ゾンビハウス攻略-1
「あの師匠、ここはどこですか?」
「お姉様、窓から大きな山が見えるんですが?」
私が建造した宿泊施設。設定は富士山から少し離れた和風旅館。富士山に関しては、私のイメージで窓に投影しているだけだ。
「ここは、私の生まれ故郷を基に再現した部屋。外に見える山は、富士山といって、その国で最も高い山なの。」
「ふぇ〜〜〜〜、凄い高い山!」
「お姉様、私達は靴脱いでいるんですけど良いんですか?」
「いいのよ。私達が今座っている部屋は和室といって、下に敷かれている物は畳というの。この上では、絶対靴は駄目よ。靴を履いて入ったら、問答無用でお仕置きだからね。さて、夕食を出すわね。」
今回のメインは、しゃぶしゃぶだ。もちろん物足りないだろうから、今までとは違った味付けをしたオークカツや唐揚げ、ハンバークなども用意した。今度は、炒飯や餃子、パスタとかに挑戦してみよう。ここ最近、全員の要望で料理が同じなんだけど、そのうち飽きてくるだろうからね。
毎回毎回思うんだけど、私が作った食事に関しては争奪戦になるわね。今回、味付けが違うからか、全員目が血走っているのよね。
「貴方達、もっとゆっくり落ち着いて食べなさいよ。」
「サーシャ様、無理だよ。みんな美味しいもん。特に、このしゃぶしゃぶ、味自体は少し薄いけど、なぜか幾らでも入るよ。ライスはないんですか?」
リッカ以外、黙々と食べている。話す分、取られるからだろう。
「今回、ライスは最後に食べるわ。雑炊といって、料理の最後に食べるの。」
------夕食終了。全員、至福の顔をしていた。
「師匠、最後の雑炊は最高ですね。胃が重かったのがなくなりました。」
「うう、お姉様、動けません。」
「サーシャ様、毎回美味しいご夕食をありがとうございます。」
「サーシャ様、雑炊、凄く美味しかったです。最後なのがわかりました。」
ふふ、満足出来たようね。
「もう少ししたら、お風呂に入りましょう。広くて、凄く快適よ。」
休憩後、ジンを除く4人がお風呂場に入った。ドアを開けると、そこは大浴場だった。
「ふぇ〜〜、なんですか、この広さは!」
「お姉様、これを1人で作ったんですか?」
「まあね、邪神がいた異空間と繋がっているから、私のユニークスキルが使えるのよ。イメージだけで、簡単に作れたわ。」
「広い広い!サーシャ様〜〜、一緒に泳ごうよ。あははは〜〜。」
大浴場は、泳ぐ所ではないんだけど広いからいいか。湯船に入ると快適な温度だった。私のイメージ完璧ね。というか、黒幕が判明したら、ここに連れて来て殺せるような気がする。まあ、そんな甘くないと思うけどね。
「ふー、気持ちいいわね。」
「お姉様〜。凄く温かくて気持ち良いです。明日、ゾンビハウスに行くとは思えないです。」
そうね、ゾンビハウスか、これまでの情報をまとめると
1)出現する場所は5階層おき。
2)ある時は、見た事もない大きな屋敷があって、屋根には鬼が敷き詰められており、内装も不思議な物ばかりあったらしい。
3)クリアするためには、最低3つの任務をこなさないといけない。
4)魔法禁止
5)出現する邪族は、ゾンビのみ。ただし、人型もいれば動物型もいる。
6)噛まれた場合、ゾンビにはならないが猛毒状態となる。放置すると、24時間以内に死ぬ。
こんな感じかな。まあ、あとは入ってからの楽しみにしておきますか。
「みんな、湯にあまり長く入ってたら、のぼせるから注意してね。」
4人で楽しくお風呂に入り、和気藹々と話しながら身体を洗った。
入浴後、疲れもあったからか、全員すぐ眠ってしまった。
ちなみに、私達がお風呂から出た後、ジンも1人で寂しく入浴しました。
開放感はあるだろうけど、あの広さで1人は本当に寂しそうだ。
○○○
全ての準備が整い、6階層の右扉の正面に来た。おいおい、昨日と内容が変化している。
【ゾンビハウス。現在の冒険者は、10人。これより、ゾンビハウスを脱出するまで、魔法の使用は禁止とする。】
「ふぇ、冒険者の人数が減ってる!」
「私達以外に10人か。どこかで会うかもね。ともかく、フィンとイリスの訓練に丁度いいわ。ただし、私の魔法の効果も消えるから注意しなさい。舐めてかかると、本当に死ぬからね。」
「「はい!!」」
私達は、ゾンビハウスへと繋がる大きな扉を開けた。
-----そこは、あたり一面、森だった。でも、さっきまでと明らかに雰囲気が違う。なるほど、本当に幽霊いやゾンビが出る雰囲気だ。細いが一応1本道がある。後ろは壁、ということはここを進んでんで行けということか。
「お姉様、あの----雰囲気が5階層までの森林と全然違います。何か怖いです。身体が震えます。」
「師匠、私もです。この感じは、なんなのでしょうか?」
2人には、この経験がないんだ。そういえば、この世界では怨念などの思念を持った魂は、邪王に運ばれるんだったわね。
「私にとって、この感覚は久しぶりね。お化け屋敷を思い出すわ。元いた世界には、実体のない【幽霊】というのがいるのよ。幽霊は神出鬼没、どこにでも現れるし、どんな物理手段も効果なし。しかも、相手を恐ろしい目付きでみるから、かなり怖い!たまに実体化して、悪さする霊もいるわね(多分)。-------今、リッカとイリスの後ろに長い髪の女の幽霊が!」
「「にゃああああああ〜〜〜!」」
リッカがジンの後ろに、イリスが私の後ろに隠れた。
「冗談よ。」
「お姉様!脅かさないで下さい。」
「そうだよ、サーシャ様!」
「イリスはともかく、リッカがなぜ怖がるの?」
「わからないよ。なんか、震えるの。」
本能的に怖がるのかしら?
