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シャドウの真髄

○○○ 桜木春人 視点


シャドウの真髄、どういうことだ?『精神一到』のスキルで、相手の真髄を見極めたはずだ。あ、待てよ!確か、ステータスの説明は、



ユニークスキル『精神一到』

精神を1つの事に集中すればする程、相手の真髄を見極め、討伐するための正しい手段を知る事が出来る。ただし、必ず相手を視認しなければならない。また、雑念があった場合は、この境地に至ることは出来ない。



これだ。俺は、まだ討伐するための正しい手段を見つけていない。集中すればする程という事は、俺自身がまだそこまでの境地に達していないということか!


「どうしました?今さら怖くなりましたか?それでは、ご覧下さい。我々の真の姿をね。」


3体のシャドウが横一列となり、それが------おいおい-----1つに重なった。体長3m、邪力は感じないが明らかに威圧感が増しやがった。手が震えている。これは、-----Sクラスだ。初めてだな、恐怖を感じているのか?それとも武者震いか?


「この姿に戻るのも久しぶりですね。これまでは、3体に分裂していましたから。それでは、いきますよ!」


!一瞬で俺との間合いを詰めやがった!ちい、シャドウの右ストレートをなんとか盾で防いだが、


《ベギ》

「ぐわ〜〜」


盾を壊され衝撃で吹っ飛ばされた。く、強い!合体いや融合か!先程とレベルが違う。


「良かった、死んでいませんね。これだけで死んでもらっては困ります。お次はこれです。『ダークボール』」


直径20cm程の闇の球が、シャドウの周りに形成され、俺目掛けて飛んできた。『精神一到』のおかげで、どの箇所を斬れば対処出来るかわかるが、-----


「くそ!数が多い!」


俺は剣に聖属性を纏わせ、次々と襲ってくるダークボールを斬り伏せるが、1個1個が重い。


「ほう、やりますね。どこに、そんな力があるのか不思議なものです。それでは、これをどう対処しますか?」


くそ、なんて重い攻撃だ。俺も、もう1つの切り札を使うしかない。


今度は、ダークボールがシャドウ周辺から次々と現れ、俺の全方位を囲み、一斉に俺目掛けて襲ってきた。ちい、今度は俺を覆って喰うつもりか!これは、避けられない、殺られる!


《ド〜〜〜ン》

「桜木〜〜〜〜!」


俺は闇に包まれた。やはり、この闇は俺を喰おうとしているな。だが、残念、そう簡単に死んでたまるか!もう1つの切り札を使わせてもらう。俺は、精神をさらに集中させ魔力纏いに雷属性を付与させた。まずは、この闇を取り払おう。全力で雷属性を圧縮し解放させた。


「は〜〜!よし、上手くいった。ふ〜〜、間一髪だな。島崎、俺は大丈夫だ。もう少しで完成だろ。頼むぞ!」


「あ、うん。」


どうやらシャドウも、これには驚いたようだ。


「なんですか、それは!これまでに見たこともありませんよ。」

「さあ、俺もここから本気でやるよ。」


この技、ステータスを見ると『雷闘気』と記載されていた。『魔力纏い』の応用技らしい。まだ、『魔力纏い』自身がレベル5と低いせいか、制限時間があり10分だが、基礎能力値を4倍近く上げてくれる。俺にとって最後の切り札だ。さあ、10分以内に討伐だ。


「面白い、その本気とやらを見せてもらいましょうか!」

「ふ、おい、これ何かわかるか?」


気付いてないか、シャドウが話し始める前に、既に右腕を斬って、俺が持っている。


「なに?馬鹿な!それは私の左腕、いつの間に!」


聖なる炎『ホーリーフレイム』で、シャドウの左腕を完全に浄化してやった。


「次は、お前の身体に叩き込んでやるよ。」


「面白い、さすが勇者ですね。ですが、ここは私の空間です。この程度のダメージなら、この通り一瞬で治るのですよ。」


知っているよ。俺自身の集中が一段階深くなったおかげで『精神一到』が教えてくれた。そして、討伐するには聖属性の高威力魔法が必要だ。今の状態のまま、もう1つのユニークスキルを同時発動出来れば問題ないだろうが、現状の俺の力量じゃ厳しい。討伐するには、島崎の新型魔法しかない。頼むぞ!



○○○ 島崎美香 視点



私から見たら、桜木以外、誰もいないように感じる。でも、いる、間違いなくいる!周りは闇1色だから、敵も闇そのものなんだろう。シャドウとか言ってたよね。始めは、桜木が予想以上に強いから驚いていたけど、シャドウの真髄を見せると言ってから、周りの空気が明らかなに変わった。凄い威圧感を感じた。ミスリルの盾が何かに殴られたのか急にひしゃげて壊れ、桜木が聖剣で何かを斬っているのはわかるんだけど、何も見えない。あいつ、一体どんな敵と戦っているの!-----え、今度は何?桜木がどんどん闇に覆われていく。そして、見えなくなった。嘘でしょ、私がもっと早くあの魔法を完成させていたら、----どうしよう、桜木が死んじゃった。


