボコにしてやる。


「あー!嘘〜なにこれ〜!フィン、イリス、自分のステータスを見てみなよ。」


「おい、嘘だろ!サーシャ様が俺達に魔力を求めたのは、これを実現させるためだったのか!」


リッカも、ジンも気が付いたわね。


「ふぇ、ステータス?ふぇ〜〜〜、なにこれ〜〜〜!し、し、師匠、き、き、基礎能力値が19000になっているんですが!」


「にゃ〜〜〜、お、おお姉様、私も魔力が26000、それ以外も10000になっているんですけど、なにをしたんですか!」


お〜、お〜、2人とも全身震えながら喋っているから変な感じだ。


「あのサーシャ様、俺も改造してもらった当初は、36000位だったのが、20万まで上がっているんですが!」


「私も32000位だったのが18万位になってます!」


お〜、ジンもリッカもかなり上がったわね。2人には邪神の加護が付いているから、上がり方も半端じゃないわね。Aクラス邪族から神獣に改造したせいで、基礎能力値が大幅に増加し、レベル1からのスタートになった。それが、今は55と52か。リッチを完全に追い越してしまった。


あ、自分のを見てなかった。ステータスを見ると、-----ちょっと!


【運以外のステータスは、上限の1億を超えたため、表示出来ません。】


「ちょっと何よ、これ!なんで私だけ表示出来ないのよ!」

「ひゃ!師匠、どうしたんですか?」


「私のステータスが表示されなくなったのよ。上限の1億を超えたせいですって。」


「「「「え?ということは、最低でも1億!」」」」


私の数字を言った瞬間、4人全員震え上がった。邪神のせいか、レベルアップ時の能力値増加が非常に大きい、というか大きすぎる。絶対、管理世界のシステムにエラーが生じているわね。


「そうそう答えを言ってなかったわね。これはね、ゾンビハウスクリアボーナスと全てのゾンビを浄化した時に生じた経験値よ。それらが合わさって、レベルがプラス40アップになったのよ。ただ、これだけは覚えておきなさい。この経験値は、亡くなった人々の経験値でもあるの。亡くなった人々を幻滅させないよう心がけて、これからも生きていきなさい。」


「そうか、ゾンビハウスのゾンビは全員が元人間、あの人達の言葉は、確かに頭に響いてきました。【ありがとう、少ないがあなたの強さに繋がりますように。どうか仇を討って下さい。】と色々と言っていました。あれは、こういう意味だったんですね。師匠、このレベルアップで慢心せず、もっと強くなっていきたいと思います。あと、師匠はどれだけ強いんですか!」


「お姉様、私も亡くなった人々に対して、恥ずかしくない生き方をしていきます。このレベルアップを無駄にしません。あと、非常識にも限度がありますよ。1億てなんですか、1億て!」


フィンとイリス、亡くなった人々にお礼を言いつつ、私にナイスツッコミをいれてるわね。


「ジンやリッカは、スフィアタリアで産まれたのだから、能力値に関しては管理システムに大きく依存している。まあ、私が改造したせいで、半分逸脱しているけどね。私の場合、邪神という管理システム外の存在だから、システムにエラーが発生したんでしょう。そのせいで、能力値がとんでもないことになっているわ。今度からお仕置きする時は、注意しないとね。グリグリ攻撃で加減間違えたら、とんでもにことになるわ。」


「ひ!師匠、お仕置きの時は、今以上に本当に加減して下さいね。」

「そうだよ。サーシャ様のお仕置きは、凄い痛いもん。心に響くもん。」


本当に注意しよう。


「さて、これでゾンビハウスを完全攻略したわね。今から、マルコ遺跡の最下層に行くわよ。やっと、女神スフィアの次のメッセージが聞けるわ。」


「フィン姉、これって完全攻略と言えるのかな?何か違う気がするのは、私の気のせいなの?」


「イリスは、おかしくないよ。私も同じこと思ったからね。師匠の攻略方法がおかしいんだよ。」


なんか、フィンとイリスがブツブツ言っているわね。

まあ、気にせず、次に進みましょう!


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