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冒険者達との会談

翌日、冒険者達のリーダーが騎士団の練習場に集められた。さすがに全員は厳しいので、SクラスとAクラス全員、Bクラス以下はリーダー達に来てもらった。やはり、Sクラス、Aクラスの者は、他と比べると雰囲気が違う。多分、鑑定を完全にしてしまうと悟られるだろう。


パーティー名「暁の焔」 2人ともSクラス

リーダー バーン・フェイル (人間 基礎能力値平均16000)

年齢は20代前半、真紅の髪で威風堂々としていて、

中々のイケメンだ。


リフィア・ローズ (エルフ 基礎能力値平均14000)

年齢不明、金髪で長い髪をリボンで綺麗にまとめていて、

凄い美人さん。


パーティー名「疾風」 4人ともAクラス


リーダー ウィル・ビーンズ (人間 基礎能力値平均9800)

年齢は18前後、この辺りでは珍しい黒い髪で、

温和そうな人だけど、どこか頼りない感じがする。


ロイ・クロットス (人間 基礎能力値平均9100)

年齢は18前後、茶髪で一言で言うとイケメンね。

眉毛も目もキリッと引き締まって、多分10人中10人の女性は

見惚れるわね。


ミア・スロットル (人間 基礎能力値平均8200)

年齢は18前後 ピンクの髪が腰まであり、何より胸が大きい。

美人というより、子供っぽくて可愛いかな。


ヒミカ・クリステン (人間 基礎能力値平均8600)

年齢は18前後 青い髪が腰まであり、凛々しい美人さんだ。



始めにアイリスが冒険者達の前に出て、今回集まってくれた理由を説明した。


「皆さん、今回集まって頂きありがとうございます。エレノア様からお聞きしたと思いますが、大勢の邪族がここスフィアートに近いうちに攻めて来ます。時期はわかりません。ですから、こちらも早急に準備する必要があります。皆さんに来てもらった理由は、あるスキルを取得してもらう為です。スキル名は『魔力纏い』、魔力を身体に纏わせる事で、身体強化スキルと連動して基礎能力値が大幅に強化されます」


冒険者達が騒ぎ出した。出てくる言葉は、「そんなスキル聞いた事ないぞ」が殆どだ。ここで、バーンさんから質問がきた。


「アイリス嬢、『魔力纏い』というスキル、誰が発見した?どう考えても、あんたじゃないだろ!横にいる女か?」


ここでアイリスが私を紹介し、邪族の邪法によって大森林に転移され、危ない所を私に助けてもらった経緯を話した。


「はじめまして、サーシャと言います。『魔力纏い』は、私が発見しました。現在、アイリス、マウロ司祭、クリンカ大司教、騎士団の皆さんに教えています。邪族との戦いに備える為、ここにいる冒険者の方々にも教えたいと思っています。宜しいでしょうか?」


冒険者全員が私を見定めているのがわかる。その中のAクラスのウィルさんが、キッカケを与えてくれた。


「良いんじゃないかな?バーンさん、彼女只者じゃないよ。雰囲気や醸し出す気配、どれをとってもAクラス以上の力量があると見たね」


鋭いな、ウィルさん。


「ウィル、以前より強くなっていると思っていたが、お前も雰囲気や気配だけで、相手を見極められるようになったか。あの学園のひよっ子が頼もしくなったな」


「ちょっとバーンさん、僕の事はいいよ。話が先に進まないから」


お2人は、お知り合いだったんだね。


「はは、すまん、すまん、サーシャいいぜ。俺達に『魔力纏い』を教えてくれ。強くなれるのなら、何でも利用するのが、俺のモットーなんでな」


バーンさんは、強さに貪欲なのね。だから、Sクラスまで登りつめることが出来たのだろう。対して、ウィルさんは頼りない所はあるけど、何でも吸収していくタイプだ。2人のおかげもあって、私は早速『魔力纏い』を教えた。さすがは、実戦経験済の冒険者達、Sクラスのバーンさんとリフィアさんはレベル6、Aクラスのウィルさん、ロイさん、ミアさん、ヒミカさんはレベル5を30分程で獲得した。B, Cクラスは1時間程でレベル3、Dクラス以下でもレベル2になった。そんな中、バーンさんとリフィアさんが私に話しかけてきた。


「サーシャ、こいつは凄いな。自分の力がかなり増しているのがわかる。なるほど、魔力を纏い、身体の一部に収束するか。いいな!」


「このスキル本当に凄いわ。私の身体強化スキルはレベルは低いけど、身体と特に魔力が漲っているのがわかる。サーシャ、私達エルフにとって、このスキルは重宝するわ。教えてくれてありがとう」


