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ゾンビハウス攻略-7 第2任務開始

翌朝、私達は第2任務に向けて山を下りた。300m程下ると、看板が見えてきた。内容は、ジンから聞いていた通りだ。どうやら私達以外の冒険者7人も、広い敷地のどこかにいるみたいだ。フィンの話だと、道場で3人が殺されたそうだ。残りの冒険者と鉢合わせする可能性があるわね。


「残り人数に変化はない--か。さあ、第2任務の城下町に行きましょう。」


山を下りる途中、案の定、犬ゾンビや狸ゾンビ、熊ゾンビが襲って来たが、返り討ちにしてやった。


「師匠、容赦ないですね。もしかして、まだ怒ってますか?」


全員が《ビク》となっていたが、


「え、ああ、怒ってはいないわ。地下に落ちて、周りは何千、何万のネズミゾンビだらけを想像してみなさい。当分、動物ゾンビを見たくないだけよ。見つけ次第、即排除ね。」


何万のネズミと聞いて想像したのか、イリスの顔が真っ青だった。城下町に到着すると、本来なら活気があって賑やかな所なのだろう。でも、ここはゾンビハウス、至る所にゾンビがいた。とりあえず、自我があるか確かめよう。


「すいません、身体、大丈夫ですか?ここの城下町は何という名前なんですか?」

「う〜〜あ〜〜う〜〜〜が〜〜〜」


あー、やっぱり話通じないや。


「し、師匠、何普通に話し掛けているんですか?」

「自我が残っているかな〜と思ってね。試しにね。」


フィンも余裕が出てきたみたいね。ゾンビを浄化しながら、私に話し掛けてるよ。


「お姉様、どう見ても残ってないですよ。」


うん、イリスにも余裕がある。大分慣れてきたわね。


「見たいね、ゾンビが多くなってきたし、とりあえず、そこの乾物屋に入りましょう。」


建物に入ると、ゾンビの動きが止まり、皆離れて行った。そこはゲームと同じか。このゾンビハウス製作者、もしかしたら日本からの召喚者なのかもしれない。結構、ゲームに忠実にしているところがある。召喚者の場合、ユニークスキルを必ずもらえるから、内容にもよるけど、大規模召喚も可能だと思うし、ゲームのようなダンジョンも作ることが可能だと思う。でも実行するには、莫大の魔力が必要だ。私達の前の異世界召喚は約100年前、普通なら全員死んでいる。しかし、私のような例外もある。種族が邪神になったせいで、姿はずっとこのまま、寿命というものも存在しなくなった。私のように、何らかのイレギュラーが発生し、神のようになった召喚者がいるかもしれない。ゾンビハウスを攻略したら、これまでの召喚者の事を調査してみよう。



「さて、また別行動をしましょうか。今度はどう分けようかな?うーん、ジンはイリスとフィンを連れて、魂を宿したゾンビを探すこと、見つけたら浄化せず放置ね。今、自我を完全に取り戻す方法を考えているところだから。あとは、ゾンビとなってしまった原因を探ってちょうだい。」


「はい、サーシャ様とリッカは何をするんですか?」


「私とリッカは、自我のないゾンビを浄化しつつ、一度あの城に侵入してみるわ。今の状態で城主と会うと、どうなるかを確認してみる。ついでに、城主に自我があるかも確認するわ。それ次第で、今後の方針が大きく変わってくる。自我が完全に残っていたら、私としても嬉しいのよね。情報次第で、昨日思い付いたあの方法が使えるかもしれない。それが上手く行ったら、ゾンビハウスをすんなりと攻略出来るからね。」


ただ、私自身、日本でそれを実際に試したことがない。今回は、魔法でやるのだから、成功するかどうかもわからない。でも、これが上手くいけば、サリアのいる管理世界のシステムの書き換えに大きく貢献できる。ただ、日本でそれをやったら、ゲームを真剣に取り組んでいる人達から、批判されるだろうな〜。私がブログをやっていたら、かなり荒れるだろう。ブログ閉鎖に追い込まれるんじゃないかな。ふふふ、ここはゾンビハウス、非難する人は誰もいない。


必ず成功させてみせる!


「師匠、何か良からぬ事を考えていますね。」

「ですね。こういう時のお姉様は、反則紛いのことをするはずです。」


げ!読まれてる!