「桜木〜〜〜〜!」


その時、急に桜木がいた周辺が明るくなった。そして、桜木を覆っていた闇が取り払われた。


「は〜〜!よし、上手くいった。ふ〜〜、間一髪だな。島崎、俺は大丈夫だ。もう少しで完成だろ。頼むぞ!」


「あ、うん。」


良かった〜〜。死んだかと思ったよ。でも、あれはなんだろう?『魔力纏い』とは違う何かだよね。桜木自身から、雷みたいにバチバチ音が鳴ってるよ。


「さあ、俺もここから本気でやるよ。」


桜木がそう言った瞬間、私からは何も見えないけど、右手に何か持っていた。そして、それを浄化した。凄い、いつの間にシャドウに攻撃したの!あ、いけない、私も頑張らないと!桜木のおかげで、シャドウの姿は全く見えないけど、位置は把握出来た。


あとは、外側に闇属性を付与し、シャドウに悟られないように周辺にばら撒く。よし、準備完了!桜木を見ると、シャドウと何度も格闘戦を行い、聖剣で斬りつけているように見える。心なしか、雷が弱くなっている気がする。


「桜木〜〜、準備完了〜〜!!」

「わかった、今すぐ放ってくれ。」



「次は聖女か!何をするつもりですか。」

「OK!シャドウ、これでも喰らいなさい!『リフレクターホーリーキャノン』」


私は、以前開発した『シャイニングレーザー』をどう改良するか悩んだ。強力な一撃があるのはいい。でも、私自身が1人で敵と戦う場合は、その魔法は使えない。そこで私は、ある改良版を考えた。


1)魔力で創った直径30cm、50cm、1m、2mの凸レンズに、太陽エネルギーを限界まで集める。

2)太陽エネルギーを集めた凸レンズを私の『アイテムボックス』の中に保管する。本来は、集めたエネルギーは非常に不安定であるため、すぐに拡散してしまうが、時間が停止している『アイテムボックス』の中に保管することで、エネルギー拡散を防ぐことが出来る。

3)圧縮して放つ『シャイニングレーザー』を1発で終わらせるのは、非常にもったいないので、エネルギーを反射させる10個の直径の異なるリフレクターを魔力で創る(直径30cm×10、50cm×10、1m×10、2m×10)。凸レンズもリフレクターも、毎日コツコツと限界まで創っておいたのさ。

4)創った全てのリフレクターの中に聖属性を付与させ、各々に対応するシャイニングレーザーと同量の太陽エネルギーも込める。

5)放った各々の『シャイニングレーザー』は、リフレクターに反射される事に聖属性が強化されエネルギーも最大10倍強化される。


こうして改良されたのが、『リフレクターホーリーキャノン』だ。

ただ、ユニークスキルで創ったのはいいんだけど、凸レンズやリフレクターを使用するにあたって、現状の魔法を放った後の制御を考えると、直径50cmまでが限界だった。また、この『リフレクターホーリーキャノン』には、2通りの使い方がある。


1)1発目のシャイニングレーザーで邪族を貫き、反射強化させ再度貫く。これを10回繰り返し、邪族を討伐する技

2)AクラスやSクラスの場合、1発目のシャイニングレーザーの時点で受け止められるか、消し飛ばされる可能性もあるので、あえて当てず、最高10回反射強化させてから放つ超大技


今回の相手は、どう考えてもSクラス、現状使用出来る直径50cmのものを使って、2番目の超大技を放つ。まだ、制御するのが難しいから、1人で戦うには不向きな魔法だけど、いずれ使いこなしてみせる。



「は、その程度の光魔法で、私を討伐する気ですか?」

「そんな訳ないでしょう。これからが見せ場よ。」


私は、シャドウ周辺に散りばめられたリフレクターにシャイニングレーザーを反射強化させていった。聖属性で強化されたおかげか、シャドウの位置がわかった。最後のリフレクターをシャドウの真上移動させた。


「なに!これは、聖属性、しかも力が増していっているのか!これは、不味いですね。ここから---」


「おいおい、俺を忘れちゃ困るね。『雷衝』」

「ぐ、これは!雷の衝撃を体内に放たれたのか!」


おー、桜木、凄い。こちらも、これで!

真上のリフレクターに到達後、エネルギーがMAXとなった。ここから放たれるエネルギーを直径1mまで圧縮し固め放つ。


「シャドウ、これで終わりよ!いけー〜〜〜〜!!」


《ズド〜〜〜〜ン》


「なんだ!この凄まじい聖属性のエネルギーは、こんな事が〜〜〜この私が〜〜〜」


真上から放たれた最大強化の『リフレクターホーリーキャノン』が直撃し、シャドウは浄化されて消滅した。


「やった〜〜、桜木〜〜、討伐したよ〜〜。」

「おう、やったな!さすがに疲れた〜〜!」


シャドウが消滅したため、空間も消え、元いた場所に戻ってきた。


「美香〜〜!良かった、無事だったんだね。」

「夕実、久保、竜崎、心配かけてごめんね。」


「桜木、邪族はどうした?」


「竜崎、安心しろ!俺と島崎で討伐した。今回は、さすがに死ぬかと思った。俺と島崎の新技でなんとか討伐出来たよ。」


「あれを使ったのか!島崎はよく制御出来たな?」

「久保、私だって練習したんだからね。」


全く失礼しちゃうよ。今回は、2人で協力して討伐かな。


「よし、早速、地上に戻ろう。他のみんなも気になる。」


全員に回復魔法をかけ、一通り落ち着いてから、私達は地上に戻った。


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