「おー、サーシャ良かったなあ、リフィアが褒めることは、中々ないんだ。余程嬉しいんだろうな」


「そう言ってもらえると、私も嬉しいです」


Aクラスの人達も喜んでいるみたいだ。


「ヒミカ、これ凄いよ。これなら、あの魔法、出来るんじゃないかな?」

「確かに凄い。でも、あれはまだ実験段階だから迂闊に出来ない。」


「それならサーシャに相談するのはどう?こうやって『魔力纏い』を公開してるし、信頼出来ると思う」


なんか私の名前が出ているけど、質問があるのかな?あ、こっちに来た。


「サーシャ、私はミア・スロットル。折り入って話があるの」


「私は、ヒミカ・クリステン、魔法の相談。ただ、ここは騒がしいから、ちょっと人気のない所に行きましょう」


「はい、構いませんよ」


魔法の質問?何だろうか?騎士団の訓練所から少し離れた所に来た。ミアさんが少し躊躇ってから話し出した。


「あのね、今研究中の攻撃魔法があるの。ただ、この魔法の使用には、複数の属性が必要で、制御が難しいんだよ。それでね、--------」


ふむふむ、なるほど、言いたい事がわかったわ。つまり、合体魔法を開発したいけど、制御が精密過ぎて、成功の目処が立たないという事か。


「エルフのリフィアさんには相談しないんですか?エルフは、全ての魔法に特化している種族と聞きましたが」


すると、この質問にヒミカさんがどんよりした表情で答えてくれた。


「もちろん、真っ先に相談した。それで、----あの人、私達が話した内容に凄く興味を持ってくれた。----」


どうしたんだろう?2人の表情が冴えない。


「あ、ごめん。あの人、私達が言ったその場で試して、-------1発で成功したのよ。恐ろしい威力だったわ。誰もいない場所で良かった」


「---------え、は!言ったその場で、いきなり成功!嘘でしょ!」


理論を言って、その場で成功なんて、まさに天才!


「あはは、冗談だと思うよね。あの人、左手から氷属性、右手から嵐属性を出して、見事に合体させたよ。私もミアも、開いた口が塞がらなかった。そして、凄くお礼を言われたわ。リフィアさんも個々の魔法を合体させるなんて想像もしなかったらしい」


ここで、ヒミカさんが暗くなってきたので、ミアさんがバトンタッチした。


「天才ているんだね。痛感したなー。結局、制御の事を色々と言われたけど、高度すぎて今の私達じゃ無理だった。あははは〜〜」


気の毒すぎる。自分達で理論を開発して相談しに行ったのに、それをその場で一発成功なんて。でも、合体魔法は私も参考にさせてもらおう。あれ、ミアさんもヒミカさんもAクラスという事は、相当魔法制御能力も高いはず。2人はパーティーメンバーだから、そうだ!


「この答えで納得してもらえるかは分かりませんが、合体魔法の制御が1人で難しいのなら、2人で分担してはどうですか?その方が、魔法自体も速く出来るし、威力もリフィアさんより高くなるんじゃないかと思うんですが?」



え、何この沈黙、間違った答えだった?



「あ————!そうだよ、ヒミカ!私達2人でやれば良いんだよ」


「迂闊!そうだ、私とミア2人で協力すれば、リフィアさんより速く出来るし、威力も絶対高くなる。サーシャ、感謝するわ。1人でやる事に拘り過ぎていたわ」


なんか2人に握手を求められ、抱きつかれた。


「サーシャありがとう!ヒミカ、今から郊外で練習しよう」

「勿論よ」


ミアさんとヒミカさんの2人は、颯爽とここから離れて行った。

喜んで貰えて良かった。



○○○



訓練所に戻ると、冒険者の人達が模擬戦を始めていた。そこにフィンも混ざっていた。周りの人達、フィンがレーデンブルクの王女ということを知らないんだろうな〜。言わないでおこう。ウィルさんとロイさんが私に気付きこっちに来た。