「よくわかったわね。確かに、城でやろうとしていることは、ゾンビハウス製作者から見たら反則に限りなく近いわ。でも、反則じゃないから大丈夫よ。あのネズミの鬱憤を晴らしてやる!ただ、現状までの情報だと、絶対に上手くいかない。全ては城主の情報次第ね。それでも成功するとは限らないから、貴方達は情報を集めておいてね。」


「リッカ、師匠が暴走しないように、しっかりと見張っていてね。」

「うう、嫌だよ。あういう時のサーシャ様は怖いもん!フィン、代わってよ!」

「絶対に、嫌!」

「そんなー!」


なんか失礼ね。リッカが、ジンとイリスを見ようとすると、2人は全力でリッカと目を合わせようとしなかった。


「馬鹿やってないで行くわよ、リッカ!そうそう、貴方達は、まず女神像を見つけておいてね。多分、宿屋らしき比較的大きな建物にあると思うわ。私がゾンビハウスの作成者なら、そうするわ」


「「「はい、わかりました!」」」


ジン、フィン、イリスと別れ、まずはリッカと一緒に城に向かった。結構、大きな城ね。ここからかなり遠いけど行ってみましょう。そういえば、これだけ大きな城下町だと、寺や神社があるはずよね。城に行ったら、地図を拝借しよう。


「サーシャ様〜、ゾンビ多いね。このまま、町ごと破壊しようかな?物理攻撃なら反則にならないし、いいですか?」


「どこの破壊神よ。そんなことしたら、手掛かりも失くなるでしょ!今回は、魂を宿しているゾンビもいるかもしれないから、それを確認してから浄化してね。少し面倒たげど。我慢しなさい。」


あら、何か甘い匂いがする?どこからかな?


「あー!サーシャ様、あの店にお菓子があるよ。美味しそうー!」


怪しすぎる。しかも、ゾンビが作ったお菓子、材料は考えたくないわ。店に行くと、お婆さんゾンビがいて、なぜか茶を飲み饅頭を食べていた。というか、飲んでいるのお茶なの?私が近付くと、突如お婆さんゾンビの目が見開いた。


「あ〜〜!あ〜〜〜〜!う〜〜〜あ〜〜〜!」


え、何?何かを必死に訴えているのはわかるんだけど、【あ】と【う】しか言ってないから、さっぱりわからない。少し自我が残っているのは確かね。店の中に入って欲しいみたいね。


「わかりました。入りますから落ち着いて下さい。」

「う〜〜う〜〜」


手を握られ、仕切りにお礼を言われた気がする。


「サーシャ様〜〜、お菓子〜〜。」


お前は、ゾンビか!


「ゾンビのお菓子は食べない方がいいわよ。材料が危ない物だと思うわ。リッカの大嫌いな物が入ってるかも?」


「う!止めておきます。」


店の中にある奥の部屋に入ると、4歳ぐらいのゾンビが苦しんでいた。これは、お婆さんゾンビを見ると、私に手を合わせていた。


どう見ても、

【お願いします。孫の病気を治して下さい】 だよね。


さて、どうしようか。魔法で治せば1発だけど、反則になってしまう。むう、仕方ない、奥の手を使うか。アイテムボックスからある物を取り出し、指に付けた。


「サーシャ様、どうやって治すの?」


「こうやるのよ。『キュア・ヒール』」


この魔法は、患者の中の毒物を除去し、体力を少し回復出来るのだ。


「え!え!サーシャ様、なんで魔法を使ったの?反則になるよ!」


「大丈夫、私は魔法を使っていないわ。この指輪が、私の魔力を通して、さっきの魔法を使ったの。だから、反則じゃないわ。ほら、何も言ってこないでしょ。本当は、リッカに見せたくなかったんだけどね。」


「えー、なんで?」


「リッカが向こう見ずに突っ走しって、ゾンビに噛まれ猛毒状態になったところで使いたかったのよ。そうすれば、貴方も反省して、少しは控えめな行動をとれるようになるんじゃないかなーと思ってね。だから、そうなるまで見せたくなかったの。」


「うー、私は何も考えず行動する馬鹿じゃないよ〜〜。」


まあ、これで少しは反省するでしょ。さて、本来ゾンビに回復魔法を使うと、身体に大ダメージを与えるんだけど、そこはきちんとイメージして身体に一切作用せず、ゾンビを苦しめるものだけを排除するようにした。子供ゾンビが光り輝き、光が治ると元気になっていた。


「う、うう、あ、あれ、苦しくない?なんで?」


嘘!完全に自我を取り戻してる。なんで?


