パワーレベリング
お昼になり、フィンやイリスと合流すると、2人の顔つきが変化していた。うん、2人に探索に行かせて正解だっわね。ここ最近、私とばかりいるせいか、頼る傾向にあったのよね。いつかは離れるのだから、精神的にも強くなってもらわないとね。さて、第1回パワーレベリング用の邪族も用意出来たけど、ただ倒すだけじゃ芸がない。スキルも上げよう。
「フィン、イリス、お疲れ様。良い顔つきになったわね。」
「師匠、今まで師匠に頼り過ぎていたのが、痛い程わかりました。」
「お姉様、私達はもっと強くなりたいです。」
丁度良いわね。
「それじゃあ、お昼からは第1回パワーレベリング大会を開催するわね。」
「パワーレベリング?それで強くなれるんですか?」
「お姉様、強くなりたいので、何でもします!」
まずは1回目だから、簡単なものにしましょう。
「通常、邪族と戦い経験を積めば、人は強くなれます。しかし、ダンジョンに入り同レベルの邪族と出会えたとしても、レベル1上げるだけでかなりの数の邪族を討伐しないといけません。それだと、効率が悪過ぎる。そこで、急激に強くなるための方法がパワーレベリングよ。このダンジョンのレベルと、今のフィンやイリスのレベルには、かなりの差があるわ。ここで、短時間に大量の邪族を討伐出来たら、かなりのレベルアップとなります。」
「師匠、そんなことが可能なんですか?1階層でも、不意打ちによる即死攻撃や魔法攻撃で、あの魔法を発動させてしまいました。今の私とイリスでは、短時間で大量は無理です。」
「そのために、私がいるのよ。この1階層にいる邪族をとりあえず40体程集めて、2つの空間に放り込んであります。また、集めた邪族全て瀕死状態にしてあります。
2人の顔色が変わった。どうやら理解したようね。
「お姉様、その邪族達をフィン姉と私で一気に討伐すればいいのですね。」
「そんな方法があったなんて。でも、師匠、待って下さい。その方法なら、確かに急激にレベルアップし基礎能力値も大幅に向上しますが、肝心のスキルのレベルが上がりません。」
「そうね。そこがパワーレベリングの欠点よ。本来なら少しづつ経験を積むことで、スキルも成長していくからね。今回はそれを少しでも補うため、現状の貴方達が出来る限界の技か魔法で、邪族達を討伐してもらいます。」
「なるほど、今、私達が持つ技術全てを使って討伐すれば、スキルレベルも上がりますね。師匠、今からやるんですか?」
2人ともやる気が漲っているわ。さっきまでの探索で、色々とあったみたいね。
「お昼ご飯を食べてからね。約束通り、ご馳走にしてあげる。その前に、ジンとリッカを呼び戻しましょう。」
ジンとリッカを呼び戻すと、2人は爽快な顔をしていた。大暴れして、大分ストレス解消出来たようだ。
「サーシャ様〜、このダンジョン凄く面白いよ!邪族もそこそこ強いし、準備運動には持ってこいだよ。」
「久々に身体を動かせました。」
「ジンとリッカは、何階層まで行ったの?」
「9階層〜!」
「6階層からはAランクばかりだったので、準備運動にもなりました。」
たった数時間で9階層まで行ったんだ。物凄いハイペースね。Aランクでも、ジンとリッカにとっては準備運動になるのか。まあ、当然か。
「それじゃあ、今から昼食作るから休憩しておいてね。」
今日の献立は何にしようかな?そういえば、4人ともガーリックライスを食べたがっていたから、ガーリックライス・ステーキ・サラダ・フルーツにしておいて、新作としてハンバーグを作ろう。ハンバーグは、王都にもスフィアートにもなかったわね。また、ゲイルさんにレシピを教えてあげよう。
------料理完成!ハンバーグも初めてとしては上出来だ。
「さあ、でき、」
後ろを振り向くと、全ての準備が整っており、4人ともテーブルに座っていた。あとは、最後に出来たハンバーグを運ぶだけだ。
「し、師匠、その丸い物体は何ですか?凄く良い匂いがします。」
「これはハンバーグよ。元いた世界では、大人から子供まで幅広い世代に好かれている料理なの。貴方達は、ステーキがいいて言っていたからないわよ。」
4人とも、この世の終わりかのような悲壮感漂う表情をしていた。
「ふふ、冗談よ。ちゃんと用意してあります。」
アイテムボックスから4人分のハンバーグを取り出した。
「「「「「おーーーーー」」」」
「それじゃあ、食べましょうか。」
4人とも一斉に食べ始めた。毎回思うけど、凄い勢いで食べるのよね。ちなみに、休憩中は『クリーチャーリーブ』を使用しているので、邪族が侵入してくることはない。
「師匠、このハンバーグという料理、切った瞬間、肉汁が溢れ出てきて凄く美味しいです。まさに、至高の料理です。ステーキも良いですが、ハンバーグもまたいいです。師匠のいた世界には、こんな美味しい料理が沢山あるんですね。」
「お姉様、私的にはステーキよりハンバーグの方が好みです。
「サーシャ様〜、私はハンバーグが気に入ったよ〜。凄く美味しい!」
「私は、ステーキの方が好みですね。」
やはり、ハンバーグはどこの世界でも人気がある。特に子供に!まあ、これで緊張感は、少し薄まるでしょう。
○○○
昼食が終了し、いよいよ第1回パワーレベリングを行うことになった。40体の邪族は上空にある縦横奥行き各10mある空間2つに閉じ込めている。まずは、空間を固定したまま、フィン用の邪族20体を地面に降ろした。
「フィン、この邪族達を今出来る限界の技か魔法で討伐しなさい。」
「私の魔力を全て使ってもいいですか?」
「いいわよ。あとで、譲渡してあげるから。」
「わかりました、やってみます。」
フィンの雰囲気が変わった。さて、どんな技か魔法を見せてくれるのかな?