「サーシャ、改めてウィル・ビーンズと言うんだ、宜しく」

「俺はロイ・クロットスだ、宜しく」


握手を求められたので、2人に握手し、改めて私も自己紹介した。


「サーシャです。こちらこそ宜しくお願いします」


ウィルさんは、物腰柔らかそうな人だな。ロイさんとは違ったタイプだ。そんなウィルさんから質問が来た。


「ところで、ミアとヒミカが凄い笑顔で出掛けて行ったんだけど、何か言ったの?」


「あー、魔法の事で質問されたので、アドバイスすると2人とも納得して郊外で試してみると言ってました」


「アドバイスか、2人のあんな晴れ晴れとした表情、久しぶりに見たよ」


「ああ、俺も久しぶりに見たぜ。ここ最近思い詰めたことが多かったからな。サーシャに相談した事で吹っ切れたんだろう」


ウィルさんとロイさんには話してないのね。秘密にしておこう。


「話が変わるんですが、先程の模擬戦を見て思ったんですが、ウィルさんは風と嵐属性が得意で、ロイさんは水と氷属性が得意なんですかすか?」


「あれだけの模擬戦でわかったの?凄いね、そうだよ、僕は風と嵐属性が得意だ」

「凄い観察力だな。ああ、俺は水と氷が得意だ。」


それなら、ウィルさんには『トルネードボム』、ロイさんには『------』を教えてあげよう。


「私が開発した魔法があるんですが、覚えてみる気はありませんか?これをマスターしたら、お2人の攻撃力がかなり底上げされます」


ミアさんとヒミカさんの事もあって、快くOKしてくれた。2つの魔法を説明すると、ウィルさんもロイさんも驚いていた。


「『トルネードボム』か、僕にぴったりだね。ロイの魔法もそうだ」

「ああ、『------』か。制御がかなり難しいがやってみるか」


-----1時間後、冒険者の人達全員が『魔力纏い』に慣れ、しきりにお礼を言われた。ここで、一応忠告しておこう。


「皆さん、『魔力纏い』があっても気を付けて下さい。邪族のランクが上がってくると、無意識で邪力を纏う者もいると思います。皆さんの中にも、同じ邪族でも強さが違っていたり、上級邪族と戦っている時、必殺技が急に効かなくなったり、魔法の効果が軽減した様な経験があると思います」


高ランクの冒険者達が一斉に頷いた。バーンさんもフォローを入れてくれた。


「あるな。始めは、こちらが有利に事を進めていたのに、そいつは急に強くなりやがった。リフィアと協力して戦って、最後は俺の必殺技で辛うじて勝利出来たがな。あれは、邪力を纏っていたからか」


バーンさんのフォローもあって、冒険者達全員が一様に納得してくれた。

そういえば、バーンさんを見てふと思った。この人は、炎属性を極めていたわね。


「突然すいませんが、バーンさんは炎属性を極めていますか?」

「うん、急にどうした?鑑定を使ったら、すぐにわかるぞ?」


「バーンさんやウィルさんに鑑定なんか使ったら、一発でばれますよ」


ここで、ウィルさんもやって来た。


「なんだ、わかっているんだ。僕達クラスになると、鑑定をかけられた時、不快感を感じるからね」


「俺は炎属性を極めているぞ。試しに、剣に炎を宿らせてやろう」


む、赤い炎がオリハルコンの剣に宿った。凄いわね、かなりの力だわ。

でも、惜しいわね、不完全だ。


「バーンさん、怒らないで聞いて下さい。その力は、まだ不完全です。一段階上の力を使ってみませんか?」


辺りがシーンとなった。そりゃそうよね。喧嘩売ってるようなものだからね。


「ふー、おいサーシャ、それは本気で言っているのか」


『威圧』をかけてきたよ。本気で怒っているね。


「えー、本気です。剣を貸してくれませんか?今からお見せします」

「-------わかった、見せてもらおう」


私の真剣な表情を見て、本気だと思ってくれたんだろう。

全員が私を見ている。


「では、まずバーンさんが使っていた炎ですが、こんな感じですね」


剣に炎を宿らせ、バーンさんより、さらに圧縮し収束させた。


「おいおい、冗談だろ。いきなり、とんでもないものを見せてくれるな」


「何言ってるんですか?バーンさんは、もう『魔力纏い』を使えますから、このくらいすぐに出来ます。ここからが本番です」


剣に宿った赤い炎が、青白く変化した。見ている者全員が固唾を飲んでいた。わかるんだろう、青く変化した途端、力が何倍にも上がったという事が。


「おい、サーシャ、なんだこれは!こんな力、見た事がないぞ!」


「これが炎魔法の完成形です。炎の真髄を極めれば、このようになります。バーンさんなら、すぐマスター出来ますよ」


「今すぐ教えろ!こんなものを見せられたら、早速使いたくなるぜ!」

「わかりました。現状、マスター出来るのは、バーンさんだけですからね」


そう、不思議と炎魔法をレベル10(MAX)にしないと、青に変化出来なかった。ただの不完全燃焼を完全燃焼にしただけなのに---不思議だ。バーンさんは、やはり凄い。ものの30分程で、完全にマスターした。



そして、いよいよ切り札を話す時がやって来た。


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