「人は、目に見えないものを恐れるというからね。自分の魔力か武器に聖属性を込めて攻撃すれば、幽霊もゾンビも斬れて浄化されるから安心しなさい。ゾンビハウスに実体のない幽霊が出現するかはわからないけどね。フィンとイリスには宝石アクアマリンがあるし、ジンとリッカも聖属性を使えるから問題ないわね。それより、ジン、ちょっとこっちに来て。」
私とジンは、3人から少し離れたところへ移動し、あることを確認した。
「サーシャ様の読み通りですね。早速教えておきましょう。」
「待ちなさい、教える必要はないわ。リッカ、フィン、イリスには、何も知らせず、このまま進みましょう。あの3人は緊張感をもたせて、ゾンビハウスに挑ませましょう。特に、リッカは向こう見ずに突っ走る傾向があるから丁度良いわ。アイテムはジンに渡してあるから、あとでリッカに渡しておいてね。」
「わかりました。確かに、リッカにとっては良い勉強になりますね。」
3人のところへ戻り、今後の行動内容を発表した。
「まずは、この1本道を探索しながら進んで行きましょう。この階層のクリア方法を探さないとね。別行動をとる時は、私・フィン・イリス、ジン・リッカで行きましょう。多分、途中から別行動になると思うわ。さあ、出発よ。」
「「「「はい!」」」」
周囲を気にしつつ、道を進んでいくと、大きな木で出来た和風の門があった。なんで木?なんで和風?この先に洋館があるなら、ヨーロッパ風の門があるのでは?門の横に立札があった。
【任務1
正しい手順で屋敷の敷地内から脱出すること。誤った手順を使った人は、強制的に地上へ排除します。】
「サーシャ様、これはどういうことですか?」
ジンも困っているようね。
「簡単な話よ。私・ジン・リッカは、やろうと思えば屋敷自体を跡形もなく破壊してから脱出することも可能よ。でも、それは正しい手順ではない。力尽くで行う反則技ね。そういう反則技は禁止てことよ。」
「なるほど、力尽くは禁止ですか。リッカ気をつけろよ。」
「なんで、私に言うの?ジンも気をつけてよね!」
一番早く、リッカが脱落しそうだ。まあ、先に進みますか。
門を開けると、離れた所に大きな屋敷があり、そこまで道が続いていた。そして、森の中から唸り声が聞こえてきた。
「ひゃあ〜、師匠、もしかしてゾンビですか?」
「そうみたいね。いよいよ、ここからが始まりか。」
「お、お姉様、周囲を探った限り、周辺にいるゾンビはDクラス程ですね。」
「そうみたいね。私達の世界のゲームのように、進めば進む程、強くなっていくようね。」
「ゲーム?」
お、一番のゾンビが現れた。
-------えー、あのさ、現れたのはいいんだけどさ、何かおかしい。一応ゾンビはゾンビだ。
でもさ、なんで飛脚のゾンビなのよ。おかしいでしょ!
確かに怖いよ。でもさ、この心に溜まるモヤモヤは何なのさ!
「ジン、出てて来たよ。なんか気持ち悪いよ。討伐してよ。」
「お前なあ、はあ、仕方ないな。」
あ、ジンが聖属性の短剣で討伐された。
「ふぇ〜、師匠、あちこちから現れました。動物のゾンビもいます。」
「みんな、討伐しつつ前進するわよ。多分、こいつら無限に出てくるから。」
「いや〜、お姉様、早く行きましょう。」
出てくるゾンビ全てが和風だった。町娘、飛脚、お坊さん、商人などなど、恐ろしくリアルのゾンビだ。犬のゾンビもいたが、ドーベルマンではなく、柴犬・甲斐犬・紀州犬などの日本犬だった。みんな可愛いせいで、物凄く討伐しにくいわ。
歩き方が、あのゲームのゾンビと同じだ。でも和風なんだよね。そりゃあ、冒険者の人達も見たことないわね。序盤だからか人間のゾンビの速度が遅かったため、犬ゾンビを何体か討伐して、屋敷前にある門に到達した。
「これから、あんなのと戦うんですね。師匠は怖くないんですか?」
「あ〜、怖いというより呆れの方が強いわ。私の知ってるゾンビと少し違うからでしょうね。さあ、いよいよ屋敷に進入するわよ。」
全員に、さっき出現したゾンビ達の種類を一応教えておいた。
和風のゾンビということは、
《ギギイ〜〜〜〜〜〜〜〜》
--------門を開けると、そこには広い和風の屋敷が鎮座していた。
ブックマーク、評価をお待ちしています。