戦争が終わってから、祭りの期間、料理ばかりでフィンと殆ど話していない時間があった。その時に、リフィアさんがフィンの相談に乗ってくれたのよね。どうもリフィアさんが使った『ダイヤモンド・レイン』に惚れ込んだようで、自分も液体窒素を扱えるようになりたいと、リフィアさんに頼み込んだらしい。現在、少量ではあるけど、使えることが出来るそうだ。液体窒素はすぐに気化するから、液体の状態で維持するのが非常に難しい。今のフィンのレベルでどこまで出来るかな?
お、液体窒素が出現した。どんどん大きくなっている。何か形を作ろうとしているけど、不安定ね。それに氷魔法だけでなく嵐魔法も使っている。これは制御がかなり困難よ。どうするつもりなのかな?
「フィン、焦らなくて良いわ。自分の理想に近づけるために、少しづつ形を作っていきなさい。」
落ち着いたのか、液体窒素が安定してきた。そして、フィンがどんな形にしたいのかはわかった。-------多分、ドラゴンだ。液体窒素をドラゴンの形にし、そこに嵐属性を加える事で、まるで生きているかの様な状態にする。それを敵にぶつけたいわけか。うーん、これは確実に理想通りに成功しないわね。ある意味、今の状態の方が怖い。だって、液体窒素がドラゴンゾンビになっていて、シューシューと声を出している様に見える。ここで限界かな。
「はあ、はあ、うー限界!『アブソリュート・ドラゴン』」
体長5m程のドラゴンゾンビが叫び声を上げながら、瀕死状態の邪族達に直撃した。邪族達は叫び声を上げながら凍りつき粉々になった。まあ、一応成功かな?
「うーん、フィンが何をしたいのかは伝わったけど、形がドラゴンゾンビ、操作が甘過ぎる、無駄が多過ぎる、以上のことから30点かな。」
「ガ〜〜ン、限界までやって30点ですか!うー厳しい。」
「完成には程遠いわね。でも、もしそれが完成すれば、敵単体への攻撃力はリフィアさんの『ダイヤモンド・レイン』を超えているわ。あとは、修行あるのみよ。頑張りなさい!」
「はい!絶対に完成させてみせます。」
Bクラスを20体討伐したから、フィンのレベルが25になった。基礎能力値も平均4500位か。うんうん、これなら『魔力纏い』を使えば、Aクラスとギリギリ戦っていけるかな。
「フィン、レベルを確認してみなさい。」
「えー!レベルが25になってる。Cクラス遺跡をクリアした時は、22だったから一気に3も上がりました。基礎能力値も4500位になってるよ。」
「フィン姉、凄い!次は私の番か。」
「さあ、イリスもフィンと同じ様に限界までやってみなさい。」
さあ、イリスはどんな魔法を見せてくれるのかな?
うん、邪族のいる空間で電気が走っている。イリスの方も、炎魔法と嵐魔法で何かを作ろうとしているわね。お!大きな竜巻の火柱が上がった。これは、火災旋風というやつね。へえ、まだ範囲も狭く威力こそ低いけど、いつの間に合体魔法を唱えるようになったのかしら。どんどん圧縮してきて、------形が大型犬になった。イメージがしっかりしてる、可愛いわ。その大型犬を空間魔法で囲んだ。おいおい、大丈夫なの?3属性を同時に扱ってるわ。イリスを見ると、かなり厳しそうだ。あ、大型犬が邪族のいる空間に飛び込んで、空間魔法を解除した。
-----《ドゴーーーーーーン》
そして大爆発が起こった。なるほど、空気中にある水分を電気で水素と酸素に分解して、充満している空間の中に炎を入れ水素爆発を起こしたわけか。中にいる邪族達は全員死んで、幾つかドロップアイテムになっていた。
「なるほど、私から聞いたことを魔法に応用したんだ。凄いじゃない。」
「はい!あの何点でしょうか?」
「うん、50点かな。」
「げ!50点ですか、低い。」
「師匠、イリスは私より綺麗に出来てましたよ。」
「まあ、見た目はね。イリスが使った合体魔法は、『ファイヤーストーム』かな。まず、その威力が低い。わざわざ魔法をあんな大がかりに出現させる必要はない。イメージである程度圧縮させてから出して犬にすればいいの。そして、次が肝心なことよ。私の空間魔法で固定されていたからこそ、爆発の威力が大きかったの。もし、固定されていなかったら、爆発のエネルギーが拡散されて威力も軽減されていたわ。」
「あう!全くもって、その通りです。」
「でも、攻撃方法は悪くない。あとは、もっと合体魔法の練習を行って威力を向上させること、複数の魔法の同時使用に慣れることかな。さあ、レベルを確認してみて。」
「うわ!レベル23だ。基礎能力値もかなり上がりました。こんな楽に上がっていいのかな〜。」
レベルは23か。魔力も7000に到達したわね。フィン同様、なんとかAクラスとやりあっていけるわね。Bクラスと戦う上では、2人とも5階層まで、そう苦労する事もないでしょう。罠は別問題だけどね。次のパワーレベリングは2階層だ。さあ、私の魔力を2人に譲渡して、次の階層へと行きますか!
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