あ、そうか!あの時、子供の身体に一切触れず、中の苦しめる物だけ排除するように意識を集中させたせいだ。それで、ゾンビ製作者の縛らみも苦しめる物と判断されて消失したんだ。予想外の収獲だわ。


「もう大丈夫よ。あなたの病気は、私が治療したからね。」


「本当!お姉ちゃん、ありがとう!お婆ちゃん、この女の人凄いよ。元気になったし、身体の中の縛らみがなくなったよ!」


あ、お婆ちゃんゾンビにもやっておこう。


「お婆ちゃんにもやりますね。『キュア・ヒール』」


お婆ちゃんゾンビが光り輝いた。


「-----ああ、ああ、ああ、本当に普通に喋れるよ。ありがとうございます、ありがとうございます。神様、ありがとうございます。」


この子は、この病気の状態のまま苦しみながらゾンビになったのね。魂を宿したままゾンビになったせいか病気は消えず、延々と苦しみ続けていたんだわ。唯一の救いは、普通の町民ゾンビとしての設定だから、比較的自由に動けたことね。


せっかく自我が戻ったんだし、色々と聞いてみよう。


「お婆ちゃん、早速で悪いんですけど、この城下町に何があったか教えてくれませんか?」


「ええ、勿論ですとも、ありのまま起こった事をお話しします。」


お婆ちゃんから聞いたことをまとめると、こんな感じだ。


1)その日は快晴だったらしく、町のみんなはいつも通りの生活をしていた。しかし、夕方から突然雲が出て嵐となった。嵐は丑三つ時まで続き、翌朝になると快晴になっていた。この時点で、誰も異変に気づかなかったそうだ。


2)異変に気付き始めたのは飛脚たちだ。隣の国まで届けるため、城下町の門を出ようとしたら、見えない壁にぶつかり城下町から出れないことがわかった。町の住民は混乱し、急いで城主に報告した。ここの城主は、住民達こそが我が藩を支えていると断言しており、住民達から来る意見を真摯に受け止め対応してくれる素晴らしい人だそうだ。


3)話を聞いた城主は急ぎ調査をしたが、原因が皆目わからなかった。そして、異変はさらに続いた。地震が頻繁に起こるようになったのだ。この地震がキッカケとなったのか、周りの人々が徐々に元気が失っていき、町の活気も急速に失っていった。


4)見えない壁が現れて、約1ヶ月、調査は続行しているが依然原因不明のままである。町の住民達には生気がなく、ついにさらなる異変が起こった。住民の1人が奇声をあげ、皆を噛み始めたのだ。その住民は、こちらが話しても無反応で「あ〜」「う〜」としか言わないらしく、話が通じない。やもえず、見回りの武士の人が斬り捨てた。


5)ここから、住民達がおかしくなった。噛まれた人達が高熱となりうなされ、皆あの住民のように寄生をあげるようになった。正常な住民達は、次々と噛まれ異常者となっていき、ついには自分自身も、病気で床についている孫も噛まれてしまったそうだ。


6)ただ、このお婆ちゃんは噛まれて以降、孫を守りたい一心に、ずっと店の中に隠れ噛みたい衝動や何かが身体の中を侵食してくる現象を必死に抑えたそうだ。孫の方は、元々病気で苦しんでいたため、噛みたい衝動を感じなかったみたい。無意識に抑えていたのだろう。しばらくすると衝動や侵食はなくなりはしたが、同時に喋れなくなったそうだ。


7)店に篭ってから何日かして町の外を見てみると、そこには異常者で溢れかえっており、そこには異形のもの(邪族)もいて、何かを探し攫っていたそうだ。異形の者がいなくなると、町は異常者だけとなった。そこ以降、たまに来る人間を見つけては必死に救いを懇願していたが、全く伝わらなかったそうだ。何百年と救いの主を探し続け、ようやく私を見つけ必死に懇願し、それが伝わったと。見ただけで、この人ならと思ったらしい。お年寄りの直感、侮りがたしね。



なるほどね。ゾンビになった原因は現状わからないけど、ここまで至る経緯はわかった。こうなると尚更、城主にあって自我を完全に復帰させてから、事情を聞かないとね。



この第2任務、必ず原因を突き止めてやる。


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